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太ももの隙間があなたを不健康にする

『脚痩せ』は、現代人にとって関心の高いトピックですよね。

脚痩せ系のYouTubeや本がたくさん出たり、脚を強調した写真にたくさんいいねがついたり...。私たちは必死にあの隙間を追いかけてる。

でもね、ひとつ質問したいことがあります。

「そもそも、なんで太ももの間に隙間が欲しいと思うんだろう?」

どこの誰の言葉がきっかけで太ももの隙間を追いかけ始めたんだろう?あなたの欲や美意識の根っこの部分まで、考えてみたことはありますか。

今回の記事は、太ももの隙間のカラクリの紹介と、あなたのコンプレックスを利用して潤う"太もも市場"への問題提起です。

◆太ももの仕組み

太ももの隙間は、今や世界中で"美の象徴"と勘違いされていますが、身体の構造上、存在するべき隙間ではありません。 

これは、人の身体の構造を見るとハッキリと言い切ることができます。まずは骨の配置から見てみましょう。

骨格だけ見てみると、たしかに脚と脚の間に大きな空間がありますよね。

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うん、これだけ間があれば、隙間も出来そう。

この骨格に内ももの筋肉を乗せていくとこんな感じ。

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内ももの筋肉は恥骨から太もも・スネの骨に向かって走っていて、標準的なサイズの筋肉がついているだけでここまで隙間は埋まります。

この上に脂肪が乗るので、太ももの間の隙間はほぼ無くなります。

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「でもその筋肉と脂肪も落としたら、その隙間は大きくなるでしょ」って思うかもしれません。

残念ながら、そんなに甘くない。

内ももにこれだけの筋肉がついているのには理由があります。股関節は動かせる範囲(可動域)が身体の関節の中でもナンバーワン級に広く、登ったり泳いだり体重の何倍もの重さを支えたりするために発達したんです。

この筋肉がないと、ヒトとしてする動作が正しく出来なくなり、膝の痛みにつながります。最近は10代でも膝の痛みにがある人がたくさんいますね。股関節の機能低下が原因です。

また、太ももの脂肪は女性ホルモンが密接に関係してくる部分なので、ここから痩せようとするのはプロでも苦労する技術。体重が落ちるだけでは細くなりにくい部分なんです。

人生思うように行かないもんだ...。

しかもですよ、みなさん。気付いてますか。大事なとこを見落としてます。

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この人、脚、閉じてないんです...!

脚まだ閉じてない段階で出来る出来ないの話をしていたんです...!

足首くっつけて立ったら、人間の身体は、膝辺りまで隙間が埋まるものだというのが分かりますよね。

断言します。
太ももの隙間は『存在するべきではない隙間』である!


◆隙間のカラクリ

今まで一生懸命あの隙間を追ってきた人たちは、大混乱ですよね。「でも確かに隙間ある人いるじゃん!」って思いますよね。幻でも見ているのかと思っちゃう。

実際、太ももの隙間がある写真はこの世にたくさん存在しています。

出来るんです、存在するべきでない隙間が。

それっぽく見せるための工夫をすることで。

(倒置法)

そのカラクリを紹介しましょう。

太ももの隙間がある写真の殆どが以下の5つにカテゴリー分けできます。

①脚を開いて立ってる
②膝下は写真に写さず、脚を開いてるかどうか分かりにくくなってる
③腰を後ろに引いたり、片足だけ前に出したり、膝を曲げるなど、脚が細くみえるポーズをしながら立ってる
④O脚(くるぶしはくっついてるけど、膝と膝がくっついてない)
⑤極度の痩せすぎ

ダイエット企画とかの比較写真みたいなのには、①②④がめちゃめちゃ多いです。

③はインスタや雑誌に多発してます(モデルやインフルエンサー)。

⑤は既に痩せてるのにダイエットを公表してる人たちに多い。

『脚痩せ』の画像とかで検索してみてください。面白いくらい当てはまります。世界の見え方が変わるでしょう。今まで幻想を見せられていたような気になります。

ようこそ
現実の世界へ

これがこの太もも市場の裏側です。


◆文化で異なる隙間の捉え方

今私が指摘していることは、10年近く前にはアメリカでもう言われていたこと。(10年ほど前の記事)

私の住んでいるニュージーランドでも、数年前からその流れかなあと。隙間を促す商品やサービスはほとんど見なくなりました。あまり健全なイメージではないからです。

でも、アジア圏ではまだまだ隙間フィーバー真っ只中。

ガリガリの脚で踊るアイドルを見ても、まだまだ脚痩せブームなんだなあと感じます。

日本語で『脚痩せ』とググると、筋トレ、マッサージ、ストレッチ、商品など、1200万件を超えるサイトがヒットしますし

トレーナーが太ももの隙間でマーケティングをしていたり、よく売れる本や人気のYouTubeでは隙間を強調していたりします。

みんな関心が高くメディアも好んで使うので、脚痩せ市場の規模は大きくなる一方。

ヨーロッパ出身の同僚に「なんでアジア人の女の子は痩せすぎた身体が魅力的だと感じるの?」と聞かれるのですが、なんと答えてたらいいのかなあ...と返答に困っている私です。


◆なぜその隙間に自分の魅力を頼るの?

人間の身体に存在するべきでない隙間を「それでも魅力的だから」と欲しがるような美意識は、ちょっと歪んでいるのではないでしょうか?

そうして、その歪んだ美意識を正すどころか商売文句として使ってくる商品やサービスは、あなたのコンプレックスを利用しているだけではないでしょうか?

その隙間にお金を払って、誰が1番得するの?

ポージングしないで、膝もくっついてて、それでも隙間があったら、それは極度の痩せすぎです。

それでもその隙間が欲しいというなら、自分の健康を差し置いて、『誰かの定めた美の基準』を優先しているサインです

変えなければいけないのは、あなたの身体ではなくて考え方だ。

自分の体質や骨格を活かした自分の理想を探すべきです。

『あなたにしかなれないあなた』を磨くべき。

せっかく努力したって、脚の隙間に左右されるような自信をつけてるなら、身体が変わったって誰の得にもならないじゃないですか。

あなたは、脚に隙間がなくたって素敵な人間です。

もっと、自分が心からキラキラするような、他の誰かの意見に振り回されない、地面にぶっ刺さった自信を追い求めた方が人生が良い方向に動き出すと思いませんか?

脚に隙間があったら美しいって 「どこの」 「誰が」 「いつから」 「誰のためを思って」 「何の目的で」 言い始めたことなんだろうね。 

隙間が無くても美しい人間でこの世の中は溢れてるのに!


◆今すぐ変えなくていい

こういう話をすると、「へえ〜、そうなんだ。でも、そう言われてもやっぱり痩せてももの隙間作りたい」と言われることも多いです。

そうなんだよね、今まで信じてきたことをペロッとひっくり返して真逆の考えをするのは難しい。

それでもいいと思います。いきなり飲み込めなくてもいい。

 文化・視野・慣習・信じていることは1日では変わりません。でも、今は響かなくても、頭の隅っこで残ります。いつかどこかで響く。次に似た話を聞いた時に、今日より響くはず。

それでいい。少しずつでいい。

数ヶ月、数年たった頃に、「そういえばこんな記事を読んだなあ」って思い出してこの記事に戻ってきた時に「あ、私、身体に対する考え方が変わってきてる」って思ってくれたら私は嬉しいです。


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