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【書籍紹介】シャーデンフロイデ

Voicyのプレミアムリスナーが参加するLINEのオープンチャットで紹介されていた本だったのですが、もともと著者の中野信子さんに興味もあったことから、ポチってkindleで読んでみました。

「人間性とは何か」について深く考えさせられるとともに、最近身の回りに起きたことがこの本を読むことで非常にクリアになったので、そのことを紹介させていただきます。

若干ネタバレもありますので、御了承の上お読みください。

概要

著者である中野信子さんは東京大学医学部のご出身で、脳に関する研究をもとに多数の書籍を執筆していらっしゃいます。

書籍のタイトルにもなっている「シャーデンフロイデ」とは、ドイツ語のシャーデン(害もしくは損害)とフロイデ(喜び)を組み合わせたもの。いわゆる「人の不幸は蜜の味」というやつです。

これが人間なら誰しもが持っているものであるという認識を、オキシトシンというホルモンの話から解き明かし、ひいては人間がこれまで集団を守ることによって生き延びてこられた要因にもなっているということが書かれています。これは同時に「集団を守る=異物を排除する」ということにつながり、ときに残忍なまでの行動に人を駆り立てる危険性があると説いていらっしゃいます。

印象に残った言葉3選

以上のような概要を踏まえ、とりわけ印象に残った部分をピックアップしました。

①愛について

愛は人を救うどころか、それに異を唱えるものを徹底的に排除しようという動機を強力に裏打ちする

「まえがき」より

「あなたのためを思って言っている」というセリフを聞くことも多いかと思います。が、これに異を唱えようものなら、場合によっては徹底的に排除される側に回されてしまうということでしょうか。

その人にとっては「愛」かもしれませんが、見方を変えれば反論するものを抹殺する凶器になる可能性があるということですね。高校時代の部活の先生が「本人の好きなようにさせることが一番厳しい指導だ」とおっしゃっていましたが、相手のことを思えばこそ、自分の考えを押し付けず本人に考えさせ、自分で蒔いた種を自分で刈り取らせることが本当の愛なのかもしれません。

②社会について

誰かを叩く行為というのは、本質的にはその集団を守ろうとする行動

「ヒトの脳は誰かを裁きたくなるようにできている」より

誰かのものを盗むとか、理由もなくいきなり殴りかかるといった行為は本来的にとがめられるべきものではありますが、それが行き過ぎると「小さな集団」を守るためにその集団内でのルールを守れない人を叩くということにつながる可能性があるといった事が書かれています。

仕事をしているとよく経験するのですが「○○ルール」みたいに、その職場(部局や場合によっては係レベル)ごとに独自のルールみたいなものが定められていることがあります。色んな経過があり、そういったルールがあることで仕事が回りやすくなるというメリットも確実にあります。

が、これは人類全体の普遍的なルールというわけではないので、あまりにこれが金科玉条になると、そのルールによって苦しむ人も出てくるということでしょうね。ルールがもたらす利便性には目を向けつつ、それを守るのは手段であって目的ではないということを認識しておこうと思います。

③戦争について

戦争ほど人間的なものはない

「戦争に向かう脳」より

今回一番インパクトを受けたのはこの言葉。最後のほうに登場するものですが、ここまで読み進めると非常に納得できます。人間は自分が属する集団を守ることによって生き延びてきた。そのためには時に戦いを好み、それを経て生き残ってきたのが現代の我々である。そういった「戦いを好む」DNAの保有者である我々人間をもっとも人間たらしめるものが「戦争」である、という話の流れには非常に説得力がありました。

「戦争は非人道的」という言葉もよく聞きますが、非人道的でありながらも人間的なものであるということは念頭に置いておかないといけないなと思いました。

体験談

最後に自分の身に起きたことを、この本を通してどう理解したかについて書いておこうと思います。ペイウォールを設定しておこうと思います。

自分の身に起きたこと

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