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第2話 借金男とストレイ少女

「泊めて。」

何を言ってるんだこの少女は。
いやでも、僕は軽率に怒ったりしない。きっと何か理由があるのだろう。よく見たら身体の至る所に機械で作られたようなパーツがある。もしかして、ロボットなのか?
とりあえず、機械は怖い。というか、危機感をもって接しなければ。いきなり頭が半分に割れて銃口でも覗いてきたらたまったもんではない。慎重に接することにした。
「えっと。ここはカフェってわかるよね…?」
「わかりません」
「…。」
「募集中って書いてあった」
「それは宿じゃないんだよね…」
「でも家じゃないですか」
「それはそうなんだけど…」
困った。この子の概念は外か、外以外かの2択だ。
間違いを正すよりも、理由を聞いた方がいいかもしれない。
「どうして泊めてほしいのかな…?」
「追われてるから」
「…。」
追われてるのか~で、済むわけがない。何に???
でも追われるのって気分良くないよね。毎月の返済とかに。
「えっと…なにに?」
「わからない」
「どうして追われてる?」
「…それは」
少女はそう言いかけると、側頭部の方に手を持っていき、そのまま頭に手を突っ込んだ。
一瞬息を飲んだが、そういえばこの子はロボットで出来ているんだった。と思い出す。いや、まだロボットかどうかの確証は取っていないんだけれどね。あと頭が半分になることはなかったけど、頭に穴は空いた。機械の動きは理解していないと読めない。改めて気を付けようと思った。

「これ…」
「これは、、、なに?」
「記憶の媒体…つまりは元の人間のデータですね」
少女はメモリーチップのようなものを見せ、そう説明してきた。
「君は元々人間なの…?」
「いいえ。私は器です。記憶をデータにしてまとめ、私を介することで、その人の元々の記憶と同期して話をする事ができます。ただ、器である私が目的なのか、元データの人間の記憶の方が目的なのか、あるいは両方か、それはわかっていません」

なるほど。なんとなくはわかった。あと記憶の媒体を取り出すと、少し口調も変わった。恐らく元の器のデータと、媒体のデータが混在しているのかもしれない。と、いうか泊めてっていうよりも
「つまり…匿ってってこと?」
「そうとも言うかもしれません」

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