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人妻小説

コンテスト主催中ではございますが、以前から気になっていた、お知り合いがたくさん参加しているムラサキ 様のコンテストにも参加いたしました。

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父親のつてで、コネ入社で入れてもらった会社だった。
女子社員はお茶くみあたりまえ。
従業員は60人ほどの小さな証券会社だった。

お茶汲みは若手の女子社員がやる。
嫌ではなかった。
少し田舎臭い、でもそれなりに可愛い制服を着て、お茶を出す時に軽く微笑むと、三回に一回くらいは、お客様も笑顔を返してくれた。

そんな会社だったので、毎年二回熱海の温泉の社員旅行があった。
社員は当然全員参加。

断るなんて許されない。

一つだけ悩みがあった。
同棲している彼氏が毎回、旅行をやめて欲しいと言うのだった。
上司にお酌をしたり、そういうことが嫌だったのだろう。

今回はきつく言われた。
「ならやめるよ」

こう言うと、彼は…

「結婚しよう」

こう言いました。

「会社にも結婚したことを言ってくれ。どうせ経理のことで必要なはずだ。それなら行ってくれてもいい」

「ちょっと待って、そんなプロポーズってあるの」

「配偶者手当とか子供手当てみたいのもあるだろ」

「いやそんな大きい会社じゃないから」

無言だった彼にこう言った。

「わかったよ公にすればいいんだね」

だまって彼がうなずいた。

「明日そういう制度があるのかどうか確認するよ、それでいいかな」

わたしはわずか数十人の社員の会社のことを考えた

一瞬にして話は駆け巡るだろう。
それを望むなら…。
そうしよう。

旅館の浴衣でお酌がいつものことなんだ。
今回はもう人妻だ。
触る人もいないだろう。

やっとここまで来た。

人妻…

なんて甘美な言葉だろう。
これをわたしは手に入れたんだな。

「ありがとう」

夫が、私が口を開く前に、キスで口を塞いだ。

人妻か、うれしいな。

口づけの息苦しさで、幸せな眩暈がした。

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