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医師は患者に寄り添うな。

問題を解決するためには『そこにある危機』の認識が必要になる。
危機感が増せば増すほど、人の行動は活発になる。

そういう意味では医療現場における患者の意思決定について、どれだけの人が危機感を持っているだろうか?ほぼいないんじゃないかな。

こんなツイートをしてみました。


患者の意思決定とは?

患者の意思決定とは、診療の現場において医師等の医療従事者から適切な医学知識や医療情報の提供と説明を受け、患者の社会的背景を鑑み医療内容を決定していくことです。

最近よく耳にするインフォームド・コンセントがこれにあたります。

インフォームド・コンセントの現状

コルク代表の佐渡島庸平氏はnoteでこのようなことを仰っていました。

医者と患者は、情報が非対称で、医者が患者の上位にいる状態が長く続いていた。しかし、インフォームドコンセントなどが必要となっていき、医者が患者から訴えられる可能性が増えてきた。その流れで、医者が患者とコミュニケーションを取ることをリスクと捉え、患者が受け止められるか分からない情報は、伝えないとなっているような気がする。

今回の意見はファクトに基づいていない、外部からの感想とされていますので、内容についてご指摘するつもりはありません。

ただ、私は佐渡島さんの感想とは真逆の感想を持っています。

医療者は難度の高いコミュニケーションが必要だったり、受けとめられるかわからない情報は、むしろ積極的に患者にお伝えしようと努力している。

とはいえ、伝えないのではなく伝えきれない事情も確かに存在する。
その伝えきれない原因にあるのが医療の不確実性だと推測します。


医療の世界は曖昧さと不確実性に支配されている

医療行為は本質的に不確実です。
過失が無くても重大な事故は起こり得ます。

病気の種類は多種多様で複雑。
いくら診療技術や診断技術が高度化されていっても、100%確実な診断や治療・経過予想はあり得ません。

人体はわからないことだらけ。
そもそも現代医学が正しいとも限りません。 

また、患者1人1人の個人差も当然存在し正確な結果予測は難しい。
このように医療の世界は不確実性に支配されています。

そして難点がもう1つ。

医療には不確実性に加えて曖昧さも溢れている。

曖昧とは、態度や物事がはっきりしないさま、2つ以上の意味にとれる表現と定義されています。

先にも述べたように医療の世界には不確実性が存在する。
根本の事象が不確実であると、そこから派生するあらゆるコミュケーションに曖昧さが生じていく。

この不確実性と曖昧さが、医療者の不要な介入や寄り添いを助長させ、患者の甘えが許されてしまうケースを増やしていくことになる。

医師は患者に寄り添うな

ツイートでも述べたように、意思決定に関わる医療現場での医師の寄り添いは、医師自身の疲弊と患者の甘えを助長させるだけです。

ではなぜ、医療者は必要以上の介入を行い患者はそれを許すのか?

理由は簡単。
双方にっとてそれが1番楽な形だから。

患者は専門家である医療者の見解をそのまま受け入れ決断したほうが楽。

医療者は自身が是とする医療内容をスムーズに受け入れてもらった方が、効率も良く結果にもコミットしやすい。

※すべての事象にあてはまりません。
そういったケースもあるという私個人の見解です。

とはいえ、患者の意思決定プロセスを効率化させると、医療者の負担はどんどん大きくなっていく。

医療者が一度でも患者の自己決定に必要以上に介入してしまうと、それ以上の介入を迫られるケースが往々にしてあります。

そこまで言ってくれたんだから最後まで責任持ってよ…
私はあなたのことを信頼しているからお任せしているのに…

といった感じの信頼という名の甘えに医療者は疲弊を重ねていく。

結果的に、医師の不要な介入や寄り添いは誰の為にもならない。

自身の重大な結論に責任を持てない患者と、身を削りながら曖昧な責任を担保していく医療者を産み出すだけです。

最後に

ここまで医療の不確実性や曖昧さ、医療現場でのコミュニケーションについて綴ってきましたが、すべての医療機関・医療者、あるいは医療消費者に当てはまる事象ではありません。

あくまでも私個人の見解です。

ただし、稀なケースではないことも知っておいてほしいと思います。
もしかするとご自身が?といったこともあるかもしれません。

患者は医療の不確実性を知り、自己決定権を歪みなく行使する。

医療者は自身の正義や良識は心に収め、患者の力を信じて求められる知識や情報を提供する。

このような関係性が、患者の自己決定の尊重につながっていくのではないでしょうか。

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