『最も大切なボランティアは、自分自身が一生懸命に生きること』
1654年、沖縄に生まれた著者はサラリーマン生活を経て映像制作会社を設立する。初めて仕事で訪れたマニラ。ゴミ捨て場で働く10歳くらいの少女に「あなたの夢は何ですか」と聞くと、彼女は答えた。「私の夢は大人になるまで生きることです」
衝撃を受けた。
子どもたちは極度の栄養不良で猛暑の中、悪臭と有毒ガスが蔓延している劣悪な環境で一日中働き、15歳まで生きていけるのは三人に一人だという。
この言葉で子どもたちを支える運動を本気でやっていこうと決意した。
日本の中学、高校を廻り、講演する。中には居眠りをしたり、私語をしたり、歩き回る生徒もいる。そんな状況が二年続き、何度もやめようと思った。
ある時、少女が売られていくという話をしたら、なぜか笑い声が起きた。思わず怒鳴りつけた。
「おまえたちはどんな気持ちで家を去っていくのかこの子たちの気持ちがわかるか!それがわかって笑ったのか!」
真剣さは生徒にも伝わる。生徒たちは映像に向き合い、涙を流した。ある生徒は自殺を思いとどまり、活動に協力する生徒も出てきた。
著者は言う。講演で私は寄付をしてくださいとお願いはしません。なぜなら私たちが彼らを援助するのではなく、私たちが彼らに教えられているからです、と。
本書のタイトルだが、「一生懸命に生きるから自分も他人の命も尊いと思えるのです」だそうだ。
ハッとさせられた。このような視点でボランティアを語った人は今まで知らなかった。
子どもたちは私に問いかける。
「豊かなその日本で、あなたは本当に一生懸命に生きているのですか」と。