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【遺稿シリーズ】古い日記

みこちゃん家の書斎から、某文豪の未発表の遺稿が見つかったので掲載しました
(゜0゜)

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書斎には一冊の古ぼけた本があった。

古ぼけた本の背表紙には微かに「牧田次郎」という文字が浮かんでいたが、題名の部分はすでに色あせて判読不可能であった。

父にもらった本であったが、なぜか今日この日まで読むことができなかった。

読むのが怖かったからだ。

初めて読んでみた。
牧田次郎は、その書物の中である人物の伝記を著していた。

丹念にその人物の生活を遺族から聞き出して、それを情愛の困った様子で丹念に丹念に、綴っていた。

小倉に生まれたある人物が、ありありと目に浮かんだ。

ここまで秀麗、端正に人を記述するのは並々ならぬことだと思った。

奥書までやってきた。

ご母堂のあとがきが印象的であった。

「息子のこの文章が書かれた後、その方のご遺族の日記が見つかりました。息子の書いたものは多くの点で事実と違っておりました。しかし私はこの息子の書いた文章の中に真実を見ました。それを残したく、これを息子の死んだ後、書物として出版させていただきました。真実とはなにか。史実とはなにか、 『歴史其儘と歴史離れ』このような題名を付けました。」

背表紙を指でなぞると、微かに『歴史其儘と歴史離れ』という文字が、目に映った。

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嘘ですみこちゃんのオリジナルでしたー(^-^)
第五回目は! 森鴎外でしたー



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