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No.134 よろしく!小野先生(5)手作り教材の話・その2英語

No.134 よろしく!小野先生(5)手作り教材の話・その2英語

No.132の続きです)

手作りの教材は、科目で見ると英語が一番多い。中学生の定期テストの点数を上げるには、教科書本文の理解と単語・熟語の暗記が避けられない。単純に考えれば教科書を暗記すれば高得点が期待できる。それに加えて、英語の習得には、日本語と違う語順を理解する必要がある。この2点を考慮して、教科書本文を語順通りに訳す教材を作っている。僕は「怪しい中国人訳」と名付けている。差別語になってしまうであろうか?

1960年代アメリカに起きた公民権運動の指導者キング牧師を取り上げた単元の訳の例を示そう。

" I have a dream. Some day, my four little children will not be judged by the color of their skin…"
「私には夢がある。いつか、私の4人の子どもたちが皮膚の色によって判断されなくなるだろう…」
「私 持つ ある夢。いつか 私の4人の幼い子どもたち 予測~否定~受動態~判断する その色によって of 彼らの皮膚…」

Martin Luther King Jr. said these words in the speech in 1963.
マーチン・ルーサー・キング2世は1963年の演説でこれらの言葉を言いました。
マーチン・ルーサー・キング2世 言った これらの言葉たち 演説で 1963で。

He was a great leader who worked for the right of African American.
彼はアフリカ系アメリカ人の権利のために働いた偉大な指導者の一人でした。
彼 だった 一人の偉大な指導者 who~働いた~その権利のために-of-アフリカ系アメリカ人。

如何であろうか、改良した方がいい箇所などの意見があれば是非お聞かせ頂きたい。

大学受験のための英単語集「DUO」が出たのが1994年のことだった。英語例文475の中に2400あまりの英単語が無駄なく収録されていて感心した。ICP出版と聞いたことのない会社から出されていた。初めて本屋さんで手にしたとき「やられたなあ〜」と先を越された気分だった。同じような形態で単語集を作ろうと考えていたのだ。

生来の好奇心が沸き起こりICP出版に電話をしたところ、代表で著者の鈴木陽一さんが電話口に出られた。ご自身で起業なされたようだった。
「いや〜、素晴らしい単語帳を作られましたね。動詞と名詞の相性のいい例文がとても良くて感心させられました」
「ありがとうございます。嬉しいです」
「ひとつ気に入らなかったところがあります」
「どこですか?参考にお聞かせください」
「英語の例文のすぐ後に日本語訳が載っているところです。日本語が目に入ってしまうので、英文と日本語訳文は離した方が良かったと思います」

3年後の1997年改訂版の「DUO2.0」が発売になった。例文が505題、単語が2600となり例文も大分変更されて、益々良くなっていた。英語例文と日本語訳文が離れた形になっていたのは、おそらく僕以外にもそのような声があったと思われるが、「DUO2.0」は僕の意見を採り入れたと、プチ自慢話のタネの一つとしている。

「DUO2.0」のテスト用教材として、英語例文と日本語訳505題を別々にプリントとして作り、活用している。現在、書店店頭には例文が長めになった「DUO3.0」が並ぶが、個人的には「DUO2.0」の方が好みで、数年前ICP出版に連絡をして在庫残り40数冊を買い占め、手作りプリントと共に大学受験生の英単語教材として使用している。

文の骨組みを形成する「主語」と「目的語」には「名詞の形」が置かれ、5つの形があると教えている。1)名詞・代名詞そのもの 2)動名詞 3)不定詞(名詞的用法) 4)thatで導かれるひとかたまり(that節で教えることもある) 5)wh-, howで導かれるひとかたまり、がその5つである。

おふざけで6番目として「長方形」と教える。生徒に「名刺」を示し、「『名刺の形』は長方形だよね、正方形や円ではない〜」と、ひとり悦に入っているのだが、少なからぬ生徒が6番目だけを覚えているのは、ご愛嬌と笑ってもいられないかな。加えて最近は凝った名刺もある。階段の製造元の『名刺の形』が階段状になっているのを見て、近い将来にはこのおふざけも使えなくなるかもしれないと思った。

単語として多くの「名詞」があるが、記憶に残りづらいのは「抽象名詞」であろう。記事No.132で触れた「難読漢字」のように、これらの「抽象名詞」も「単語カード」「単語プリント」「単語を含んだ例文プリント」などを手作りしている。

英語に限らず他の言語でも「名詞」を覚えるよりもさらに重要なのが、文の根幹を成す「動詞」を覚えることであろう。名詞と同じように「contribute:貢献する」や「improve:改善する」のような抽象的意味を持つ動詞は、記憶に残りづらいので早くから教えるようにしている。

「contribution:貢献」や「improvement:改善」のように「動詞」から派生して「名詞」を作ることも多いので、語彙を増やすには、まず「動詞」を覚えることが有効であり、そのための教材を数多く作っている。

このほかにも「接頭語・接尾語から覚える英単語」「リスニングのコツ・消える音の研究」「高校受験のための英作文300題」「高校受験のための動詞200題」「基本動詞20個プラスその例文20題」・・・

全ての手作り教材を活用している訳ではないが、頼ってきてくれる生徒たちの「意気を感じ」それに応えるように、暗中模索を繰り返しながら作った愛しい教材たちを、少しばかり誇りに思っている。

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本名:小野信也です。1954年5月15日生まれ。福島県いわき市出身です。現在、東京都板橋区に住んでいます。個人で学習塾を経営しています。趣味:マジック、Bob Dylan、映画鑑賞、美術鑑賞、食べ歩き、旅、おしゃべり。好奇心旺盛ですね、と言われます。

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みきらん
みきらん
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コメント (7)
ひよこのるるさん

コメントありがとうございます。僕とは進むベクトルは違いますが、ひよこのるるさんの意欲に溢れた姿勢には、本当に爽やかさを感じて生きる上での刺激にもなっています。感謝です。

なるほど〜!英語を残す方法は意外に思いつきませんでした。
これ、ちょっと作りたくなりました。

ひよこのるるさん、ご自身で「英語とロシア語」「英語とフランス語」などお造りになってみては如何ですか?
日本では、英語をある程度習得した方が次の言語に挑戦する傾向があると思います。
そこに少し日本語の助けを加えて説明するとか。
例えば、

the white house (英語)
ia casa banca (スペイン語)
las casas blancas

スペイン語は英語と違い「名詞・形容詞」の語順となる。また冠詞、形容詞も複数形を持つ。
とか。

僕がひよこのるるさんのこんな記事が読みたいという欲求ですね(笑)。

僕の記事の中で触れている「熊本の怪人」こと坂本さんも言語マニアというか、面白い方です。まだ読まれていないのでしたら、是非読んでみてください。No,082 No.083 です。




お返事ありがとうございます!

自分の中では、いきあたりばったりで興味を持ったことをつまみ食いしているだけで、そんなに意欲に溢れているつもりはなかったので、そういうふうに見えているんだ、となんだかとても不思議な気分になりました。

英語以外の外国語教育において、既にある英語(や日本語)の知識との関連づけをもっとするべきだというのはぼくも感じています。
フランス語の la terre を覚えるときに、territory や terrestrial と同源だと教えてくれればいいのに、みたいなことがいっぱいあって、単語に関してゆくゆくそういうことをやってみたいとは思っています。
あるいは簡単な文でも、(英)Tom is a student. /(仏)Tom est étudiant. /(独)Tom ist Student. みたいに並べると、述語動詞は全部印欧祖語の *h₁ésti に遡れるとか、「学生」はみんなラテン語起源(ただし高校生を含むかなど違いはある)とか、仏独で職業を表す“補語”が無冠詞になる現象は英語でも He was appointed president. のような SVOC の補語では見られるよね(でもそれはそもそもなぜなんだろう)、とかいろいろ語れることは出てきます。

でもこういうことって全部、ぼくにとってはちょっとだけ面白くて、ちょっとだけしか面白くないので、ほかの人たちにとってはどうなんだろう、と思ったりします。

昔の記事も拝読しました。文学はぼくには少し重すぎて、近づいたり距離を置いたりを繰り返していますが、そのうち一生をかけて読み込みたい作品に出会う時が来るのかもしれない、と思いました。
ひよこのるるさん
コメントありがとうございます。
「ちょっとだけ面白くて、ちょっとだけしか面白くない」上手い表現だなあ〜!
コメント、「とても面白くて、もっと語って欲しい」でした。
今日の記事の「tかsを入れるクイズ」も面白かったですね。「ちょっと自信が持てなかった」です(笑)
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