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私が「英語脳」に支配されかけた頃

「あの頃は英語脳に支配されていたのかなあ」と思い返すことがあります。
英語脳になるのは便利なようにも思えるかもしれないですが、私の場合、そうでもありませんでした。


英語漬けだった時

はじめてヨーロッパに住み始めたのはTOEICで900点を取ったぐらいの時でした。
このとき、英語で会話ができない段階から、英会話が平気になる段階にまで英語力を高めることができました。英語で思ったことがそのまま出てくるという「英語脳」の状態になりました。
この時のことは、ほかの記事でも書きました。

この当時は、まさに英語漬けでした。
一日じゅう英語を話していました。はじめの頃は、そんな状況に疲れ切っていて、仕事から帰ってからは、頭がただ真っ白でした。
それにも慣れたころ、こんどは自分の専門分野について英語で勉強する必要が出てきました。これで家に帰ってからも英語漬け決定です。
週末も、一歩外に出れば外国なので、やはり英語で何とかしなくてはなりません。
日々の生活に日本語が入り込む余地がほとんどない状況でした。

そのような生活を経て、職場でも日常生活でも、英会話で苦労する場面はほとんどなくなりました。

一時帰国した日本で

そんな中、海外に来て一年半ほどたった頃、日本に一時帰国する機会がありました。

誰かと日本語で話そうとして、言葉が出てくるのに時間がかかるのに気づきました。ああ、あれって日本語でなんて言うんだっけ、という状況がけっこうありました。
実家で家族と話す時だけでなく、たとえばコンビニでの買い物などでも、自分の話す日本語がどこか不自然なことを感じました。
もっとも、外から見ると、たいした差ではなかったのかもしれません。でも、自分の中では、日本語が出にくくなっているのが分かりました。
なんだか、ちょっと気持ち悪いような、あまりよろしくない状況です。

アウトプットが難しい

私の一時帰国の場合、ちょっと鈍ったなと感じたのは、日本語で話すほうです。
自分の中に言葉を探し出すほう、です。アウトプットです。

日本語のインプットは大丈夫でした。
日本語で誰かの話を聞き取るのは問題ありませんでした。
読むほうも、日本に着いたらすぐコンビニで新聞や雑誌を買いあさって読むぐらいでしたので、問題ありません。
あそこまで英語漬けになっていても、インプットのほうは、大丈夫なようでした。

英語脳になったけど

当時の私は、英語漬け生活のおかげで、英会話に苦労することは、ほぼなくなっていました。思ったことが英語でさらっと出てくる「英語脳」です。
その一方、使っていなかった日本語会話の方に支障をきたしてしまっていました。これは私が望んだ状況ではありません。
「英語脳」に支配されていました。

私の場合、たった一年強の海外生活で、ここまでの状態になってしまいました。しかも、海外生活を始めたのは大人になってから、です。
まさかこんな風に日本語が出にくい状態になるとは思っていませんでした。

何事もやりすぎはよくありません。
「英語脳」一辺倒も考えものだな、と思いました。

語学のポイントは「アウトプット」

自分のそんな経験を通じて、言葉を使う上でのポイントは、アウトプットの能力なのだなあと改めて感じました。

ただ、アウトプットには、それを受け取ってくれる相手が必要です。その性質上、自分ひとりで訓練し習得するのは難しいです。
また、アウトプットでは、自分の中に答えを探す作業が必要になります。能動的です。しかも、会話なら、瞬間的にアウトプットできなくてはなりません。頭をけっこう使います。

いっぽう、インプットのほうは、自分で勉強するだけでも、ある程度の段階にまで到達することができます。読んだり聞いたりする訓練は自分だけでもできます。
相手の言葉をまずは受け取るのがメインです。受動的です。もしうまく受け取れなくても、会話なら相手に聞き返したり、読む場面なら読み返してみたりと、時間を掛けることができます。

アウトプットのほうが難しく、また忘れやすいのは、それだけ労力を使うからでしょう。脳はいつでも楽をしたいのです。


その後、日本から現地に戻ってからは、できるだけ日本語でのアウトプットをするように努めました。
たとえば、日記や本の感想などを書くようにしたり、日本語で会話できる機会があればそれを利用する、などといったことを行いました。

いまも、日本語と英語でバランスを取るよう気をつけています。
仕事中はほとんど英語です。朝のお茶の雑談から会議まで、Teamsチャットから仕事先へのメールまで、英語です。
そのような中でも、たとえばこうして日本語で何か書いてみたりと、アウトプットを欠かさないようにしています。

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