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【喫茶店 美来】1-5話『わたしの行きつけ喫茶店』
それから、週に1回、休みの前の日は必ずお店に行くようになった。
以降、様々なスタッフさんと会話をすることができるようになり、
紗季ちゃんとは、目をみて話ができるようなった。
時には、2階で流行りのゲームを一緒にして、
みんなで楽しむこともあった。
しかし、役職が上がるにつれて、仕事や出張が多くなり、頼られることも多くなり、なんだか居場所を見つけた気になっていた。
喫茶店にはなかなか、行くことができなくなった。
ある日、お店を訪れた。
カランコロン
「いらっしゃい」と変わらない優しい声
なんだか実家に帰ってきたようだった。
わたしはいつものカウンター席に座る。
店長が「久しぶり!元気だったかい?」と笑顔でやってくる。
わたしは、嬉しくなって「はい!会社でうまくいって、居場所を見つけたんです!」
「わたしはできることしかしていない。できないことは、周りの誰かがフォローしてくれる。だから、あなたのできることをすればいい。店長のこの言葉で充実しています。」
「そっか~よかった。」と笑顔だ
「うちもすごいのよ~」とうれしそうに話し出した。
紗季ちゃんは、一度就職したが、うまくいかず、今は厨房のスイーツ担当部長。幼なじみの里奈ちゃんは、料理長として、厨房を回しているんだって。みんなの成長にわたしはすごく感動した。
そしてみない間に大きくなった子どもたちに、子どもの成長は、早いなと思った。
それから、久しぶりにあったスタッフさんや店長とお話をして
帰りに「前に次の店長は、あなたねと言ったのを覚えている?」とさみしそうに店長が言う。
「覚えているよ!どうして?」と聞くと
「いや、あなたの居場所が見つかったのならよかった」と
店長は、笑顔を見せた。
「じゃあ、また来るね!」とわたしは笑顔で店長を見た。
「また、いつでもいらっしゃい」
その時の店長の笑顔を
私は今も忘れたことはない。
<続く・>
©心空
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