サワードウパン膨らまない問題について
サワードウパン作りを始めて多くの人が直面するのが「パンが膨らまない問題」。今回はこの問題を解決するためのチェックポイントをまとめてみました。全部私自身が通ってきた道でございます(笑)。
1. スターターは充分にアクティブか?
ウィークエンドベイカーの場合、冷蔵庫に保存してあるスターターをアクティベートすることからパン作りが始まります。それまで眠っていた酵母を目覚めさせ、ウォーミングアップを経てアクティブな状態にしていくには2日ぐらいは見ておきまししょう。日曜日に焼きたいなら、このぐらい↓のスケジュール感です。
Step1 木曜日夜 スターターを冷蔵庫から出して室温に戻す
Step2 金曜日朝 フィード(まだあまりアクティブではない感じ)
Step3 土曜日朝 フィード
Step3のフィードでスターターがしっかりブクブクしたなら生地づくりに取りかかりましょう。
<以降の手順は過去記事「サワードウパンのつくりかた(ざっくり編)」参照してみてください>
私はこのスケジュールを1日はしょってしまったことで、まったく膨らまないフリスビーのようなパンを作ってしまったことがあります。スターターがほとんど仕事をしてくれなかったパンは小麦粉の塊をオーブンで焼いたみたいな感じでさすがに美味しくなかったです。
中央にあいた謎のほら穴は一体!? 酵母はまだ眠たいと言ってるのに無理やり仕事させようとするとこういう逆襲にあう、という良い例。
2. ライ麦粉を入れすぎてないか?
サワードウとライ麦の相性は抜群で、スターターだけでなくパンを作る時にもついついどっさりライ麦を入れたくなってしまいますが、ちょっと待って。ライ麦には、粘りともっちり感を出すためのグルテンがほとんど含まれていないのです。ライ麦の配合率が高いと、いくらストレッチ&フォールドを繰り返してもグルテン構造は育たず、伸びのある生地にはなりません。
以前30%のライ麦配合で作ったことがあるのですが、かなりの高密度パンになりました。それはそれで美味しいのですが、「膨らみ」を焦点にした場合は15%あたりが限度かなあと思っています。できればまずは一度ライ麦なしで焼いてみてください。
ライ麦30%配合のどっしりパン。ひと切れでお腹いっぱいです(笑)。
もうひとつ言うと、スペルト粉を入れるとよく伸びる生地ができるので、膨らみに貢献してくれます。私は15%程度配合しています。もっと増やしてもいいかも知れません。<粉についての詳細は過去記事「サワードウパンの材料」を参照してみてください>
3. 過発酵に注意
途中まではいい感じだと思っていたのに、いざ焼いてみたら期待はずれの膨らみだった、という場合はこの過発酵を疑ってみてください。
現在日本の8月。とにかく暑い。うちなんかクーラーをつけていても室温29度です(笑)。こんな気温だと発酵も驚くほど短時間で進んでしまいます。ストレッチ&フォールド後の一次発酵は2〜3時間などと一般的には言われていますが、今3時間室温に置きっぱなしにしたら、ボウルから溢れ出す寸前にまで生地が膨らんでしまいます。
過発酵で早く膨らみすぎてしまった生地。発酵カゴに入れた後もブクブクいっています。
一度ピークアウトしてしまった酵母は、その後がっくりくるのか(笑)力が著しく落ちてしまいます。オーブンに入れた時にこそ発揮して欲しい瞬発力みたいなものが出なくなるみたいなのです。
これ↑なんかは、焼くまでは最高傑作だと思っていたパン。蓋をあけてがっくり、でした。
夏の一次発酵は短時間で。何ならストレッチ&フォールドが終わった時点ですぐシェイピングしてしまってもいいくらいだと思っています。ストレッチ&フォールド中にもどんどん発酵が進んでいますから。
現在、一次発酵時間をほとんど取らずにパンをつくっていて、かなりいい膨らみが安定して出ています。外側だけみると完璧です。ただ、断面をみると課題もあるのでもう少し試行錯誤したいと思っています。
4. 予熱が甘くないか?
これ、一番重要かもしれません。まず、鋳鉄鍋を使う場合は鍋ごと、蓋ももちろんつけた状態で予熱してください。うちのオーブンは設定温度250度に達したらピピピピと鳴って知らせてくれるんですが、そこでパン生地投入はまだ早いのです。
そのままさらに予熱を続け、オーブンが自動的に切れるところまで待ちます。スイッチを入れてからここまでだいたい30分ぐらい。冬はもっと時間がかかると思います。ちなみに海外のサワードウ先生たちは口を揃えて「予熱1時間」と言ってますね。とにかく極限まで予熱。これ大事です。
生地は投入直前まで冷蔵庫で冷やしておくことも大事です。この温度の落差が跳ね上がるような生地の膨らみ「オーブンスプリング」を産んでくれるのです。
以上、「サワードウ膨らまない問題」を解決するためのチェックポイントでした。膨らむパンを作るには、膨らまない原因をひとつひとつ潰していけばいいのです。クープがぱっかーんと割れた最高のサワードウパンを目指して共に精進していきましょう。
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