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男女別で考える最新フィットネス①:現在の常識は「男性」の常識!?

「朝イチで運動をすると痩せやすい」「痩せたいならスクワット」「カロリー計算で痩せる」のように、あなたがどこかで聞いたことがあるダイエットやフィットネス情報は、男性を元にしたデータから分かったことかもしれません。

◆現在の科学の常識は「男性」の常識!?

「男と女で身体は違うから、女性は『女性の身体にベストな方法』を選ぼうね」という考え方は、言われてみれば当然だと思えるのですが、フィットネスの世界で導入され始めてまだ長い年月は経っていません。

フィットネスに関する研究がスポーツ科学をベースに進んだこともあり、現在この世の中に出回っているフィットネス関連の知識の多くは、健康な成人男性を対象にした研究によって明らかになったもの。(多くのスポーツは、男性の方が資金が集まるため)

男女を分けた考え方が広まり始めたのは、たった10年ほど前のこと。私たち女性の身体が「運動や生活習慣にどんな反応を示すか」や「その反応にどう対応するのがベストか」については、まだまだ分からないことだらけなんです。

ただ、1つだけ確実に分かっていることがあります。

それは、女性の身体は『単に男性をひと回り小さくしたバージョン』ではない、ということ。

私たち女性は、骨格も、臓器も、ホルモンも、行動心理も、生活に求めるものも、社会で直面する問題も、男性とは異なります。自分にピッタリのフィットネスを見つけるためには、男性とは別の視点で考えなければなりません。

※男女の性差について語る時は、ジェンダーとしての女性・男性(性認識)と、生物学的な女性・男性(XXとXY)を分けて考えます。文化や社会をベースに記述する際はジェンダーとしての男女、科学や生物学をベースで記述する時はXX・XYとしての男女のことを指します。

◆プロでも男女分けずに指導をしている

スポーツの分野では、先進国の多くでいち早くこの性差を指導に取り入れています。例えば、プロやセミプロレベルのチームでは、生理中に膝の靭帯ACLを断裂する女性選手が多発していることに注目し、生理周期に合わせた練習メニューを組む方法を選んでいます。

フィットネスの分野では性差の考慮は遅れていて、生理周期を把握しないままトレーニングしたり、ライフステージによって変化する身体を無視した全年齢向け食事・エクササイズが流行ったり、男女同じ内容のスタジオクラスが開催されたりしています。

フィットネスのプロでも、性差を把握せずに指導している人がたくさんいる状態。トレーナー志望の人たちが参考にする教科書でだって、男性と女性のフィットネスを別々に扱っていないことも多々あります。

一般向けのメディアでは、生理周期を考慮しないダイエットが女性向けに紹介されたり、男性を対象にした研究が女性向けに紹介されていたり、ひどい場合は、雄ネズミの研究から分かったことをそのまま人間の女性に当てはまるかのように紹介している、なんてことも。

一概には言い切れませんが、北米、ヨーロッパ、オセアニアなどのフィットネス先進国では、一般レベルでも「男性には男性にピッタリのフィットネスを、女性には女性にピッタリのフィットネスを」という考えは少しずつ広まり始めています。

しかし、日本をはじめとするアジア諸国ではこの分野では遅れが見えていて、妊娠中の運動を禁止するアドバイス、妊娠したら退会させるジム、生理を隠して参加する運動・筋トレがまだまだあちらこちらで見られます。

ニュージーランドだと、妊娠した人をジムが退会させたら人権の問題でニュースになると思います…。妊娠中の運動が流産などにつながる危険性は科学的に根拠がなく、ただの妊婦差別だからです。(別の記事で詳しく説明します)

◆男性と女性は別でフィットネスを考えよう

一般で広まっている現在の科学の常識が「男性の常識」であることは、ほとんどの人がまだ知りません。

女性にフォーカスしたデータもこれからもっとたくさん集まってくれば、新たな常識も生まれてくるでしょう。これまでの常識が女性にとっては効果的でなかったということも分かってくるはずです。

ただ、そうやって常識が書き換えられるには数年から数十年かかります。

そんなに長く待っていては、フィットネスで迷子になる女性は増えていくばかり。このシリーズでは「今分かっていること」「まだハッキリとは分かっていないけど、今まで考えたこともなかった視点からフィットネスを見るきっかけになること」をまとめ、運動生理、スポーツ科学、ホルモン、ジェンダー、社会問題、多様性などなど、科学と文化的要素を合わせた多角的な視点でフィットネスを伝えます。

「頑張ってるのに結果が出ない」「努力が空回りしてる」「何やっても効果が出ない・続かない」と迷子になっている女性たちの光となりますように。

mikiko


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