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【洗脳注意】やったことを事実上なかったことにする文章

洗脳文章術シリーズ

認めたくない点を指摘しながらも、ネガティブなことを事実上なかったことにする文章


 人は自分の欠点をもろに指摘されると嫌がります。自分のしくじりを指摘されると、萎えてしまいます。

 相手もそうですね、相手をわざと傷つけたいなら別ですが、そうでない場合は相手もダメージを受けます。相手の欠点やしくじりを、つい目の前で嘆いてしまったりすると、相手はひどいショックを受けてしまいます。

 反省すべきところは、実は本人が一番良く分かっているんですよね。それを何度もくよくよ自分をいじめたり、相手が落ち込んでいるところに、追い打ちをかけるような言葉を投げかけるのは、百害あって一利なしです。

(相手がノーテンキに、自分が周り迷惑をかけているのに気がついていないこともあります。そういうときはむしろ言ってあげるほうが親切ですね…)

 本日の洗脳文章術では、やったことを事実上なかったことにする文章をテーマにいたします。

この回のバリエーション版となっていますので、ぜひ合わせてお読みください。前回の中学受験に成功して中華街でお母さんに「思いやりがない」と怒られた少年の例などは、誤解を晴らすことからはじめました。

今回のバージョンは思考パターンは同じですが、事実を認めるところから始めているのが特徴です。ミスが大きいときはこちらでないと無理ですので、ぜひご活用くださ。


友達がやらかしたとき、あなたはどんな言葉を使いますか。

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 喫茶店でないとしている友達がコーヒーを運ぼうとしてミスをしました。

「あーあ、やっちゃった」状態です。

 とりあえずは一緒に、後始末をしましょう。でも友達がそれを引きずっていたら、あなたは、どんな言葉をかけてあげますか?

 良くないのは、「そんなことよくあることだぜ、気にすんな」と笑顔で言うことです。

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 これは、友達であるあなたとしては精一杯の誠意のこもった言葉なのですが、残念ながら言葉としての威力は今ひとつです。このイラストの場合コーヒー飲みながらなので、むしろまずいかも…( U_U) 。

「確かによくあることかも知れないけど、まさかこの俺が自分であんな単純ミスをしでかすとは思ってもみなかった」

 優しい言葉をかけたつもりが、落ち込んでいるドツボ真っ只中の友達は、返って余計に自分を攻めてしまうという心理状態に陥ります。

 自分は結構バイト仲間の間では、店長からも仲間からも一目置かれる存在だった。新人が入ってきたら、真っ先に店長に教育係をお願いされていたこの俺が…。

 にもかかわらず、その俺が失敗ししまった。よくあるミスを経験があるのにやってしまった。その他大勢の経験の浅いバイトと同じどころか、バイトの先輩である分それ以下なんだ…俺は…。

 こうなっちゃうわけですね。

やったことがなかったことにになる洗脳魔法

 先ほどの同僚のなぐさめ例は何がまずいかと言うと、事実あったことを「よくあることだよ」と物事を小さく見せようとして、無理やり忘れさせようとしています。ここに無理があるのです。

 そうではなくて、あったことを事実としてまず確認してしまうのです。

 こんな感じです。

「たしかにさ、バイト中ミスをおかしたのは事実かもしれないね。だからといって、それで店が潰れるわけじゃないと思うよ。大切なことは、むしろ〇〇くんが誠心誠意謝って、お客さんが機嫌よく帰っていったことだよ」

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 事実は厳密に言うと消せません。しかし、あえてその事実を一緒に認めてあげて、その事実が大したことではなく、結果的にむしろ良い結果を生んでいたことを一緒に追体験するのです。

 最初の例は、「忘れようぜ」と言っているわけですが、二番目の例はミスをした人に寄り添いながら、寄り添うだけでなく一緒にそのことを追体験して、だからこそ良いこともあったと逆転させています。

閑話休題:「寄り添う」とか「傾聴」を安易に使うのはキモいとしか思えない

 ちなみに「寄り添う」というのは、最近とても便利な言葉としてよく使われていますが、こういう追体験なしの「寄り添う」ことはうざいとしか私には思えません。

 そばにいるだけで安心感を与えられるのは、恋人などのごく限られた、その人にとって特権的立場の人だけです。普通の友だち程度では「寄り添う」ことで癒やす、なんておこがましいことは不可能だと思ったほうがいいでしょう。

「寄り添う」とか「傾聴」とか、福祉や医療などの職業的訓練を受けた人や恋人や肉親のような立場の人が使うべき、やるべきことを昨今のスピリチュアルっぽい文脈で安っぽく使う人が増えていますが、みこちゃんにはとてもキモい現象映っております。

 このような言葉を安易に使う人には洗脳文章術はちと無理ですね。

今回の洗脳文章術まとめるとこうなります

1.事実を指摘する(コーヒーこぼした)
2.だからといってという言葉で極端に悪いことを想起させる(店が潰れる)
3.大切なことはむしろという言葉で、ポジティブな報告に揺り戻す(かえって、お客の〇〇くんへのそして、店への好感度は上がった)

 シンプルな3点セットですが、これはいろいろな場面で使えます。

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「事実」 ⇒ 「だからといって」 ⇒ 「大切なことはむしろ」 の一般法則


 それでは、いくつか作ってみましょう。

 これをマスターすれば、商品開発や広告にも使うことができます。

 みこちゃん出版から出している、にょろさんの著作です。

 動画の中にも表現していますが、この本のコンセプトを立案する時に私は今回の洗脳文章術の方法を使いました。

「確かにヨーロッパの言語と日本語はまるで違っています。事実、統計をとってもヨーロッパ人に比べて、日本人はリスニングが苦手だというデータもあります。だからといって、日本人が一生全員英語のリスニングができなんてことがあるわけがありません。大切なのはむしろ、日本人にあったやり方にこだわることなんです。それがこの教材の一番のポイントなんですよ」

 このコンセプトで編集し、プロモーションをかけているのがこの本です。

大切なのはむしろ、日本人にあったやり方にこだわること

 いかがですか?事実は厳密に言えば消えていませんが、聞えたも同然にしています。それどころか、そこがこれまで何万円も使って英語教材を本棚の肥やしんしてきた原因であることを指摘し、だからこそ、ありがちないつもの失敗パターンに陥らない本が登場した!こうやっているわけですね。

 このように、ネガティブなことを事実上なかったことにすることは、何かを取り繕うとか、慰めることにとどまらず、積極的な使い方が可能です。

 これまでは、あまりこうしたビジネス的な使い方を解説してきませんでしたが、これまでの洗脳文章術のそれぞれはビジネスにも応用できるものばかりです。

【次回予告】洗脳文章術はビジネスにも使える

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 というわけで、次回からはややビジネス的な文脈に軸足を移し、より実用的な洗脳文章術を解説していきますね!

洗脳文章術シリーズ

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