ヌカヅケ小説 ヌカヅケのヒッ! NO.8
「億子さん、いらっしゃい」マダムイクコが声を掛けてきた。
わたしは自分の名前を呼ばれると、時代劇の世界へ引きずり込まれる気がして、歯をくいしばり、その場に留まれるよう足を踏ん張った。
億子という古臭い名前がいけないのだ。
わたしにとって、『億子』という名は『遠山の金さん』『銭形平次』『水戸黄門』といった銭や金や黄金の入りまじったウハウハした名前と同じ種類のものだった。
写真 : わたしの名は億子
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