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日本に美術ファンはそんなに多いのか?

すごく不思議に思っていることがある。東京あたりの美術館でちょっと名の知れた画家の展覧会があると、びっくりするほど人が並んでいたり大賑わいで入館制限がかかったりする。東京だけでなく国内で開かれる美術展、知名度の高い画家やアーティストのものだと臨時駐車場まで設置されたりする。日本にそんなに美術愛好家は多いのか???すごく疑問なのよ。

数年前に伊藤若冲の大規模な展覧会があって、かなりの盛況だったみたいだ。私が中学で美術部に入っていた頃、若冲の名前なんか美術の教科書にも美術関係の雑誌にもひとっかけらも出てきていなかった。私が若冲のことを知ったのは、宮城県美術館の図書室の蔵書からだった。20代の初めの頃だったかと思う。特徴のある個性的な日本画で、緻密な筆致で動植物を生き生きと描き、他の日本画家の絵とは一線を画していた。そんな若冲の絵は何故か宮内庁蔵のものが多いこともその画集で知った。

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私はその頃、日本美術が好きでよく画集を眺めたり美術展に足を運んでいた。20代で割合暇だったしフットワークも軽かったので、興味のある美術館は遠くても訪ねた。それが旅の目的になることも多かった。家には好きな画家の画集や美術展の展示目録なんかも結構な数があった。作品のポストカードも集めた。展覧会の告知のチラシをスクラップしていた事もある。その頃は履歴書の趣味の欄に「読書、美術鑑賞」と書くことが多かった。典型的なインドア派だったのよ。

中学の頃の部活は美術部。絵を描くとか何かを作るとかそんなことにワクワクしていた。美術部の野外活動で松島にスケッチに行ったことを懐かしく思い出す。そう言う感じで若い頃は過ごしていたから、絵とかアートに関しては割合関心を持って生きて来た方だと思う。

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しかし、有名な美術展に行列が出来る現状を自分は理解できないのだ。そんなに巷に美術ファンが多いのなら、普通に暮らしていてママ友とか職場の仲間とかで「〇〇の美術展に行って来た」とか「私画家では**の絵が大好きなの」とかの会話になるんじゃないか?今まで生きて来てそんな話題になどなった試しがない。(←単に友達少ないだけかも?あ、それかな)(笑)

毎週日曜美術館を欠かさず見ている、という人もほぼ知らない。TV番組の中で「美の壺」が一番好きで毎回録画してみている、なんて人も聞いた事がない。東京芸大の学長に日比野克彦が就任する、とかの話題にも当然ならない。そんな話題を出すのは「教養を自慢気にひけらかすみたいでイヤ」なのかしら?偉そうに思われるから気が引けるし、そんな話題を出す雰囲気でもないから?

それなのに、だ。ちょっと名の知れた画家の展覧会など、県の美術館に臨時の駐車場が出来るほどの人気ぶりだ。以前、宮城県美術館で印象派の美術展があった時、近くを通りかかったらかなり渋滞しているのだよ。一体、そんなに多くの美術愛好家は世間のどこに潜んでいるのだろう?にわか美術ファンなのか?それとも流行りだから、話題になっているからと出かけて来ているだけなのか?

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↑宮城県美術館の裏庭にあるオブジェです。風が強い時にクルクルと動きます。

県の美術館でも常設展だと人なんてほとんど入ってないんだよね。スカスカ空いている美術館の展示室ってゆったりして静かですごく良いんだけどなぁ。天気の良い日にこのオブジェのある庭の芝生に座ってのんびりするの、私のお気に入りの素敵な過ごし方なんだけどなぁ。


で、私の個人的な見解を言わせてもらうと

結局、ヒマで時間のある世代が話題になっているから有名画家の展覧会に行く、特に好きとかそう言う事ではなく、ちょっと来てみただけ

ではないのかなぁ???

だってそんなに美術ファンや愛好家が多いならば、街中の目立てばそれでOKな美しくない看板とか、目障りな色であちこちに設置されている販促の登り旗とか、周囲に調和しないいきなり派手な色や作りの外壁のサイディングとか、所構わず調和もなく貼られたポスターとかで目障りで気持ちを逆なでされる思いをする事も少なくなるだろう。街なかの不調和なモノがそんなにはびこることも少なくなるんじゃない?

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現代社会で美術という物の存在意義を思うと、何らかの形で社会情勢とリンクしていく必要性があると思う。作品がただ作品として美術館にあればそれで良いという時代ではないと思うのだ。アートが街の中にあってそれが何らかの意味をはたす。それが求められている。


ここ最近は美術展に訪れる人の高年齢化が進んでいるとも言われる。美術展にゆっくり足を運ぶ世代は皆高齢者ばかりなのだと。そう言われれば納得でもある。若い世代はきっともっと賑やかで楽しい場所に行くだろう。働き盛りの人たちはゆっくり美術展に足を運ぶ余裕もないかもしれない。そうなると、美術展に足を運ぶのは高齢者、という話も納得が行く。余裕のある高齢世代ばかりが美術展に行くのだ。それ以外の世代はのんびり展覧会を見ている余裕もないのかも知れない。


美術展 行けば自分も 文化人 


お粗末様でした〜。




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