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「ナマケモノのいる森で」

4月26日(日)

 今日は夫がいるので娘と遊んでもらう。
花の図鑑を見て、花の交配だかを研究する遊びらしい。
色々な遊びを思いつくものだな。

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午後はお散歩。
つい先日まで、人でいっぱいだった公園が、立ち入り禁止になっていた。
遊具は感染の危険があるけど、公園に立ち入ることもできない。何もない広場も立ち入り禁止にする必要があるのだろうか。
子どもの居場所がどんどんなくなっていくように感じる。
閉鎖しやすい、最も文句の言われにくい、文句も言わない弱いところを簡単に閉鎖して、対策をした気になっているような。
そんなことを言ってはいけないのか。

「ナマケモノのいる森で」
しかけ/アヌック・ボワロベールとルイ・リゴー、
ぶん/ソフィー・ストラディ、やく/松田 素子
アノニマ・スタジオ発行

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しかけ絵本。
生き生きとした森、森の中で生きている動物を探して見つけることができる。

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2ページ目でもう、森に冷たい機械の音が鳴り響く。ページをめくるごとに減っていく森。
逃げる動物。ぼんやりしているナマケモノはどうなるのか。
ついに森は消えてしまう。

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このおはなしでは、
森で楽しく暮らしている様子にも、壊され、逃げる様子にも、ヒトも動物も描かれている。

森をこわすのはヒトとは文章では出てこない。
「たくさんの機械がおそろしい音をたてて森をこわしていきます。」

としか書かれていない。
でも、その機械であるクレーン車の中にはヒトらしき姿が見える。

ヒトが森をこわし、ヒトも動物も植物をも追いやっていく。

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ある日ひとりのヒトがやってくる。
そして種をまき、土を耕す。
長い時間が過ぎて、森がまた戻ってくる。

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ヒトがこわし、ヒトが再生できる。
美しいようで、少し怖く、ヒトの傲りが垣間見える、私には、ゾクッとする絵本だ。ヒトは森をこわせるかもしれないが、再生はヒトだけでは出来ない。
自然の力を借りなければならない。
また、こわすのもヒトだけではない。自然の力の前にヒトは無力だ。

裏表紙にメッセージがある。
「2000年から2010年のあいだに、1300万ヘクタールもの森林が失われました。
この破壊は、ナマケモノを含む、数多くの動物の生存をおびやかしています。」


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公園の立ち入り禁止のテープ。
見えない機械が、子どもたちを追い出し、子どもたちの心の中をこわしていっているような気がしてしまう。
心の中は、こわれたことが見えない。
簡単には再生できないし、生存もおびやかす。



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