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「日本と韓国・北朝鮮 未解決問題の真実」 美達大和

現在に至るまでの不幸な日韓関係が那辺にあるのかを論じているのが本書です。その淵源として日韓併合の事実から詳らかにしていきます。そして慰安婦と徴用工、竹島の領土問題、北朝鮮の核、そして拉致問題と続いていくのですが、私が個人的に白眉だと感じるのは憲法第9条が北朝鮮の工作員の活動を容易にしているという点です。9条の縛りによって、日本の領土、領海、空域に対する不法侵入について有効な阻止の手段がなく、拉致被害者を救うことができないのです。安全保障の観点から護憲派がその思いに至らない、もしくは意図的に触れないようにしていることを残念に思います。13歳で拉致された横田めぐみさんのお父様、滋さんも去年お亡くなりになりました。私も一人の娘の父親として、その心情を察すると何と残酷なことかと思わずにはいられません。ジャパニーズドリームを夢見て朝鮮半島から来日した父を持ち、仮釈放を自ら放棄した無期懲役囚である著者は今まで八万冊の本を読破したといいます。その読書で培った膨大な知識と一貫して是々非々の立場に拠る著者はわれわれに問いかけます。「第9条を宗教のように崇める人々とその思潮が、同胞が拉致されても他人事として平然としていられたり、この期に及んでまだ対話だと主張することなかれ主義を助長しています」。左翼メディアが好んで使う「人権」ですが、最初に北朝鮮による日本人拉致問題を報道した産経新聞こそ、その名に相応しいと私は思います。

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