「アイデアのつくり方」ジェームス・W・ヤングを読んで【読書めも】
「アイデアのつくり方」ジェームス・W・ヤング
最近購入し、どハマりした本だ。
約60pで題の通り「アイデアのつくり方」を簡潔でわかりやすく解説している。
本質が書いてあるどころか本質しか書いてないレベルのすごい古典(語彙力)だ。
「アイデアマンになってすげーことしたい!」みたいな超絶下心で読み始めたのだが、この本の面白さにそれどころではなくなってしまった。
まだ1周しか読めていないので深い理解はできていないが、1週して感じたことをつらつら書いていく。気になった方はぜひ手に取ってみてほしい。
(ちなみに、メンタリストDaigoさんのYoutubeで紹介されていたらしく、いま書店で購入するとDaigoさんがどでかく写った表紙カバーがついてくる。)
アイデアの原理
本書ではまず、「アイデア作成には原理が存在する」と唱え、その原理を以下のように述べている。
・アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何者でもない
・既存の要素を一つの新しい組み合わせに導く才能は、事物の関連性を見つけ出す才能に依存するところが大きい
どうやらアイデア(既存の要素の新しい組み合わせ)を生み出すにはこの「事物の関連性を見つけ出す才能」を鍛えていくことが必要であるらしい。
聞きかじった例えだが、このアイデア作成法は、ちょうど「ありもので作る料理」と同じようなものだと思った。
冷蔵庫の中にすでに存在する食材から、一品の料理として成り立つ食材の組み合わせを見つけ、名称のない謎の、だが美味しい料理を生み出す。
これはまさにアイデアが生まれる過程と同じものを辿っている。
毎日これをこなしている全国のお母さん、スーパーアイデアウーマンばかりだ。
著者はこの原理を解説した上で「事物の関連性を見つけ出す才能」を鍛え、アイデアを生み出す方法を5つのステップにわけて解説している
アイデアが生まれる5つのステップ
アイデアを生み出す方法を5つのステップだが、まず先に私なりに一言でまとめると、
とにかくたくさん知り、ひたすら自分に引っかかるものを抽出して書き留めろ!!!
というものだ。
実際の5つのステップは以下の通り。(それぞれについて私が要約したものなので、原著通りではない)
①目の前の課題についてと、世の中のあらゆる事象の2つの資料をとにかくたくさん集める
②集めた資料の関連性を見つけ出す
③考えない時間を設ける
④ふとしたときに完璧なアイデアが勝手に湧いてくる
⑤現実的なものへと落とし込んでいく
特に面白いと思った(全編面白いのだが)①、②、⑤について書こうと思う。
①目の前の課題についてと、世の中のあらゆる事象の2つの情報をとにかくたくさん集める
世の中のあらゆる情報に触れ、資料として保存することが大事だという。
その情報には「目の前の課題についての情報」と、「世の中の一般的な情報」との2種類があり、その両方を保存することが大事なのだそうだ。
料理で例えるなら、「買い出し」の段階だ。
冷蔵庫の中が空っぽだったら、いくら「ありもの料理」でも作ることはできない。
これは「質は量から生まれる」という考え方と同じだろう。
アイデアを生むにはまず自分の引き出しを充実させないといけないのだ。
著者はスクラップブックを作ろう!と力説していた。個人的に最近やっている「興味があるものメモ」(いいなと思ったものを簡単に書き留めておくだけのメモ)と同じだったので、自分のやっていることが間違っていなかったと気づいて嬉しくなった。
②集めた資料の関連性を見つけ出す
資料を集め終えたら、そこから関連性を見出す作業に写るのだと本書ではいう。
第2段階まで来ても、まだ目の前の課題には取り組まず、「事物の関連性を見つけ出す才能」を鍛える筋トレ・基礎トレの段階だ。
これは僕が以前「『最強伝説黒沢』を少女漫画雑誌に載せよう!」という謎の記事を書いた時にやった、「物事の持っている要素を分解する」ことに関連していると個人的には感じた。
(結構気合入れて書いたので、気になった方は読んでみてほしい)
要素の分解さえできれば、あとは同じ要素を持っているもの同士をくっつけてあげるだけで関連性を見つけられるのではないかと思っている。
いま僕はこの本に書いてあることを自分の体験に結び付けて解釈している。この「自分の体験と結びつける」ことこそが「資料の関連性を見つけ出す」作業なのだろう。
今回なら資料は「アイデアのつくり方」と「以前記事を書いたときの経験」だ。
さっき「ありもの料理」に例えたのもそうだろう。
僕は「自分の体験と結びつける」ことで、途端にこの本が理解しやすくなった。これも「資料の関連性を見つけ出す」ことの力なのだろう。
ちょうど読んでる最中に体で理解できた。ラッキーだ。
⑤現実的なものへと落とし込んでいく
③、④はちょっと飛ばして、⑤について書こうと思う。(気が向いたら③、④についても書く)
5つ目のステップでは、アイデアが浮かんだ後の話をしていた。これまでと違い、具体的な方法などは書いておらず
「どんな素晴らしいアイデアも、世知辛い現実世界に適応させてあげなきゃいけないのよ」
みたいな慰めのひとことが書かれていた。
僕はこのステップを「企画書を書くこと」についてのステップであると思った。
本書は一貫して広告業界で働く人に向けて書かれている。
広告業界で重視しなければならない世知辛い現実というのはおそらくクライアントのことだろう。
「頭の中にあるアイデアを、クライアントに納得してもらえる企画に昇華させる」
これが第5のステップの正体だと僕は解釈した。
これならば「アイデアのつくり方」というよりも言語化能力の話になるので、本書で具体的な施策について書かれていないのもうなずける。
レシピ本には、レシピ本の書き方は載っていないようなものだ。
こう解釈すれば本書の最後にアイデアと言語の深い関係について述べられているのも、納得がいく。
いま僕がこうして文章を書いているのも、言語化能力を鍛え、将来スーパーアイデアマンになった時に役に立つのだと思うと、書いてて良かったと思える。
そして「アイデアのつくり方」は魔法のようなものではなく、とにかく知識人にならなければスタートラインにすら立てないことがわかった。
これからもたくさん見て読んで、琴線に触れたモノを保存し、言語化し続けなければならないのだ。古典はとにかく学ぶことの大切さを説いてくれる。厳しくも優しいモノだ。
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