写真部に限らず、多くの部活動で個々の部員に「温度差」があるのはいわば当然と言えます。要するに、どんなレベルで活動をしたいのか。割とユルめにとにかく楽しく撮影や展示ができればいいのか。それともひたすら全国コンクール入賞、あるいはプロを目指すような「ガチ勢」としてやりたいのか。それぞれが目指している目標が違いますし、また仮に目標が同じだったとしても、そこに向かうための「温度」(または「熱量」)にどうしても差が出てきます。 まあ、運動部、とくに団体競技の場合は「インターハイ出場」
よくSNSで見かける、噛み合っていないやりとり。「今度カメラを買おうと思うんですけど、何がオススメですか?」→「スマホでよくね?」。苦笑。 まず答える側の問題。そりゃまあ、日常的な場面での撮影はたいていスマホで間に合うという人も多いでしょう。画面上で写真を見たり、SNSにアップしたりするのがメインの人は利便性の点からもスマホ(だけ)でいいと、私も思います。おそらく件の回答者はそういう方なのでしょうね。 ですがねえ。件の相談者がわざわざ「カメラがほしい」と書き込んでいるとい
今回は写真とはあまり関係ない、ある歌のお話。約30年前のこと。帰り道の車でラジオをつけていると、こんなフレーズが流れてきました。 「『あなたは失格!』そうはっきり言われたい」 激しい歌詞と曲調。言い知れぬ衝撃を受けた私は、その足でCDを買いに行きました。ラジオから流れる曲を聴いてその場で買いに行ったという経験は、後にも先にもこの曲だけです。 橘いずみ『失格』(1993/YouTube ・Sony Music Direct) 当時私は教員になって2校目。悶々とした日々を
さて。私ごとで恐縮ですが、最近始めた某SNS。初めは面白がって投稿を見ていました。が、うーむ。写真・カメラ関連の投稿がことごとく炎上している・・・。特に機材関係のお話がそうなっている確率が高いような(あくまで個人の感想です)。 「カメラは○○でないと」「レンズはやっぱり『大三元』だよね」「標準ズームで28mmスタートは論外。24mmでないと」「初心者だからこそ高スペックなカメラを買うべき」。 いや、わかりますよ。皆さんそれぞれに撮りたい被写体や、そのために必要なレンズとい
「そんなの自由でいいじゃん」・・・。ごもっとも。が、なぜこんな命題を立てたのかについて、少し書かせてください。 よく「○○撮影の名所」といわれる場所がありますよね。よく写真雑誌でも特集されていますが、「この季節、この時間にここに行けば(必ず)こういう写真が撮れる」という感じの。桜、富士山、紅葉、カワセミ・・・枚挙にいとまがありません。で、現地で何が起こるかというと、「ダイヤモンド富士を撮るために田貫湖の湖畔に三脚がずらりと並ぶ」などということになるわけです。 もちろん、誰
なんと2年ぶりの投稿です。すっかりご無沙汰してしまってすみません。 以前にも書いた内容と重複もありますが、何卒ご容赦を。あらためて写真におけるコンクール(コンテスト)との付き合い方について一くさり。 運動部にインターハイ(全国高校総体)があるように、文化部にも「全国高等学校総合文化祭(全国総文)」があります。が、その性質はかなり異なります。写真には写真専門部というものがあり、各都道府県のコンクールを勝ち抜いた代表作品で改めてコンクールを行う形です。つまり事実上各都道府県のコ
以前、非常にユニークな美術展を見たことがあります。たとえば、ある作品は一見すると水墨画風の屏風なのですが、しばらく(2〜3分でしょうか)見ていると湖面に波紋が広がったり、水鳥が飛び立ったりして絵が動くのです。つまり屏風は実はスクリーンであり、そこに動画が投影されていたのです。単純に面白いな、と思っただけでなく、アートに垣根なんてないんだな、なくていいんだなと感じたことを覚えています。 ところで、私は小さい頃は絵を描くことが好きでした。が、悲しいかなその方面の才能が…。しかし
8月12日~14日の3日間、前任校の写真部の教え子Karenさんとの「二人展-UTOPIA-」を開催しました。これを書いているのは台風直撃の13日ですが、それでもお客様がゼロではなかったのがうれしいところ。 今回の一番の収穫は、リアルな写真展(今回は厳密に言えば写真+イラストですが)の良さ、つまりお客様の反応をダイレクトに感じることができるのを再確認したこと。ついでに言えば、こういうリアル写真展は知人・友人からの差し入れもうれしいですよね(笑)。今回は会場の階下のベーカリー
久しぶりの更新になってしまいました。 さて今日は雨の中、会場となるSAZANKAさんや周辺の何店かにチラシとポスターをお願いしてきました。突然の訪問にもかかわらず皆さん快くお引き受けいただきました。ありがたいことです。 展示の構想はほぼ固まりました。 ・mikezo(私)の写真と、それを題材にしたKarenさんのイラスト(見出しの画像は予告編です)の両方を展示。でも、単に写真がイラストの「下絵」というわけでもない。 ・テーマは「UTOPIA」。どこかにありそうで、どこ
先日、前任校の写真部校外展にお邪魔した際、当時の写真部OGと再会しました。彼女は「写真甲子園2014」の選手の一人。今は地元で働いています。卒業後も4年前の「写真部同窓会展」などで断続的に交流はあったのですが、久しぶりにじっくり話をしました。ひとしきり思い出話に花が咲いた後、以前から考えていたことを提案しました。 「二人でここ(駅前のギャラリー)で展示をやるのはどう?」 「え~。私なんかでいいんですか?無名ですけど…」 「何言ってんの。大丈夫、私も無名だから(笑)」 とい
よく「年頭所感」というのがありますが、ここは「年末」で。 さて。私が高校写真部の顧問になってもう30年近くになります。当初目標にしていたのは、写真部を運動部と同等かそれ以上の存在と周囲に認めさせること。具体的には、コンクールで入賞するなど「実績」を残すこと。思い返すと自分でも恥ずかしいほど「熱血」に、とにかくシャカリキになっていました。写真部で目指すべきは「勝利=入賞」だと心得て、それが高校生の写真の可能性を自ら狭める愚行だとは、思いもしませんでした。 今はようやくその呪
高校写真部の生徒が使っているカメラにはどんなものがあるのか。個人的に見聞きした範囲で言えば、圧倒的にエントリークラスのデジタル一眼レフ、またはミラーレスが多いという印象です。具体的にはCanonEOS Kiss。NikonならD3000系か5000系。またはCanon EOS Kiss M,OLYMPUS(現OM SYSTEM)のPEN,OM-D シリーズなどのダブルズームセットが定番、と言ったところでしょうか。 理由はといえば、多分に高校生の家庭の経済的事情によるところが
映画「007黄金銃を持つ男」(1974)にこんなシーンがあります。自分に送りつけられてきた黄金の銃弾。その銃を発射する黄金銃を作る男を訪ねたボンドに、男が言います。 「ミスター・ボンド。人を殺すのは銃ではなく、引き金を引く指です」 たしかに。銃も、銃弾も、人が引き金を引いて発射しない限りただのモノでしかなく、それ自体は意思を持ちません。いささか物騒なたとえですが、名言だと思います。これをカメラと写真に置き換えても同じことがいえるでしょう。 自分は何に心を動かし、それをど
「芸術」という言葉を辞書で引くと、こんな風に出ています。 「芸術」:特定の材料・様式などによって美を追求・表現しようとする人間の活動。および、その所産。絵画・彫刻・建築などの空間芸術、音楽・文学などの時間芸術、演劇・映画・舞踊・オペラなどの総合芸術など(goo国語辞書より) この定義で言えば写真は「空間芸術」になるでしょうか。いずれにせよ、人間が何らかの形で美を追究しようとする活動はすべて「芸術」と呼んでいいわけですね。とすれば、「高尚」「低俗」などのレッテル張りや優劣を
最近また聞いた言葉。「高校生らしい写真」の逆パターンですが、まあ主旨は同じというか、こういう評価の仕方にはいい加減ウンザリです…。 もちろん、この言葉を発した方を責める気はありません。ご本人の中にある期待していた写真のイメージと違う、という率直な感情の発露でしょうし。が、私が気になったのは文脈というか、その使い方についてです。 曰く「この写真、たしかに上手ですけど、ちょっと高校生らしくない(=大人っぽい、だから好きじゃない)ですね」。思わず「えっ。そのどこがいけないんです