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アクセサリーメーカー卸の子連れで買い付け

海外への買い付けには、2002年生まれの長男を年に2回くらい連れて行っていた。
タイ、インド、ネパール、ニューヨークなど。
タイでは山岳民族のカレン族のシルバーアクセサリー、マーカサイト(イギリスアンティークのレプリカのパイライトという天然石を施した安価なシルバージュエリー)などを買い付けていた。

インドでは天然石アクセサリーとディスプレイにも使えるようなインドの雰囲気たっぷりの雑貨。

ネパールでは独特なデザインのシルバーアクセサリー。天然石をインレイという技法で、螺鈿細工のようにシルバーに埋め込んだ、少しチベットのテイストが薫るデザイン。
アンモナイトの化石やヒマラヤ水晶のクラスターなども安価で手に入る。

ニューヨークでは錫素材のとってもかわいいモチーフのチャームをマンハッタンのど真ん中にある工場で作っている業者さんにたどり着いた。
今もコンスタントに仕入れをさせていただいている。

長男は私に連れ回され、いつもコロコロコミックやDSを片手に私の後を大人しく付いて来た。
タイのシルバー業者さんのところの子供と遊んだり、インドでは折り紙で現地の子供の気を引いて、ひまをつぶしていた。
ニューヨークでは地下鉄でポケモンのゲームをしていたら、子供たちに囲まれて、「すげー!こっちでまだ売っていないソフトやん!」と声をかけられていた。

当時はいやいや付いて来ていて、「日本に帰りたい」と泣かれたこともあった。食べ物が合わなかったり、お腹を壊したり、かわいそうなことをした。
インドの日系ホテルで卵のお寿司を食べたいと言われたが、一貫500円とあまりに高くてびっくりして、思わず二貫しかあかん、あとはラーメンでお腹いっぱいにして!と鶏ガラの味がしない醤油のみの味付けだけのラーメンを食べさせたこともあった。
卵のお寿司くらい食べさせてやれ、かわいそうに。これは今思い出してもひどい母だ。

しかし、大学生になった今、「あの時のインドのクラフトの店の雰囲気を何となく覚えている。だから今70年代のサンローランやKENZOにとても惹かれるのかも。」と古着好きのファッションオタクみたいなことになっている。
海外に連れ回したのは、無駄ではなかったようだ。

長男と9歳離れて生まれた次男はダウン症だ。
二度、旅行でタイに連れて行ったことはあるが、買い付けにはまだ。
コロナもあり、実現できていないがいつか次男も連れて行きたいと思っている。
先日、バンコクの業者さんで買い付けをしている時に家族構成を聞かれたので、「次男がダウン症やねん。普通の学校に通ってて機嫌良くしてるわ。」と言うと、「タイにもおるおる、普通に。」みたいなことを言っていた。

バンコクは特におしゃれにSDGs的なことを取り入れて、楽しんでいるように見えるので、もしかしたら昔のアジアのような差別や偏見は少しやわらいでいるのかもしれない。
ネットでだが、バンコクの障害者が働くおしゃれなカフェを見かけたことがある。
しかし、街中では聾や身体障害を持った物乞いの人しか見かけたことがないので、いつか普通にダウン症の人とすれ違ったら声をかけてしまいそうだ。

ちなみに次男は重度の知的障害があり、会話も文字を読むことも難しいが、地域の小学校に通っている。
いわゆるインクルーシブ教育を実践している地域なのだが、本当にのびのびと学校生活を楽しんでいる。
このあたりの話も追々書いていきたいと思っている。

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