超短編小説：ルールマン⑥

～ルールマン第五章～【会議とは】

そう…あれは８年前の夏…。「社内の意識統一」というテーマで営業部・事務部・倉庫部合同の会議をするので、各部署ごとで意見をまとめて欲しいと統括部長から指示がおりてきた。統括部長からの指示の為、各部長は張りきって会議チームをつくり部下に丸投げをしていた。勿論、選ばれたチームのメンバーは何をどうしたらいいのか頭を抱えていた。「意識統一って…わかる？」どうしたらいいのか…プレッシャーがかかっている…。

各部署のメンバーが喫煙所に集まり相談して一生懸命考えて議論している。可哀想に…仕事の時間削ってまで…と思っている時に、統括部長が喫煙所に入ってきた。緊張が走る！「ちゃんと考えてテーマを出してくれよ！」と呑気な発言！さすが勤続年数がながいだけの統括部長…と思っていたら、突然振りむき私にむかって思わぬ言葉がなげかけられた。

－君が噂のルールマンか！かなり厳しい意見を言って管理職連中困らせてるらしいね。せっかくだからルールマンから何かテーマはあるかね？…お手並み拝見！

チャンスだ！その挑発…買った！

スーパー極悪ルールマン発動！！！

ありますよ。あまりにレベルの低いテーマと意味のわからない目的なので驚きましたよ。前統括部長なら絶対にやらない議題をあげてくるんですからさすが統括部長です。勤続年数だけで統括部長になっただけありますね。時間の無駄使いの天才ですね。あっ、意識統一の意味を教えて頂けますか？社員一同意味がわからなくて困ってるんですよ。会社の方向性が現在路頭に迷っております。だいたい目的が見えてないうえにテーマもわからない。説明すらせず…じゃなくできないんですよね。そんなことで社員のモチベーション下げないで頂けますか。くだらない内容なら統括部長と各部長の管理職連中でくだらない会議してください。無駄か多すぎますよ。考える時間の無駄！会議時間の無駄！給料の無駄！精神の無駄！仕事の無駄！あっ、もう少し無駄な時間いいですか？そもそも会議の仕方知ってます？未来のビジョンにむかって悪戦苦闘しながら質疑応答していくんですよ。プレゼンテーションみたいな形にして権力を蔓延らせる場所ではないんですよ。あろうことに統括部長たるポジションの方が後者をしてるなんて情けない。会社の未来が…不安で不安で不安でしょうがないです。

－………。（統括部長がフリーズしている）

あっ、まだ会議したいですか？なんなら各部長にもお話してきましょうか？あのお三方も管理職として責任ありますもんね。だいたい統括部長の「意識統一」は何ですか？あっ、レベルの低い管理職のレベルアップについてですか？それなら会社の為、社員の為になりますね…さすが！もちろん、ご自身も含めてですよね。くだらない会議をして社長に「部下をまとめてます」みたいなこと言おうとしてたんですか？統括部長の最低限の仕事知ってます？権力に任せて情報をあげさせて、のさばって高い給料もらうことじゃないんですよ。各部署を回って、全ての社員の現状を把握し、働きやすいように改善する。そして環境を整え、売上を躍進させるように努力する。責任を持った役職の義務だ。それすらできでいないですよね。まっ、今現場に統括部長がきても皆あまりしらないから「誰？あのおっさん！」で終わるでしょうけどね。あと教えといてあげますよ。役職がついて楽になると思っている人は終わってますから…「部下を成長させるために任せてます」っていう管理職ほど無能ですから。役職があがるほど責任が増え多忙です。管理職業務だけやってればいいではないですよ。社員の生活と社員の家族まで見据えた行動が管理職！自分の保身ばかりみているから……。

－わかった！会議は中止…………いや、延期する。まず、君に管理職連中困らせてると言ったことは謝る…すまない。統括部長になって文句や本音を言ってくれる人がいなくなり調子にのっていた。しかし、社員が働きやすくなるように、目的のある・意味のある交流の場を必ず開く。約束する。

ここからは、私の領域ではない。

最後に…私にではなく、会議メンバーに約束するべきです。……とお願いして……仕事に戻った。

NEXT……⑦

第一話：ルールマン①【エピソード】

第二話：ルールマン②【遅刻からの欠勤】

第三話：ルールマン③【契約社員とは】

第四話：ルールマン④【営業とは】

第五話：ルールマン⑤【休憩とは】