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これから起業する方に知って欲しい会計の話③ 〜粗雑な会計記帳よりも精緻な資金繰り管理〜

起業する人の大半は、最初は会計に明るくないと言っても差し支えないかと思います。
ここで言う会計に明るいとは、簿記を知っていて決算書を読むことに抵抗がないぐらいのことを指しています。

だからといって、事前に簿記の勉強をしてくださいとも思いません。
簿記を知っていて損はないと思いますが、起業する段階で簿記を知らないことが、「経営者として」経営に大きく影響するわけではないからです。

しかし、起業すれば決算・税務申告をする義務が生じるだけでなく、自らの事業の成果を測るための会計管理は少なからず必要となります。

その際、自分でわからないなりに会計ソフトを使って、記帳をしていくのも選択肢の一つです。最近では簿記を意識せず使えるものも多くなっています。
しかし、自己流で記帳したところで、税務申告に耐えうる決算書が出来上がると思いますか?会計ソフトを使ってそれらしいものが出来上がるかもしれませんが、自分のやった結果が正しいかどうかわからないまま成果物が出来上がっていることは否めません。

一方、事業を行うことで、お金の支払いや売上金の入金が日々発生するため、お金の管理は必要です。
その「日々動くお金=資金繰り」を管理していくことは事業を遂行し継続していく上でとても重要な管理の一つとなります。
また、このお金の管理がきっちりとできているかどうかは、融資を受ける際など第三者の評価の上でも大事な要素といえるでしょう。

資金繰りの管理は、お金の動きを追いかけることがベースとなりますので、簿記の要素を考慮する必要がありません。したがって、この資金繰りの管理を細かく丁寧に日々行うことは全ての経営者に可能なことです。

自分が中身を理解できていない会計ソフトで作った月次の試算表と、自分が中身を理解し日々丁寧に管理し作成した資金繰り表であったら、どちらを信頼できるでしょうか?
答えは簡単ですよね。
よくわからないまま行った粗雑な会計記帳よりも、誰でも取り入れやすい資金繰り管理を、とにかく丁寧にしている方が信頼度は高まります。しかも、自分が見てわかるものが残るわけですから経営にも役に立ちます。

したがって、起業してまず行うことは適切な資金繰り管理なのです。
そして、ただお金の流れを記録していくだけのものではなく、エビデンスの整理も含めた業務としての管理をすることがポイントです。

では、そうはいっても決算書は作らなければならないので、資金繰りの管理だけやっているわけにも行かないのでは?と思いますよね。
その通りではありますが、ここで上記のポイントが活きてきます。
丁寧に日々管理された精緻な資金繰り管理がなされてその結果が記録されており、かつその内容のエビデンスが整理され誰が見ても内容がすぐわかる状態にしておけば、実は会計記帳の基礎もほとんど終わっています。あとは仕上げを専門家に頼むだけです。

最後の仕上げは専門的な知識がないと難しい部分がありますのでよくわかる人に任せましょう。任せるにしても費用がかかるかもしれませんが、前述した、「精緻な資金繰り」が管理されていれば費用負担もグッと抑えられると思います。

仕上げだけを頼む、仕上げだけを頼めるに値する会計管理を自社で行うことは、専門家費用を抑えることにつながります。
その点の話については次回に詳しく書きたいと思います。

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