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書き直しの応酬はどうしたら止まるのか/作家の僕がやっている文章術105

Webライターの人が、やっかいに思うのが差し戻しのリライト要求であると思います。

いっぽうでクライアント(発注者)が悩まされるのは、思い通りの文章原稿が仕上がってこないという状況なのではないでしょうか。

こうしたリライトの往復、リライトの応酬は、時間ばかりが消費されてしまいます。

原因は「主題の共有ができていない」ことにあると思われます。

+++ 発注文例 +++
「この春のレディースファッションにスカーフが流行しそうな予感(シャルメスのスカーフを推して)」で○○文字で。

発注文には表題(タイトル)はありますが、主題(テーマ)がありません。

さらにこの発注文には素材(モチーフ)はありますが、主題(テーマ)がありません。

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分解します。

<発注文例を分解>

表題「この春にスカーフが流行の予感」

素材「スカーフ」「流行」「予感」

主題「なし」

主題をクライアントが決めるか、ライターとクライアントが話し合って決めておくか、ライターが提案するかの必要があります。

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私が主題の例を作ってみました。

<文例1>
世界が閉塞的で抑制された服飾に我慢してきた反動から解放され、この春にはスカーフが流行しそうな予感(シャルメスのスカーフを推して)

<文例2>
この春には結び方を5種類覚えれば、1着のワンピースが多彩に装えるスカーフを1枚もっているだけで重宝する。(シャルメスのスカーフを推して)

<文例3>
この春、ワンポイントのアイテムが流行の予感。ワンポイントを服飾に取り入れるにはスカーフは必携アイテム。(シャルメスのカラフルなスカーフたちを推して)

<文例4>
この春には、1970年代に大ヒットしたシャルメスのスカーフが現代的なデザインでリバイバルヒットの予感。個性を演出するには、3つの結び方をマスターしよう。

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主題とは「伝えたいこと」です。

表題は「キャッチコピー」か「本文のまとめ」です。

素材は、この場合には「スカーフ」です。

別の例を挙げましょう。

「新入学生を迎える言葉」は、表題です。

「新入学生」「キャンパス」は、素材です。

「我が大学は、フリーラントとして活躍している人材を多く輩出している。講義で学び、多彩なクラブ活動を楽むことがデザイナーや、映像作家や、アニメーターとして働く道を切り開いてくれるかも知れない」は、主題です。

主題とは、あくまでも「伝えたいこと」なのです。

表題は「伝えたいこと」へと変わってはくれないのです。

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クライアント側は、主題をはっきりさせないまま、表題とモチーフだけを伝えて理想の文章記事がWebライターから、仕上がってくるのを期待してはいけません。

Webライター側は、クライアントと主題をきちんと決めてから執筆を始めなければ、リライトの応酬に遭うはめに陥ります。

表題と主題を混同しない。

まして、素材が主題に変わってくれる奇跡は起こらない。

主題がはっきりしている文章は、書きやすく、読みやすく、分かりやすい文章になります。

主題を共有しておくことから始めると、書き直しの応酬は起こらないのです。


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