見出し画像

夜がもう少し長かった頃

パチッと室内灯をつける。
そっと触れて枕元の灯りをつける。
動くものの気配で電灯がつく。

夜に人工的な灯りが使えて
便利にはなったけれど
夜をそのまま楽しむ時間が
とても短くなりがち。

ヒトはたくさん勉強したり
いっぱい働くようになったけど
笑顔は減って苦しむヒトが増えた。

太陽がのぼり私達を照らす。
やがて薄暗くなり
家に帰りたくなる。
暗くなった空に星が輝く。

ほのかなろうそくの光だけで
夜を過ごすのが好きだ。
室内灯は特別な場合を除いて
いつも柔らかなもの。
薄明かりの空間は落ち着く。

絵を描くときは手元だけを照らす。
針仕事も同じ。
音楽は流すけどテレビはないから
ごちゃごちゃした雑多な情報は
聞こえないし見えない。

もう少し夜が長かった頃
人間達はもうちょっと
笑顔と心のゆとりが
あったんじゃないかな。

そんなことを思いながら
身支度をしてベッドに潜り込む。

おやすみなさい。

(はてなブログ「アレコレ楽書きessay」2023.9.29 天転載)

Grazie 🎶