【短編小説】嫌いにさせないで ~後編~
「これはひどいな」
お手製マリメッコのバックを手に取って夫が言った。
よく見るとバッグの内側にはボンドが白く固まったまま残っている箇所がいくつもあった。
「本物買ったらよかったんじゃないの?」
お風呂上りの夫が髪を拭きながら言った。
「付き合いだったの!」
「なら詐欺にでも遭ったと思って諦めるしかないな。現物見ないで5,000円の買い物は、パート代を考えると冒険だったね」
髪を拭き終えたバスタオルをバサッと洗濯機に放りこみ、グラスにウイスキーを注ぎながら、私を憐れむように夫は