御子柴愁@この顔で借金

御子柴愁 youtube https://www.youtube.com/chann…

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第2話 借金男とストレイ少女

「泊めて。」 何を言ってるんだこの少女は。 いやでも、僕は軽率に怒ったりしない。きっと何か理由があるのだろう。よく見たら身体の至る所に機械で作られたようなパーツがある。もしかして、ロボットなのか? とりあえず、機械は怖い。というか、危機感をもって接しなければ。いきなり頭が半分に割れて銃口でも覗いてきたらたまったもんではない。慎重に接することにした。 「えっと。ここはカフェってわかるよね…?」 「わかりません」 「…。」 「募集中って書いてあった」 「それは宿じゃないんだよね

    • 感情が凝固する

      残暑の季節。まだ涼しいとは言えないけれど、感情が凝固する時がある。それはこの暑さに負けないほど冷めているのか、はたまたそれとは無関係なものなのか。どちらにせよ、この炎天下の中感情が凝固しているのである。 凝固というのは、理科の授業で習ったような気がする。液体が個体になっていくことである。ああ、待って欲しい。言いたいことはわかる。感情は液体ではないから、凝固ではないと。これは例え話のようなものだ。その気持ちを抑えて少しだけ柔軟に考えて頂けると嬉しい。感情なんて所詮感覚だ。本来形

      • 第一話 借金男とAI少女

        僕は御子柴愁。借金が3000万ほどあるだけで、どこにでもいる男だ。 経緯を説明すると長くなるので省略するが、簡単に言えば雀荘カフェを 建てたらなんか3000万の借金をしていた、というのが一番しっくり来る。 当然金銭的余裕はないので自分一人で店回しているわけなんだが、最近少し疲れているのか、効率やパフォーマンスが落ちている気がする。大暴落ってわけではないけど、じわじわと下がっている気がする。そこで僕は悩んだ末、求人を出してみた。まあ、割ける人件費など持ち合わせていないのだけど。

        • 三蛍

          夏海は、配信者だったんです。 始めてから3日、トイッターでバズって人気者になったんです。彼女の人気は鰻登りで、瞬く間に100万人のフォロワーが出来ました。沢山のスポンサーが付き始めて、オリジナルのグッズやコンテンツ、色々な話が進んで行きました。 夏海は配信を始める前に、自分の配信する場所を下見しに来ていて、たまたま私の枠に来てくれたんです。そこで夏海と仲良くなりました。そんな子がまさか、3日で遠い存在になるとは思いませんでしたが、変わらず仲良くしてくれました。 でも、夏海は

        マガジン

        • 御子柴オリジナルストーリー
          1本

        記事

          二十日蝉

          暑い。それが全てだ。 この時期はアイスが食べたい、出かけたくない、やりたくない、動きたくない、全てに暑い。という理由が使える時期だ。 私は夏海。なつのうみで、なつみ。とてもわかりやすい、夏が似合う名前だ。今日は友達と映画に行く。私は勿論断った。暑いから。動きたくなかったのである。でも私には今日一緒に観に行く夏子しか友達がいないのだ。いや、正確には、信用出来る人。心を開ける人。親友という言葉は何だか差別している気持ちになるので好きな言葉ではないけれど、世間一般的には親友ポジシ

          減らず口

          「減らず口」という言葉は知っているだろうか。検索すると…強がりや負け惜しみという意味が出てくる。いやなに、減らず口が減らなくて丁度困っていたのだ。ここでいう減らず口は、強がりや負け惜しみのことではない。戯言が減らなくて困っているのだ。私は無駄が嫌いだ。だが昨今、SNSとやらに、どうも何でもないことを呟く。見返すほどでもないが、どれもこれもどうでもいいようなことばかりだ。自分はその度、何故無駄なことばかり言っているのか甚だ疑問になる。いや…でも、案外その呟きの本質は何かに対する