旅館スタッフが遠隔かつ、プロジェクト単位で仕事をする時に意識していること
世は空前の副業時代…比較的堅いとされている宿泊業界でも副業を解禁している会社が増えてきました。私自身も2021年から副業を開始し、在住している長崎県で旅館のスタッフとして働きながら、さまざまなプロジェクトに参加しています。
宿泊施設の業務は、ほぼ毎日のように働くメンバーと顔を合わせる仕事ですし、旅館という場所は「阿吽の呼吸」を求められる場面も多いように感じます。目を動かす、手を動かす、相手の動きを見てこの後どのようなことをすべきか考えながら身体を動かす。(これ、ばっちり決まると最高に気持ちいいんですよね)
ですが、テレワークでは働く場所もそれぞれ違い、業務時間もバラバラの働き方は少し勝手が違ってきます。今も試行錯誤しながら、時には「ああすれば良かった、こうメッセージを送れば良かった」など悩みながらやっていますが、同じような悩みを持つ人にも向けて、ここ約2年の工夫をまとめたいと思います。
何を意識しているか
普通はない
遠隔かつプロジェクト単位の仕事は、関わる人が多様です。それぞれ今までに経験してきたことや、知識も違いますし”前提となる考え方が違う”という意識は必要だと思います。
「普通はこうだろう」
「みんなそうに違いない」
という過信が認識のズレを生み、そのズレがプロジェクト全体に少しずつ影響を与えます。バタフライエフェクトではないですが、一つのメッセージを読み違えたあまりに、スケジュールが大きく狂うということはあり得ます。
私が広告の制作会社で働いていた時のことです。私のいた部署には、アメリカ・トルコ・インドネシア・ベトナム・フィリピン・中国の人がおり、クライアントはマレーシアの人でした。生まれ育った環境が全く違った我々は”前提”という言葉に意味がほぼなかったように思います。
例えば、仕事で雑誌を制作していた時。掲載する写真についてどれがいいか、クライアントと検討していました。影があり、全体の色味が暗い写真を見て私は「上質な感じがして美しい」と思いましたがクライアントは「暗いから嫌だ」と言いました。もちろん極端な例ですが、同じ業界であっても前提となる経験や知識、感じ方は違います。そこを注意しながら「普通はない」と割り切って丁寧にコミュニケーションをとりましょう。
ワンセンテンス、ワンメッセージ
テレワークではSlackなどのコミュニケーションツールを使うことになると思いますが、基本的にテキストの世界です。テキスト、私は大好きです。話すのが苦手ということもありますが、考えをまとめやすく、論理的な構造を作りやすい表現方法だと思います。
ですが、それは書き方によっては全く別のものになります。詩などの自己表現は別ですがビジネスにおけるコミュニケーション、情報の伝達という意味では「誰が見てもわかりやすい」ということが重視されるべきです。
理解しやすい文章は基本的にはワンセンテンス・ワンメッセージ。例えば以下の違いです。
改善内容はもっといろいろあると思いますが、意識することはワンセンテンス・ワンメッセージ。複数の話題がある時も短く区切る、テーマごとに箇条書きをするなど工夫して分かりやすくしましょう。
報告か、連絡か、相談か
複数の人と働くと報連相をする場面が増えます。ワンセンテンス・ワンメッセージにも通ずることですが、まず最初にそのメッセージが報告か、連絡か、相談かを伝えることが重要です。
特にSlackなどのコミュニケーションツールは情報が超フロー状態です。さまざまな情報が流れまくります。プロジェクトオーナーは毎日さまざまな意思決定を行わなければならないので、「報告か連絡か相談か分からない文章」は意識的か、無意識か読み飛ばす傾向にある気がします。
読んで3秒で判断つかないものに関してはスキップする感じでしょうか。そうならないためにも最初に何かを伝えることが重要です。
方法はなんでもいいと思いますが、私は文章の最初に【報告です】とか【相談です】みたいにつけたりします。
自分で考えてから提案する
前述しましたが、プロジェクトオーナーは意思決定の数が多いです。毎日、朝から晩まで判断をしています。なのでその意思決定をできるだけしやすいように工夫します。
例えば打ち合わせのスケジュール調整でも、相手のスケジュールがわかる状態なら「いつが空いてますでしょうか?」と聞くより、◯月◯日 14:00-15:00空いているのを確認しましたが問題ないでしょうか?とYesかNoで回答できるレベルまで具体的にします。
スケジュールが分からない相手でも選択肢は提示できるはずです。(関係性やシチュエーションによっては具体的でない方が良い場面もあるのでそこらへんは文脈次第ですが…)
この「自分で考えて提案する」ということはすごく重要だと思っています。
など、まずは自分で考える。そして伝える。その考えやアイデアが間違っていても全然いいんです。間違った選択肢を早い段階でなくす仕事をしたということですし、自分で考えないのであればその仕事に携わる意味がないと思います。
後工程を考える
複数の人が関わるプロジェクトは業務が一人で完結しません。仕事が①〜⑩まであったとして自分より前工程の人がいて、さらに後工程の人がいます。この、後工程の人をどれだけイメージできるかが重要です。
旅館やホテルでは、お客様の滞在中の様子やトラブルの有無をメンバーが入れ替わる前後で引き継ぎを行いますよね?これは自分一人で仕事が完結しないという点で同じです。
など、自身の後工程を考えて実行すると思いますがテレワークでも、あらゆる業務において後工程を考えましょう。仕事の仕方がガラッと変わるはずです。
チャットコミュニケーションで私が多用する形式
上記は意識すべきことですが、実際その考え方が具体的にどのようなチャットコミュニケーションに落とし込まれるかの例です。
① スケジュール調整の時
【 POINT 】
・選択肢を提示する
・日付と曜日も記入する
・候補に番号を振る
② 質問や確認でも選択肢を提示する
【 POINT 】
・自分の認識を伝える
・何と何で迷っているのかを伝える
・相手が一言で回答できるように選択肢にA), B)を振る
③ 叩き台・草案を作る
【 POINT 】
・最初に検討結果(結論)を書く
・なぜその結論を出したのか筋道を書く
・留意点を書くことで何を考え、何を考えていないかを伝えられる
相手のことを考えられるか
意識することや具体的な方法を書きましたが、最終的にはどれだけ「相手のことを考えられるか」だと思います。仕事の相手はどんなシチュエーションなのか、何に悩みそうか、この後どのような使われ方をするか?など関わる方のことを考えて工夫する。
その積み重ねでしか、ミスコミュニケーションは減らないと思います。相手のことを考えているけど、最終的には回り回って自分の仕事がスムーズに進む、そんな好循環が生まれたらいいですよね。
遠隔やプロジェクト単位の仕事は難しい面もありますが、今までの働き方だと経験できないようなことを出来る素晴らしいチャンスでもあります。少しでも参考になれば嬉しいです。
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