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1番効果的に運動するタイミング

現代人は、忙しい。

勉強、仕事、遊び、趣味、家族との時間、家事、睡眠、何もしない脱力の時間、全てを24時間に詰め込まないといけません。なんてこった。

だから、私たち現代人は効率的!効果的!即効性!みたいな言葉に弱い生き物です。やれること、やりたいことをなるべく多く詰め込むために一番効果的だと謳われている運動・商品・サービスに飛びつきやすくなる。

忙しいんだもの、私たち。

「いつ運動するのが一番効果的ですか?」は、私も指導をしていて本当によく聞かれる質問です。

聞いてくる人は「答えは○時です!」という単純明快な回答が欲しいはず。残念ながら人の身体は『AならB』みたいに単純にできていないので、私は「うーん」と考えた挙句、こう返しています。

「『研究上の答え』と『現実的な答え』の、どっちが知りたい?」

◆科学が見つけた答え

効率性の需要に伴い、『どの時間帯に運動するのが一番いいのか?』に関する研究は世界中でされ始めています。

この論題はまだまだ新しくて、多くの研究者や専門家が異なる立場をとっている段階。明確な答えが1つあるわけではありませんが、傾向としては、脂肪燃焼に関しては朝イチに運動をするのが一番効果的なのではないかという見解があるようです。

ある研究では、朝運動をするとその日の代謝が上がるからといい、また別の研究では、代謝は変わらないけど脂肪燃焼のシステムが活発化するからではないかという考察も出しています。

よく分かっていない。10年後には覆される最新科学かもしれません。でも、これが今の結論です。

”科学的には、脂肪を一番効率的に燃やすのは朝イチの運動だと言われている”

◆科学的答えにある問題

朝イチ、仕事に行く前に運動をするのが効率的だろうということが分かったところで、この答えの問題点に触れます。

まず1つが、横断研究という研究のやり方そのものに限界があるということ。

横断研究というのは、「研究をしますよ!」と決めた日に、「こういう人たちのデータを集めますよ!」と決めた層から人を集めてデータを採取する方法です。

例えば、効率的に運動をする時間帯を調べる研究だと、被験者を500人集めて、丸1日その人たちの脂肪燃焼の働きのデータを集める。そのデータを統計的に計算して「この500人に当てはまる答えは〇〇でしたので、同じ層の他の人たちも同じ傾向がある可能性があります」という結果を出します。

横断研究の問題点は、たまたま設定した被験者たちのその期間のデータであって、その後のことに関しては「今日こうだったんだから別の日も同じことが起こってる可能性があるよね」という”予想”でしかないことです。

現実的には、夏と冬では脂肪燃焼のシステムが違う可能性もあるし、お正月太りが気になる時期と夏バテで食事もままならない時期で脂肪燃焼の具合に差が出る可能性もあります。

また、遠い遠いアメリカのとある州の健康的な大学生を被験者として調べた研究結果が、日本で生まれ育った30代の人にどこまで当てはまるのかも不明瞭です。

同じ人間ですし、当てはまる可能性は高いと思いますが「科学でこういう結果がでたからあなたにも効きます!」とはいかない可能性もあるんです。

さらに、もう1つの問題が『継続性』です。

例えば、16週間に渡って朝運動したグループと夜運動したグループの脂肪燃焼を比較した実験があったとします。
実験期間中は頑張って研究に協力するために朝運動で痩せた被験者も、その次の週にはすっかり運動をやめて体重が元通りになってる可能性も、ゼロではありません。

私のように夜型人間にとっては朝の運動なんて苦痛以外の何者でもないので、いくら効果的だと言われても、布団に入って次の日の朝のことを考えるだけでストレスで心臓止まりそうです...。

やれて3日でしょうか、その後は反動で3週間は運動したくなくなると思います。トラウマ!

いくら実験期間中の結果を元に『朝イチの運動がいい』と証明されたところで、それが現実的に一番続けやすい正解になるとは限らないんです。

”いくら根拠があっても、合わないものは合わないのだ。”

◆現実的な答え

まず考るべきは、あなたのスケジュールの中で1番運動を取り入れやすい時間帯はいつか?です。

予定だけでなく、昼過ぎの方が元気がある、夜はちょっといつも疲れて何もできない、平日は急な予定が入ってプランが立てにくい、なども考慮に入れるべき点ですね。1番続けやすい時間帯はいつか?

健康的な生活も、乱れた生活を軌道修正するダイエットも、エクササイズも、『数ヶ月だけ良くなってその後は元通り』では本質的な恩恵を受け取ることはできません。

効率的な方法を選ぶのは大切、でも継続的にできない方法なのならばその効率性の意味はなくなってしまいますね。

継続性が最優先。

効率的、効果的、かつ継続できる方法を選ぶのが成功の秘訣です。

朝イチで運動をする以外にも効果をうながす方法はたくさんあります。睡眠時間を増やしたり、睡眠の質を改善したり、食事の内容を改善したり、ストレスの量をコントロールしたり、運動の内容を変えてみたり...。

なにか1つ試しに変えてみる。小さな変化を積み重ねることは、何もしないより全然いいです。

”継続できないのであれば、世界で1番効果のある方法だって結果をもたらすことはできません。”

最新科学はあくまでもヒントです。そのままそっくり従うべき答えとして扱うべきものではありあません。

朝早く起きて運動するのが嫌なら、無理してやらない。

『あなたの性格・生活習慣・スケジュール・体質に合った時間帯』が、運動するのにもっとも効果的な時間です。

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