モデリングから考える「おいしいコーヒー」
みなさんはコーヒーを飲みますか?
私は毎朝コーヒー豆を手動ミルで頑張って挽いて、ハンドドリップで淹れています。豆から挽いたおいしいコーヒーを飲むと「仕事をやるぞ!」とスイッチが入ります。
コーヒーは独自のこだわりを持っている人も多いと思いますが、こだわる理由はおいしいコーヒーを飲むためだと思います。
では、この「おいしいコーヒー」とは何なのか?
これを理解するために、マイルドにモデリングしていきたいと思います。
モデリングとはなにか?
大事なことなので、モデリングを始める前に「そもそもモデリングとは何か?」について説明させてください。
モデリングの定義については、こちらの記事で説明していますが、この内容に従うと定義はこのようになります。
そのため今回のモデリングの目的は「おいしいコーヒーを淹れるための再現性がある構成要素を明らかにすること」としたいと思います。
まずは「おいしいコーヒー」の定義から
まずモデリングを始める前に大事な前提条件を整理しておきます。
それが「おいしいコーヒー」の定義とゴールです。
おいしさは人それぞれの主観が入ってくるため、これを定義しておかないとモデリングが出来ないことになります。今回はこのようにしてみました。
そのため最高のコーヒーを求める創意工夫やテクニックなど、ここでは考えないようにします。モデリングではコーヒーの味を損なう要素だけを明らかにしていきます。
「おいしいコーヒー」をモデリングしてみる
マイルドにモデリングするため、1枚の図に収まる範囲にするべくモデリング範囲はコーヒーの粉から淹れるプロセスにフォーカスしています。豆の調達からもモデリングすることが出来ますが、そうするとモデリング図が膨大になってしまうので・・・
前置きが長くなりましたが、美味しいコーヒーについてモデリングした結果がこちらです。
基本的な見方はフローチャートと同じで、基本は左から右に流れていきます。図内にあるオブジェクトはゴール(美味しいコーヒーを飲む)を達成するために必要なプロセスの構成要素です。矢印はそのプロセス同士のインプットとアウトプットの関係を表しています。
このモデリング独自の特徴としては、オブジェクトが実線と点線で別れていますが、物理的には存在する要素(ex.コーヒー粉など)が実線となり、存在しない(ドリップノウハウなど)要素が点線で区別されます。
なおモデリング記法の詳細については「ご参考:使っているモデリングツール」で紹介しますので、興味あればそちらに飛んで見て頂ければと。
一見すると複雑に見えますが、このモデリングの見方は至ってシンプルです。このルールに沿って見ていけば、かんたんに美味しいコーヒーを成立させる要素が明らかになります。
ルール1:重要なポイントを探す
まず矢印が集まる構成要素を探します。これは「コーヒー」という記載のある構成要素ですね。ここが重要な構成要素であることがわかります。
ルール2:原因を探る
重要ポイントを見つけたら、次に原因を探っていきます。この図では矢印が集まる「コーヒー」の構成要素からどんどん左に辿っていくと「コーヒー粉」と「保存ノウハウ」に根本的な原因があることがわかります。
このモデリング結果から、おいしいコーヒーを飲むために重要なポイントは「コーヒーの粉の鮮度を保持する」ことになります。
特に「保存ノウハウ」は物理的には存在しないモノなので属人化しやすい傾向にあり業務プロセス上もよく問題となるポイントです。この要素が問題の根本原因になりやすい箇所なので、保存ノウハウに対応する解決策を適用効果が高くなります。
モデリングにおける注意事項
このモデリングで明らかにしているのはおいしいコーヒーを成立させる「構成要素」だけです。つまりおいしいコーヒーを飲むためには、コーヒーの粉と保存ノウハウの対策が根本的な解決策となりますが「どういった保存がベストか?」や「どういった粉を買うべきか」といった実現手段に対してはモデリングしていません。
解決策は各自のやり方になりますので、このモデリング手法では規定しないようにして解決策の議論を促させるようにします。
「おいしいコーヒー」を飲むための解決策は?
モデリングによって、おいしいコーヒーを飲むための条件が構成要素から明らかになりました。では実際にどうやってコーヒーの鮮度を保持するかは、モデリング図を見ながらわいわいと議論できると思います。
各自の意見を出し合うことで、いろんな気づきや視点が得られるため、ここの議論は盛り上がって楽しいはずです!
今回はコーヒーですが、ビジネステーマであれば立派な業務改善になります。ということで、私も議論内容を議論してPodcast収録してみました。モデリング内容の解釈や解決策を導き出す経緯に興味があればぜひ聴いていただけると嬉しいです。
議論結果について記載すると、このような解決策が出てきました。
このように解決策はいくつも考えられますが、どれも最初にゴール設定した「おいしいコーヒーを飲む」ための鮮度保持を目的としています。
余談ですがコーヒーが新鮮かどうかを確認するには、コーヒーを淹れたときに発生する炭酸ガスからわかるようです。新鮮なコーヒーの粉にお湯を注ぐとモコモコと膨らむため、そうなればおいしいコーヒーができたということですね。
ご参考:使っているモデリングツール
今回使ったモデリングツールはプロセスを構造化して根本原因を探っていくことが得意な、PRePモデル(Product Relation-based Process model)の考えを採用したものです。
モデリングツールは数多くありますので、自分にあったもを使えば良いと思いますが、もし興味ある方はアルファ版の無料ツールがあるので試してみてください!
またPRePの記法についての説明はこちらにあります。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました!
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