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「芸術はムズカシイ」という不幸な誤解

「芸術」という言葉を辞書で引くと、こんな風に出ています。

「芸術」:特定の材料・様式などによって美を追求・表現しようとする人間の活動。および、その所産。絵画・彫刻・建築などの空間芸術、音楽・文学などの時間芸術、演劇・映画・舞踊・オペラなどの総合芸術などgoo国語辞書より

この定義で言えば写真は「空間芸術」になるでしょうか。いずれにせよ、人間が何らかの形で美を追究しようとする活動はすべて「芸術」と呼んでいいわけですね。とすれば、「高尚」「低俗」などのレッテル張りや優劣をつける行為には本質的に意味がない、ということになりますね。

よく「私、ピカソの絵(「ベートーベン」でも何でもいいですが)とかってムズカシくてわからないんですよね~」とおっしゃる方がいるのですが、私はいつもこう答えます。「わからなくていいんじゃないですか?」。

どうも、世間にはステレオタイプな意味で「いい」とか「高尚」とか言われている音楽とか絵画とかについて、自分も「好き」とか「わかる」っていわないといけないんじゃないか?というある種の強迫観念にかられている方が一定数いるようですが、それ、ちょっともったいないかなと思います。

「わからない」ならそれでいいんです。芸術は「感じる」ものですから。

それに「ムズカシイ」「わかりやすい(万人受けする?)」かどうかの受け止め方は人それぞれです。音楽で言えばクラシックだろうがロックだろうがヒップホップだろうが、「わからない」人には一生「わからない」わけで、それでいいんです。

言い換えれば、世間的に「高尚」とか「難しい」といわれているからと敬遠してしまうというのもまたもったいないと思うわけです。

例えば私の好きな映画の一つ『アマデウス』(1984)。私もご多分に漏れず「クラシック=高尚=難しい=だから嫌い」という価値感が刷り込まれて育ってきたので、クラシックという音楽はどちらかと言えば嫌いでした。が、この映画を見て、「あ。クラシックも悪くないかも・・・」と思うようになりました。

時代や社会の有り様の中からつくられた「芸術」という言葉から感じるイメージや価値観にとらわれるのではなく、虚心に接してみればまた一つ視野が広がり、楽しみが増える

そんな風に「芸術」と付き合っていきたいものですね。


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