#翻訳 なぜB2CよりB2Bの方が好きか
Atriumのパートナー、Justin Kanのブログで
なぜB2CよりB2Bの方が好きか、というテーマの投稿がありました。
(投稿は2018年7月11日)
私もtoCではなくtoBで行こうと決めていましたが、
その理由がクリアに言語化できました。
原文:Why I Love B2B over B2C
Justin kanは、ゲームのライブストリーミング配信会社 Twitch に進化し、後にAmazon に9億7,000万米ドルで買収された Justin.tvの創業者です。
参考:https://thebridge.jp/2017/09/atrium-is-a-startup-focused-law-firm-designed-for-and-by-founders
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なぜB2CよりB2Bのほうが好きか
世界最大のテック企業は、アマゾン、グーグル、アップル、フェイスブックのような、典型的な消費者向けインターネット企業なので、最近の起業家がB2Cに魅了されてしまうのは無理もない。創業者は普通自分の経験からビジネスアイディアを描くので、一度も大企業に勤めたことのない若手の起業家にとっては、B2Cのアイディアが持っている全てかもしれない。
私は、明らかに消費者向け企業であったTwichを創り、売却してさえいるが、それでももし選べるのであれば、B2Cはお勧め出来ない。
私が1から始めるとしたら(まさに私が今いるポジションである)、私はB2B企業を立ち上げるだろう(故に、Atriumがある)。理由を述べよう。
B2Bが(相対的に)コントローラブルなのに対し、B2Cはギャンブルである。
B2Cでは、成功するためには大きな波を乗をりこなさないといけない。これはただ良い会社を作ればいいだけではない。幸運に恵まれないといけない。
もしB2Cでの大成功を目にしたなら、それは創業者が初期には予想していなかった大きな波に、全員が飛び込んだということだ。
・Googleは、情報量の爆発的増加を生んだ、インターネット初期の波に乗った
・Facebookの波は、インターネットの大衆化と人々が自分のアイデンティティとつながりをオンラインに乗せることによって生じた快適さだ。
・Uberはモバイル時代のキラーアプリとして登場した―ちょうど全員が始めて携帯電話を手にした時に。
しかし、そんな波は多くはこないので、決定的なアプリも多くは出てこないだろう。
これは結果のべき乗分布※だ。毎年たち上がる数千の消費者向けインターネット企業には、おそらく0か1が起こるだろう。B2Cにおいて、成功の規模はその波と同じくらいになり、完璧に自分の手の外にある。
※一定の確率で成功するということがなく、また、平均や分散といった概念がない。
参考:https://www.newton-consulting.co.jp/bcmnavi/glossary/power_law_distribution.html
しかし、B2Bではそれは自分のコントロール下にある。問題は知られている。ただ顧客に問題は何か尋ね、それらを解決する製品を作ることができる。
Atriumを例にする―スタートアップは弁護士に何を望むか?彼らは、私が自分のスタートアップが法的に対応する必要があった時と同じような、一貫した要求を持っている。
・より早い仕事。なぜなら法対応がブロッカーになるのが嫌だから
・より高い情報の透明性。なぜなら法律がどう取引に影響するのか不確実で、しょっちゅう暗闇に落ちた気持ちになるから。
・より安い値段と、値段の見積もりやすさ(説明は不要だろう)
法務はこれらの問題を長い間抱えてきているし、誰かが解決するまで持ち続けるあろう。B2Bの顧客として、これらの領域で市場を動かす何かは、価値のあるプロダクトだ。
B2Cの製品が当てずっぽうなのに対し、B2Bの顧客は何が欲しいのか知っている
消費者は、自分達が何を欲しがるか説明できない、これがB2Cの製品を当て推量にしている。そこには明瞭な問題と解決策はない。いくつか例を見てみよう。
・スナップチャットのSnapstreaksは、課題ありきの製品ではない。これはエンタメだ。
このアイディアを、どのように顧客インタビューから引き出せるだろうか?顧客は絶対に「streakの記録に挑戦できるように、友達に何日連続でメッセージを送っているか通知してほしい」なんて言わなかっただろう。
・靴やファッションは単に好みの問題だ、だからAllbirds※がどうなるかなんてどうやって知りえただろうか?もし人々がその靴をダサいと思ったら?自分のコントロールの外に流行やリスクの要素があり、市場がそのプロダクトを受け入れるかどうかの予測は難しい。極端に言えば、B2Cのファッション業界は、創業者も言っているが文字通り強い信念を持つしかない。
※参考:シリコンバレーが夢中!オールバーズ(allbirds)、「世界一快適」と称された履き心地は?
もしあなたが流行をおさえるのが得意だったとしてもなお、B2Cの成功のためにはB2Bよりも壁がある。根拠のある予測ができても、さらに幸運が必要だ。なぜなら、消費者とは製品が問題を解決するかとは関係ない要素で決断をするからだ。彼らは、純粋に合理的な計算によって、購買や製品の利用を行うことはない。
多くの実用的な製品が即死している一方で、大ヒットするブランドとは、流行に乗ってできたか、事前には絶対に推測できなかっただろう問題を解決するものである。
企業向け(B2B)の変数は、もっと率直だ。B2B顧客というものは2つの疑問を持っている。
・このソリューションは、本当に自分の問題を解決するのだろうか?
・このソリューションは、お金を払っても良いくらい重要なものだろうか?
もちろん、製品を買えない理由には会社の事情や政治的なものもあるかもしれない。自社の推奨ベンダーリストに載っていないとか。しかし、製品がうまく動き、実際の問題を解決することが約束されれば、潜在顧客と取引をまとめられるだろうことはほぼ間違いない。さらには、製品が十分に大きい問題を解消すれば、実は彼らはブロック要因を排除するために動くだろう。
B2Bでは実行の道のりがクリアなのに対し、B2Cでは物事が上手く言っているのか知るのが困難だ
B2Cでは、物事が上手く動いているか把握するのがすごく困難になり得る。
口コミによる瞬間爆発的なトレンドと、個々人の消費者の気まぐれで、1日だけ大ヒットして、すぐしぼんでしまう製品を作ることもあるだろう。あなたは、満足してリピートしてくれる顧客または顧客が友達に伝えることで広く拡散した関心が欲しいだろうか?
PollyのRanidu Lankageは最初にこれを発見した。彼はほんの数ヶ月のうちに数百万にユーザー数を成長させ、しかし引き止めることはできなかった。
これはすべでプロダクト次第だ。そして、各製品がそれぞれ違う個性を持つのなら、誰かを引き付けているように見えるものは、他の誰かからはすぐ捨てられるように見える。あなたはしょっちゅう仮説と推測の中でもがく必要があり、そうしてでさえ、どの成功が持続するのか知るのは本当に難しい。
B2Bでは、実行への明確な計画を持っている。口コミによるトレンドに振り回される必要はない。マーケティング、セールス、エンジニアリング、すべてに知られた方法がある。これは多くの企業向けスタートアップが、異なる製品を販売しているにも拘らず同じチーム構成である理由だ。
以前その業界にいた人にアドバイスを求めることもできる。マーケティングやセールスの戦術をそのままコピーしたくなければ、彼らはどのようにチームを組んで成長していけばいいか考えを述べてくれる。
企業はより慣性的で、ある製品から他の製品に、突然変えたりすることもない。B2Bでは、その製品がワークしているのか知るのが簡単だ。企業が購入している間は製品はワークしている。
B2Cが挑戦を繰り返すのが難しいのに対して、B2Bはフォロー段階においても明確である。
B2Cでは、1つの製品が上手くいったとしても、第二幕(その次)を開発するのは本当に大変だ。
第二幕の成功者の代表であるGoogleを見てみよう。Googleは検索から始め、次に以下を足していった。
・Gmail
・Chrome
・Android
これらは成功した第二幕だ...だが、最初の製品であるGoogle検索は依然として最大の金のなる木だ。企業にとって、オリジナルと同じかそれ以上に引き付ける次の製品を作ることは、超絶めったにないことなのだ。Googleは本質的に、初期のプロダクトによって経営されている。
Twitchはライブ動画とチャットで成功した。我々は大きい波に乗り、しかし次のフォローアップ製品を作るのに苦労した。永続的に新製品の開発を繰り返す能力によって成功するのに賭けるというのは、信じられないくらいタフなことだ。
B2Bでは、顧客に次に何を作ればいいか聞けばいい。顧客に、将来的なリクエストを聞き、それを導入したら請求すればいい。
関連する領域でのほかの課題は何か聞き、ソリューションのラインナップに加えることもできる。
更なる利点として、B2B顧客が何かのためにその製品を購入したら、一般的に、それをよりシンプルもしくはより効果的にすれば顧客はよりお金を払う。
彼らはそのソリューションからビジネスでどれ位の価値を得たかを基に決断し、自分たちの不便な点を定義するチームを持つので、より直接的に課題を解決してくれるとより嬉しいのだ。
実際B2B顧客は製品に課金する
B2Cは、誰も課金したくないので、巨大規模にならない限りマネタイズがかなり大変だ。
人はFacebookにいくら課金するだろうかと聞いたとき、実際Facebookが広告収入から得ているものはごくわずかだった。消費者は値段に敏感なので、消費者に頼らず十分な利益を作るためには、データなど、たいてい他の要素に頼ったほかのビジネスモデルが必要になる。
B2Bでは、製品が彼らに十分に価値をもたらせていれば、あなたはただ料金を請求し、企業は支払う。そして、時がたつにつれて製品を改善し、より高額を請求する。また、B2Bのほぼ全員が、小額過ぎる額を請求していることが明らかになる。
消費者と違って、ビジネスでは、コストメリットを分析して決断する。製品がもたらす総合的な利益が、製品の検討、課金と導入のコストより上回っていると考えれば、彼らは購入する。(とはいえ、"検討”のコストを甘く見てはいけない、それは考えるに値するほど重要かどうかということだ)
B2Cは燃え尽きるまで一直線だ
私の経験では、消費者向け製品を開発する時の大部分は、ランダムなアイディアを推測し、それを試してみて、そして大体失敗する。このプロセスは、大半が自分のコントロール下にないという気持ちになる(早く幸運に恵まれない限りは)。
消費者の行動におけるどんな複雑なシステムも、初期は、何が成長をドライブするのかほとんど解明できない。Facebookでさえユーザーが何を欲しいのか判明しなかった。確かに、何が特定のタイプのクリックに影響するかというのは分かるかもしれない、しかし私はなぜユーザーがそうするのかをすべて理解していると思わない―彼らはテスト機能を分割し、何が利用方法を最適化するかを見ていた。
これは、Facebookのニュースフィードが継続的に変化していたことや、コンテンツ種類のローテーション(オープングラフの項目や、動画、生配信など)などが証拠である。
B2Bでは、何を試すべきかより簡単に分かる。繰り返すための素直な道のりがある。ただ顧客に「何が欲しいですが?どんな機能がソリューションの中に欲しいですか?」と聞くことができる。
私の起業家としての経験では、何をすべきかのアイディアが枯渇するのは本当にストレスが溜まる。
もしあなたが試すアイディアのリストを持っていれば、そのリストがすごく難しいとしてもストレスではない。
不確実さ、難しくないことは燃え尽きを導く。一般的に、B2Bはプロダクトロードマップにおいて不確実性が少ないと考える。
B2Cで成功するには、自分自身の問題を解決せよ
上記のすべての理由に通じる共通のテーマは、B2Cの成功は多くの自分のコントロールできない要素に依存するということ。B2Bは流行に左右されづらく、実用性のほうが重んじられる。
このすべてを踏まえても、まだ幅広く成功するB2C企業を目指すこともできる。成功の機会を広げるためにあなたができる大事なことが2つある。
1. 自分自身の問題を解決せよ
2. 自分が専門の領域を攻めよ
新しい生理用品のプロダクトを開発する場合、FlexのLaurenとErikaは、彼女たちが欲しい製品を開発し、他の人も抱えていると知っている問題を解決していた。
Twichが消費者圏でどうワークするかはどのように知ったか?簡単に答えると、知れなかった。しかし我々は自分の問題を解決していたので、よりよい球を打てた。
Starcraft2が出た時、共同創業者のEmmettが実際にJustin.tvで見たかったコンテンツがあっただけだった。私達のサイトにどうやってよりコンテンツを得るかを発見する代わりに、彼は実際のゲーム動画クリエイター達と会って話し、一方でどうやって彼らをよりよく支援できるか聞いた。
最終的に、彼らがやってくるために欲しい機能を十分備えた。ゲーム動画を見ることは自分たちが想像していたよりもかなり大きい波だったことがわかり、後は言うまでもない。
結論:本気の人だけがB2Cへ行け
事実としてインターネット上の最大の勝利は消費者向け企業であった、そしてこれからも続きそうである。
しかし、消費者向け企業を立ち上げ売却するのは、B2B企業と比べるとより痛みが大きく、より運任せで、より成長が難しいと考える。
もしあなたが情熱を傾けられる素晴らしいアイディアがあって、その上早期に引き付けられる、またはやってみたいと思わせるものを確立できるのであれば、やったらいい。
... しかし、もしそれが上手くいかなかったら、どのように同じコンセプトを組織に適用できるか考えたらいい―または B2B領域の新しい問題解決をするかだ。