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エッセイ集

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#note書き初め

わからない、ことが多いなかで大丈夫なのだろうと思えたのは

わからない、ことが多いなかで大丈夫なのだろうと思えたのは

言葉やまなざしに生かされてきた。

あの人がくれた強い言葉も、
わたしを揺さぶるためにあの立体駐車場で発せられた言葉(としたたかにぶつけられた肩)も、
「あなたはあなたの中にあるものを見せてくれたらいい」という慈愛に満ちた言葉も、
渋谷のロッテリアで、"ここではある程度すべての事柄が許されているのだ"と感じさせてくれたあのまなざしも、
「ひとに触ることができる人だよね」とわたしの知らないわたしを

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帰省して得たものと、マリンブルーのダウンを着た男の子の話

帰省して得たものと、マリンブルーのダウンを着た男の子の話

京都駅まで向かう電車は予想よりもすいていた。

通路を挟んだわたしの目の前には、小さな男の子が座っている。
やわらかそうな栗色の髪の毛、肌は白くて、マリンブルーのダウンがよく似合っている。
4歳ぐらいだろうか。
母親はすこし離れた場所に立って、スマートフォンをいじっている。

揺れる車内で、その子はわたしをじっと見つめている。
わたしは見つめ返して、「ごめんね」とつぶやく。
「変なものを見させてご

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