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ウォーホル、バスキア、へリング、ともに生き抜き撮影したローランド・ハーゲンバーグ氏個展(〜2/12)その時代の迫真の証言本も!

ローランド・ハーゲンバーグ個展 ”Andyworld" NY portraits 1983
神宮前「BOOKMARC」にて、2/12まで。

友人のIDEAKEIさんの企画協力の個展に伺いました。ちょうどローランドさんも来られて作品についてのお話もお聞きできました。

彼の名前は知らなくても、バスキアの展覧会などで彼の撮影したポートレートを目にした方も多いのでは。

1980年代のニューヨークのアートシーン。ウォーホル、バスキア、へリングらと活動を共にしながら、彼らの記録を書き、沢山の写真を撮ってきたマルチアーティスト、ローランドさん。ウィーン出身で現在は東京や京都で主に活動されています。彼が構想した、作曲家リストの故郷ライディングでのプロジェクトでは、日本の建築家、藤森照信や原広司の設計したマイクロハウスが建てられています。

先日NHKの日曜美術館ウォホール展の特集の中で、京都での彼の個展が取材されていましたが、80年代のNYポップアートの現場をを知る数少ない生き証人なのです。

今回の個展では、"Andy World" と題されたように、ウォホールの大きな作品をはじめ、ポートレイトに金色でペイントされた作品群が目を引きました。

彼に「これはフィーリングで描いたのですか?」と聞いてみたら、たくさんのことを教えてくださいました。

それは、彼の撮影の方法が、作家たち自身のスタジオに通い、取材をしていき、打ち解けていった中で撮影したものだということです。普通の写真家なら、撮影スタジオに彼らを連れて行ってポートレイトを撮影したでしょう。でも、ローランドさんのやり方はそうではなかったのです。

それは、彼らの目に現れているとローランドさんは仰っていました。たしかに、作っている顔とかでなく、普通に話している目だからこそ、作品の前に立つと私たちも実際の彼らと話していたローランドさんの視点になれるというか。

そして、実際に彼らと長い時間接してきた中で感じたもの。それを今回キャンバスに写真を印刷し、ペイントを入れたのだということだったのです。

彼らのエネルギーを私たちも感じられるような、ローランドさんならではの表現なのですよね。

ウォホールの大きな作品のペイントは、ウォホールの「ティンダーボックス」とのこと。火種を作る道具を入れていた箱をティンダーボックスというそうです。ペイントはウォホールから出てくる火種。彼自身が持っていた革命的なものが出てきています。言葉で表すのはとても難しいものですが、このようにアートになると、そのメッセージ性のあるエネルギーがダイレクトに伝わってきますね。

かつてクリムトたちが19世紀末にウィーンで繰り広げたように、1950年代はパリ、60年代はロンドン、そして80年代のNYに、アーティストたちが集まり、リアルに顔を合わせていく中で、アートが生まれ、そこにいるアーティストの作品が高値で売れるような時代があったが、いまやインターネットの発達で、そこにいなくても作品を売ることができるようになった。アーティストたちが、そこへいかなければならない時代、集まったからこそ生まれた作品たち、その最後がこの80年代の彼らの作品だと、ローランドさんは教えてくださいました。

その最後の彼らも、ドラッグやエイズで一斉に亡くなってしまった。バスキアも若くして急激に売れたことで、お金は入ったがドラッグに溺れ、27歳で亡くなってしまった。人種差別も激しいその時代や彼らの人生や死をもをずっと見てきたローランドさん。私はサバイバーだが…とボソッと仰ったことがとても印象的でした。

バスキアの写真では、その後上から描いて変わってしまった元の絵や、ウォホールのあの独特のウイッグのケースが写っていたり、彼らのスタジオで撮ったからこその貴重なショットもあります。

でも、作品を拝見したり、お話をお聞きして、1980年代もすでに歴史になってしまったんだなぁと思いました。同時代生きてたのにね。なにか不思議な感じです。そして、こんなにすごいお話し伺える機会に恵まれるなんて。出会いって不思議ですね。

行ける方、都内でも出やすい場所ですから、ぜひ本物を見に行かれてくださいね。そして、ライターでもあるローランドさんの当時を記録した本も手に取って見てください。個展の場所もマークジェイコブスの本屋さん「BOOKMARC」です。

こちらの写真はIDEAKEI HPよりお借りしてます。

行けないけど、興味ある方も、本からぜひあのすごい時代を感じとっていただけたらと思います。詳しくはと、
本や作品、取材などのお問い合わせは、こちらのホームページからお願いします。

個展は20:00まで。夕方からローランドさん、いられることが多いそうです。

ローランドさん、IDEAKEIさん、ありがとうございました☆

そして、今思い出したのだけど、ウォーホルがCMに出ていたのがこの年。それも私が勤めていた会社の!
こんな縁もあるのですね〜

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