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元夫の性別移行中に私が癒されていたこと

今日はいつものようなわりと重めの話ではなく、軽めの雑談をしようかと。

現在私は、トランス女性となった元夫とは離婚しており、2人とも別々に暮らし、完全に別の人生を歩んでいます。
ですがその決断をするギリギリまで、たとえ法的には離婚の形をとったとしても、変わらず一緒に暮らしていく予定でいました。その「離婚」とは、男性から女性に変わるために必要な法的措置のためであり、お互いに一緒に生きていく意思があったからです。

とはいえ私にとって、夫という人が女性に変わっていく姿を見ているのはとても耐えがたく、何度も「一時的に別居しようか、それとも家庭内別居をしてみたら気が楽になるのだろうか」とグルグル考えていました。

でも家庭内別居って、想像してみてもどうもイメージがわかないんですよね。キッチンもお風呂も洗面所も1つしかないし、お互いリビングも使いたいわけだし、生活の時間帯も同じ。それらを似たような時間帯に使ったら顔もあわすし、今までと変わらないんじゃ?

調べてみると「同じ家に住みながらも、本来の夫婦としての協力や会話、愛情が全くない状態を家庭内別居と言います」とのこと。
そうか「リビングをどうやって別々に使うの?」とかそんな問題ではなく、会話や協力が全くないから自ずとその状態になってるってことなのか……

元夫の女性化が始まってから、私たちは言い合いが絶えませんでしたが、それは逆を言えば、毎日のように話し合いの時間を持っていたからでもありまます。食事も今までと変わらず、2人分をつくって一緒に食べていました。

例えば一緒の家に住んでるのに一言も話さず、それぞれが1人分だけの食事を用意する生活のほうが、より心がすさんでいきそうです。そう思えるだけでも私たちの状態はまだいいのかも、と気づきました。

そんな時元夫が体調を崩し、寝ようとすると咳が止まらないようになりました。むせるようなゲェホゲェホという咳です。本人も咳で眠れなくてつらそうですし、私もその音で眠れない日々が続き、2人共どんどん寝不足になっていきました。

元夫はさすがに悪いと思ったらしく、ベッドの上にひいていたマットを別の部屋に移し、とりあえずそこで寝るようになりました。結婚以来初めてのことです。
咳が治り次第、元の寝室に戻るつもりだったようなのですが長引いてなかなか治らず、元夫は「いい加減ちゃんとしたベッドで寝たい」とベッドごとその別の部屋に移すことにしました。
そしてだんだんと別々に寝ることにお互いが慣れ、「このまま今寝ている部屋を、お互いの個人部屋にしようか」という流れになりました。

これがとても良かったんです!ベッドがひとつ無くなってみると1人部屋としては結構広く、そこに新たに自分の机や本棚や楽器を置いて、ワクワクする自分の空間が出来上がったんです笑。

私は小学生の高学年の時に自室を与えてもらいましたが、部屋の半分は家の荷物や母のタンスで埋まっていました。また台所のすぐ隣りに無理やり作った部屋だったのでプライバシーがあまりなく、北西だったのでジメジメしていて……という私にとっては悲しい思い出だったんです。

でもこの寝室だったら余計な荷物も無いし、南東で居心地も申し分ない。子供の頃から憧れていた理想の一人部屋を、この年齢になって初めて持つことができたわけです。一人暮らしとはまた違うんですよね。「家庭の中の自分の部屋」に強い憧れがあったんだなと思います。

家庭内別居という形ではなくお互いに自室を持つことで、それからは少し気が楽になって暮らすことができました。プチシェアハウスのような感覚で、自分たちの立ち位置を落ち着いて考えられるワンクッションになったと思います。

ちなみに元夫が移った部屋は、女性化してから急激に増えたレディースの服や化粧品などが山のように置いてある部屋だったので、居心地良さそうに使ってしました。そこで思う存分メイクの練習や家庭用脱毛、性転換手術をしてからは気兼ねなくダイレーションもできているようでした。

まあ結局他の理由で離婚することになりましたが、この自分の部屋で過ごした時間は、元夫が女性化して苦しかった期間の中の、数少ない楽しかった思い出として残っています。子供の頃に満たされなかった思いって拗らせがちですが、それが思わぬ形でひとつ昇華されたような感じがします。

このnoteは、トランスジェンダーを家族に持つ方とコンタクトが取れる場をつくりたくて始めました。
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