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【喫茶店 美来】1-2話『わたしの行きつけ喫茶店』

わたしは、2階へ上がった。
目の前の光景が信じられず、わたしは、言葉が出なかった。

楽譜を見ながら真剣にギターの練習をしている女の子2人。
何を話すわけでもなく黙々とスケッチブックにイラストを描いている男女3人。バスケットボールの中継を熱心に見ている男子2人。
勉強をしていたり、教えたりしている男女4人。

目の前には、中学生くらいから大人まで様々なことをしている。

カランコロン
無線で、「タイセイ、迎えです。」と店長の声が聞こえる。

「なんだよ!いいところなのに」と中学生くらいの男の子が怒る。
「しょうがないよ、ここで止めておくからまた、今度観よう」と
 大学生くらいの男の子が言う
「いや、潤くん先に観てもいいよ」といって
その男の子は、帰る支度をしている。
「潤くんまたね~」

テレビを見ていた一人の男の子が
わたしの前を通ろうとしたとき「さようなら」と言ってきた。
わたしはびっくりした。
勢いで「さようなら」と大きな声で言ってしまった。
「元気なお姉さんだね」とその男の子は、笑顔で階段を降りる。 

お母さんであろうか「今日もありがとうございました。」と
深々と頭を下げる。
「店長さようなら~」と男の子は、手を振って帰る。

 わたしには、この喫茶店で何が起きたのかわからないまま
1階へ降りた。
「店長2階は、どうなってるんですか?」と
 訳も分からぬ質問をしてしまった。

「この喫茶店は、みんなの居場所ですよ。」
「あなたが教えてくれたことを実現しようと思って」と店長は、
 優しい顔でわたしに言った。

「みんなの居場所?えっわたしが教えた?」頭の中は混乱している
自分が安心できる場所のこと、自分が安心して好きなことに没頭できること、自分が安心して一緒に過ごせる人がいること
あなたが、過去に相談しに来たじゃない。

<続く・・・・>
©️心空


初回

1-1話