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避難所支援の際、心に残った地元の方の言葉5選

2月3日~8日の間、避難所の支援業務で輪島市に行ってまいりました。令和6年能登半島地震の発生日である1月1日から1か月経過したこのタイミングで現場に入り、感じたことをまとめました。今回は地元の方の言葉で、心に残ったものをシェアしたいと思います。

予備知識としてお伝えしておくと、わたしが避難所支援に従事したのはとある小学校。指定避難所として資料には記載されていましたが、実質的な運営は地元の方が中心になってされているという、ちょっと珍しい運営形態でした。


「引き上げるときに処分するのよね」

避難所の現状を見て率直に感じたことは、物資は足りているということ。地震発生直後の数日間は食料等の確保が非常に難しかったかもしれませんが、1か月も経てば「自由にお取りください」と書いて貼れるほど、避難所内で物資は行き届いている状態になっていました。

これは人口約24,000人という輪島市の規模だからこそ実現しえたものなのかもしれませんが、地震発生直後に全国から様々な物資が送られてくるようになり、輪島市内の主要道路の復旧もあって実現できたことなのだと思います。

ただ、物資が到達するタイミングにミスマッチがあり、ある物資を必要としている人がいなくなってから、その人のニーズにマッチした物資が大量に届くということもありました。避難所の方も避難者に物資を使ってほしい・もらってほしいと話しかけてはいましたが、ニーズにマッチしていないものは減るスピードは鈍い状況でした。

そんな中地元の方がおっしゃったのが「引き上げるときに処分するのよね」という言葉。いずれ自分たちが避難している小学校から引き上げる際、誰にももらってもらえなかった物資は処分されてしまうということを踏まえて発言されたものでした。誰のものにもならず処分されるとなると、なんかもったいない話ですよね。

「せっかく来たんだから何か持って帰らないと」

これは避難所の方の発言ではなく、避難者(?)の言葉。この方は小学校の外から来られ、避難者向けの物資で校舎内に置かれているものを見て、特に自分の欲しいものが無かったということで帰る際に発言された言葉です。災害発生から1か月経過すると、避難者のモラルも少しずつ低下するのかなあと考えさせられました。

この回のコメントに私も書かせていただいたのですが、地震発生直後とは異なり、お店も少しずつ再開してきております。お弁当が199円とか、あまりの安さに「これでええんか?」と心配になるほど。にもかかわらず避難所に外からやってきて無料で食料を大量に持ち帰る輩がいる状態。モラルの低下が経済の崩壊につながりかねないことを改めて認識させられたことばでした。

「これが現実なんだよなあ」

これは避難所支援最終日に現場の代表者の方が話された言葉です。地震から1か月経過した時点でも、今自分の身に起きていることが夢なんじゃないかと思うときがあるのだそうです。でも「これが現実なんだよなあ」とおっしゃっていました。

実際に大変な思いをされている方でさえ、現実感をもって受け止めるのが難しい。それなら地震による地割れや家屋の倒壊を目の当たりにしていない、被災地から遠く離れた我々が防災意識を高めることはどれくらい難しいのだろう。深く考えさせられる言葉でした。

「日本の政治は失敗している」

これも同じく、地元の方からいただいた言葉です。日本はものすごく豊かな国になったものの、1か月たっても断水が続いている。仮設住宅も行き渡らない。神戸や東北で起こった災害における反省が、活かされていないのではないかという懸念を表明された言葉でした。

「日本の政治家って、新幹線にタダで乗れるんだろ?だったらそれを使って被災地の状況を見に来てもいいじゃないか」ということもおっしゃっていました。政治家が現地に入ったところで何もできないかもしれませんが、国の中枢を担う政治家からのメッセージが被災地に届いていないなと、私も被災地に派遣されている間ずっと感じていました。

「今回の経験から得られたことをぜひ持ち帰ってほしい」

最後の御挨拶で締めくくりの際に話されていた言葉です。避難所の支援は1クールにつき10名、5名×2チームで入りますが、最終日に全員が揃った中で我々に投げかけていただいた言葉でした。

この言葉の奥には「もうこれ以上、地震で私たちのようにつらい思いをする人を出さないで欲しい」という思いが込められていたのだと思います。

この言葉を決して忘れず、公務員としてあと3年ちょっと、市会議員としてさらに20年、地域の防災力向上に邁進していくことを自らに誓いました。

参考までに義援金に関するHPの情報を貼り付けておきます。

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