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93日後にネタバレする【雑学の本】#3日目──絵画『ムンクの叫び』で、叫んでいるのはムンクではない!?


ムンクの『叫び』で
本当に叫んでいるのは……

 ノルウェーの画家エドヴァルド・ムンクの代名詞的な作品『叫び』。

 絵の中央にいる男が両耳を手でふさぎ、口を大きく開けて、からだをよじらせる姿が印象的な絵画だ。


 男の不安や恐怖心といった感情がダイレクトに伝わってくる絵として世界的に有名だが、いったいこの男はなぜ叫んでいるのだろうか。

 いや、じつは男は叫んでいない。彼は恐れおののいて、身震いしているだけなのだ。

 ムンクは、彼が友人と二人で散歩に出かけたときの体験をもとにこの絵を描いたという。

 散歩中、夕日に染まる真っ赤な雲が突然、ムンクの目に飛び込んできた。

 同時に、「自然を貫く果てしない叫び声」が聞こえ、彼はあまりの恐ろしさに立ちすくんでしまったという。

情緒不安定なムンクにだけ聞こえた
「自然の叫び声」


 ただし、この恐怖体験をしたのはムンクだけで、友人には「自然の叫び声」など一切聞こえず、ムンクの異変に気づくこともなく、スタスタと歩いていった。

 ムンクはこのときの「自然の叫び声」と、自身が体験した不安や恐怖を絵に表現したのだ。

 つまり、叫び声を上げているのは男(ムンク)の背景に描かれた自然であり、彼は叫び声を聞きたくなくて耳をふさいでいる、というのが真相だ。

 当時、ムンクは身近な人々を次々に失くして情緒不安定となり、被害妄想や強迫観念に悩まされていたという。そうした彼の苦悩が凝縮された一枚が『叫び』だったのだ(同様のモチーフの『叫び』は版画を除き4点現存している)。

 ムンクの『叫び』は、伝統的な表層描写から一転して作家の内面の精神性を描き、ドイツ表現主義やシュルレアリスム、フォーヴィズムなどに大きな影響を与えた。

 そういった意味でも、『叫び』は画期的な作品だった。

明日もお楽しみに〜😊♪


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