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なぜ男女の賃金に格差があるのか 読書記録2024.17

みなさまごきげんよう
本日はこちらの本をチョイスさせていただきました。

・過去100年にわたる大学卒業後の女性は5つの異なるグループに分かれている。
第一グループ:1900-1910年代→家庭かキャリアか
第二グループ:1920-1930年代→仕事のあとに家庭
第三グループ:1950年代→家庭のあとに仕事
第四グループ:1970年代→キャリアのあとに家庭
第五グループ:1980-1990年代→キャリアも仕事も

・男女の所得格差はキャリア格差の結果であり、キャリア格差はカップルの不平等の根源である
・男性は家庭を持ちながら、キャリアアップすることができる。それは、女性が家族のより良い幸せのために時間を提供しようと、キャリアを置き去りにするからだ。
・職業を変えて平等を実現する(=各職業に占める女性と男性の割合を同じにする)という困難な課題を達成できたとしても、男女の収入格差の3分の1程度しか解消されない。さらに職業内の収入格差は、高学歴の方が大きくなる。
・キャリアと家庭が同じ空間を埋めるようにするためには、何かを捨てなければならない
・片方の親が、キャリアか家族かのどちらかの領域に特化すると、夫婦の公平性が損なわれてしまう
・休職による年収減は学位によって異なり、その差は大きい。学士号を取得して大学を卒業してから15年目の時点で測定した所得ペナルティは、医学博士が最も低く、MBAが最も高い。
・「キャリア時計」は「生物学的な時計」と「家庭的な時計」と同時に動いている。多くの女性そして男性はキャリアがそれほど充実しないうちに家庭を築かなければならない。
・問題を知ることで、私たちは正しい方向に進むことができる。少なくとも、手っ取り早い解決策で時間を無駄にすることはないだろう。

本文より

本書は1900年から今日に至るまでの大学教育を受けた女性たちを5つのグループに分け、どのように結婚、子育て、そしてキャリアの問題に対峙してきたかを社会背景を踏まえつつ筆者の研究結果から詳細に分析されており、大学で講義を聞いているような、論文を読んでいるかのようなになりました。
1世紀の中で、各グループが直面してきたハードルを飛び越え、障壁をかわし、繋がれてきたバトンのおかげでキャリアと家族に良い変化が生じ、今の「キャリアも仕事も」得られる状況になりつつあることに重みを感じました。(キャリア、と言っても働く女性全員がキャリアを求めているわけではないと思います。また昔はキャリアを求めていたけれど、今は自分の判断にてペースダウン中or そこまでキャリアを求めなくなった、というケースもあると思います)。
「キャリアも仕事も」得られる状況になりつつある現代ではありますが、女性が男性と公平・均等に仕事と家庭を営んでいるか、責任を負えているかといえば ”yes” とは言い難いのが今の日本で、まだまだ解決しそうには思えません。男性の育休取得率が上がってきているようですが、それでも女性の家事・育児の時間は男性の5倍以上で格段に多いままです。しかし、女性を取り巻く環境は良い方向に向かっている、という希望を持てそうな気が本書を読んでいて感じました。家庭、仕事、キャリア・・・。いつの世代も直面する、一筋縄ではいかない問題です。

文章量も多い本書でしたが、読み応えは十二分にある一冊でした。
それではみなさまごきげんよう。

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