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トランス女性の夫と別居を考えたときのこと①

前回は、家庭内別居をしようかと悩みつつも、結果的にお互いに自分の部屋を持つことで折り合いをつけた話をしましたが、
それより前に家庭内別居ではなくて本当の別居をして、しばらく別々に暮らそうと準備をしていた時期もあったんです。

元夫が女性ホルモン剤を接種し始めて半年も過ぎてくると、見た目にも徐々に変化が現れてきました。元夫は誰にも内緒で女性化を始めてしまったため、私が気づいた時には、すでに投与を始めてから3カ月ほど経過していました。

なので、私が事の次第を知ってからほんの数か月後には、もう自分の夫の見かけが少しずつ変わってきたわけです。まだ何にも受け止めきれていないのに自分の配偶者の見かけの性別が変わっていくなんて、ほんとにどうしていいか分かりませんでした。

さらには性別移行を始めた初期は、当人の体にとっても精神にとっても初めての変化が起こっていくため、心が不安定になることも多いとのこと。

まだこの時点では、他の人から見たら「髪を数か月切っていない、ちょっとなよっとした男性」という見かけでした。でも以前の無骨さたっぷりの、いかにも男性らしい姿を見ている私からしたら「なよっと」してきたことが衝撃です。ほんの数か月でこんなに変わるなんて。きっとこれからもっと日に日に変化していくでしょう。

「これからいよいよ本格的に見かけも性格も変わっていくことに自分は耐えられるだろうか。まだ何にも心の準備など出来ていないのに。夫が女性になっていく姿を見たくない」

「ちょっと事態についていけない。しばらく1人になって落ち着いて考えてみたい。これから心が不安定になっていく夫とも対峙するのが怖い」

そう考え、どこか短期的に住み込みで働けるところはないかと探したところ、北海道の保養所に住み込みで働ける話をいただけました。掃除や食事の手伝いをし、半年ほどの短期でも構わないとのこと。条件はぴったりです。

私は事前の見学がてら、働く前に面接をしに北海道に行くことにしました。面接を無事終え、短期で働かせてもらうことが決定しました。その夜はその保養所に泊まらせていただき、一泊だけしたら翌日に自分の家に一旦戻るつもりでいました。

ですが、その翌朝の早朝に大きな地震が起こったのです。2018年9月に起きた、北海道胆振東部地震でした。

その保養所のあった地域の被害は大きく、電気、ガス、水道のすべてが止まり、固定電話も携帯電話もネットも繋がらなくなりました。私は一泊分の簡易的な荷物を持っているだけで、何にも出来ない状態です。誰かと連絡を取ることも出来ないし、ネットも繋がらないので、被害状況や交通機関が現在どうなっているのかを調べることもできません。

保養所のご厚意により、そのまま連泊させていただきお世話になりながら、皆さんと協力し合って、ただ時間を過ごすしかありませんでした。


「トランス女性の夫と別居を考えたときのこと②」に続きます)

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