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猫のこと

ポポという名のサビ柄の9歳の猫。我が家の猫。

キーボードを打つだけで涙が出そうになっている。現在、具合が悪く動物病院へ連れていくも数日から数週間が山場だ、良くなるかもしれない、厳しいかもしれないと。

ポポとの出会いは庭だった。旦那がなんだか風変わりな柄の猫居る!と窓の外を見てつぶやいた。見てみるとまだ子猫。にゃーにゃー鳴いている。外へ出て近くで見ると健康そうな子猫がいた。ガリガリガリ!人間が近くに来たからか興奮して木で爪を研いでいる。はて、困った。我が家は猫が飼えない。家族に猫嫌いがいるからだ。

近くに親猫がいることを願った。私は動物が大好きだが、以前飼い犬を亡くしたショックでもう動物は飼えない…。最後まで看取ることができ、覚悟がある人が飼うものだと、心に決めた。でも子猫は私の目の前に来てしまった。

猫は物置に住んでいる様だった。子猫ではあるがやや大きい。見た目はトトロのようだ。中毛で黒と茶色のマーブル模様。毎日毎日ニャーと顔を出してくる。餌をあげたらきちんと最後まで飼おう。と心に決めていた。でも決心がつかなくて、数日間は見守る形になっていた。

秋の夜。網戸にしているとそのサビ柄の猫が網戸越しにいた。夕食時でジーっとおとなしくこっちを見ている。いや、料理を見ているのだろうか?くりくりした目が愛らしかった。

5日ほどたった頃だろうか、私は遠出の用事があった。その日はサビ柄の猫が心配でたまらなかった。家に帰るとすぐに声を出しながらサビ猫を探した。するとニョキっと物置からサビ猫は顔を出していた。そこにいたのか!と、雨でもそこなら大丈夫かななどと胸をなでおろした。

その夜サビ猫が窓の下でずっとニャーニャーと鳴いている。窓を開けて下を覗こうとしたらシュッと部屋の中へ入ってきてしまった。そして当然が如くカーペットの上でくつろぎ始めたのだった。

そこで飼う決心をした。それが9年前。

もうペットは飼わない。お別れがつらいから。もう私には耐えられないからと、誓ったのに。でもこの愛おしいサビ猫をそのままにはしておけなかった。

つづく