【ショートストーリー】「容姿」

私はその人を見たとき、負けなんだと、美しさや華やかさ、人目を引くその容姿に女性としての圧倒的敗北を感じました。
華やかさや美しさなど、生まれながらに備わっている人もいて、そういうものに凡人の私は勝てないのです。
どう考えても、女性としての価値は、あちらの方が高いのですから。
私だって、たまには綺麗だと言われることもあります。
自分でもそれなりだと思っています。
でも、圧倒的な華やかさの前では、負けるのです。
悲しいけれど、競ったところで虚しいだけ……。
あんな風に美しく人目を引くほど華やかな人になりたかったけれど……。
私のような凡庸な個性では、そんな風にはなれないのです。
顔の作りが違うのです。
私もあんな風に堂々と生きたい……。
女性として高い価値がある人間として、君臨したい……。
私にはないもの。
それは、彼女たちにある威厳なのです。

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