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心の旅

 旅って良いものですよね。いつもと違う時間、いつもと違う場所、いつもと違う風景。その一つ一つが新鮮で。
 
 旅先で見つけた景色に、心が奪われる経験をしたことはあるでしょうか?
 
 例えば、一面のすすき野原の上に浮かんだ三日月の美しさや、夕陽が富士山のふもとに沈んでいく姿や夕闇と合わさって溶けていくような空の儚さや、高台から見渡した小さな町と海の光などのまぶしさ、などなど。
 
 このような景色の中にたたずんでいると、自分自身もその世界に包まれているような、ずっと見ていたいと思う気持ちになります。
 
 ところが実際のところは、一人の旅行だとしたら何時までに宿に着かなきゃ、電車に乗らなきゃ、ご飯も食べないと…と、色々なスケジュールが頭の片隅に残って急かされますし、家族や友人などとの旅行では、自分だけの興味で長く時間を取るわけにもいきません。
 
 なかなか、その場に没入するというのは難しいものです。
 
 でも、もし自分がタイムキーピングをする必要のない立場だったり、自分のことを最優先してくれる人がいたりした場合ならどうでしょうか? 案外、そういった外的な要因に気を取られることなく、その景色を楽しめますよね。たっぷり時間が取れないとしても、時間になったら声をかけてもらえるし、と思えば、気兼ねもしません。
 
 こうやって、余計なことに気を取られずに景色を楽しむことと、カウンセリングも少し似ていると思います。
 外的な価値基準、こんな話をしたらその後の人間関係に影響しないかという不安、そういったあれこれを気にせず、自分の思ったことを話したり、考えたりする「心の旅」。一人ではないので、迷子になったり、時間が過ぎすぎてしまうこともありません。普段の生活に戻るための最低限の枠組みをカウンセラーによって守ってもらえます。
 そのような安心感を持てたなら、自分の心や気持ちに、この時だけは、深く向き合えるのだろうと思います。
 そんなことを連想しました。
                       (K.N)

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