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言葉のテクニックを学んでもむなしい

なかなかためになる本で、じっくりと赤鉛筆片手に読んでいます。

この本の斬新なところは、『言葉にできるは武器になる』と堂々と書名にしておきながら、下記のような一般的なやり方で言葉を上達させようということは無理である、と冒頭で宣言していることです。

「相手に伝わり、胸に響く言葉を生み出したい。」

著者はこのような現代人の切実な思いに理解を示します。しかし、それならテクニックを磨きましょうという安易な方法には釘を差しています。

You Tubeなどの動画共有サイトや、Facebookなどのソーシャル・ネットワーキング・サービスで、胸に響くプレゼンや心が震えるスピーチを見聞きする機会が増えたため、自分のコミュニケーション力の無さを感じやすくなったこともあるかもしれない。
その結果、人はどのような行動を取りやすいか。それは「言葉を改善する技術」や「伝えるだけでは不十分!伝わる言葉の磨き方」といった具体的な方法を指南した書籍やトレーニングに助けを求めようとしてしまう。

これは最初から耳の痛いことを指摘されてしまいました。実際そういう動機で「分かりやすい文章術」みたいな本がベストセラーになったり、「だれでもできる!話し方教室」は満員御礼です。

しかし、著者の実感はこうでした。

それらに記載されている情報の中に、助けになったものがあったことは否定しない。しかし、頭では内容を理解していても、実践で役立たせることはほとんどできなかった。

そしてまた、この苦々しい思いは、「分かりやすい文章術」「だれでもできる!話し方教室」を実際に試した人の苦い思い出とも重なるのではないでしょうか。

こうしたジレンマというか悲劇は、自分だけでなく自分の周りでもありがちな話ではあります。著者はその原因と解決の方向性を明確に示してくれます。

原因

多くの人が「外に向かう言葉」しか、意識できていない。(p26)

解決策

「内なる言葉」で意見を育て、「外に向かう言葉」に変換せよ(p29)

いきなり革新的な命題が飛び出しました。これらの原因解決策について、筆者は以下のように的確に補足します。

人々が相手の言葉に対して感じる、言葉が「重い、軽い」「深い、浅い」という印象は、内なる言葉と向き合うことによって、自らの思考をどれだけ広げ、掘り下げられたかに因る。その一方、そのに向かう言葉だけをどんなに鍛えたところで、言葉の巧みさを得ることはできるかもしれないが、言葉の重さや深さを得ることはできない。

「内なる言葉」は「外に向かう言葉」よりも重要だ

私は、とても納得がいきました。実際には世の中口下手だけどトップ営業マンはいっぱいいます。弁舌さわやかだけど意味不明な人も大勢います。そして私はわかり易い文章の書き方という本を買ってきて、放り出しています…。もうやめにしよう、お金もったいない。解決せねばならん。

その鍵は筆者の言う「内なる言葉」にありそうです。

このキーワードを手がかりにこの刺激的な本を、しばらく読み進めていきたいと思います。

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