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1月9日週【中途採用市場動向】

企業動向

経済再開で採用競争が激化 定着・育成施策がより重要に【主要人材コンサルティング会社アンケート「2023年 人材需要と採用の課題」】

人材不足は構造問題、中途採用ニーズは高水準
企業の人材採用を支援する主要コンサルティング会社の事業責任者を対象に本誌が実施したアンケート調査では、2023年の日本の雇用情勢は「良くなる・やや良くなる」との回答が78%となり、コロナ禍によるさまざまな規制が撤廃されて経済活動が再開したことなどを受けて、採用競争が激化する見通しだ。

また「構造的な人材不足は変わらず、採用活動は活発」(リクルート藤井薫HR統括編集長)、「人材需要は景況感とは別次元の社会構造的な問題。これまで日本が経験したことのない『人材難・新時代』」(経営者JP井上和幸社長)など、労働力人口の減少による人材不足によって、企業が積極的に人材を確保する動きは続くと見る事業責任者が多い。

企業の人材採用数は、新卒、中途、アルバイト・パート、派遣のいずれも「増加・やや増加」が大きな割合を占めている。特に中途採用については、前年同様「増加」が6割に迫り、即戦力人材を求める中途採用ニーズは高い水準が継続しそうだ。

コロナ禍以降、企業が確保を急ぐデジタル人材については「データ活用に長けている人材やDX人材に対するニーズは引き続き顕著」(パーソルキャリア大浦征也執行役員)、「役割や求められるケイパビリティも多岐にわたっている」(アクシスコンサルティング伊藤文隆常務取締役)など、引き続き高い需要が見込まれている。

DX支援サービスを利用する企業が増えているため、コンサルティング業界の人材紹介会社アンテロープキャリアコンサルティング佐藤史子シニアディレクターは「若手のポテンシャル人材も含めた人材の獲得競争は引き続き継続」とコンサルタント採用の拡大を予測する。

「EV関連、半導体、制御系のエン ジニアなどは埋まっていないポジ ションを継続して募集。グリーントランスフォーメーションに伴うESG 戦略や素材開発のニーズ」(キャリ ア・デベロプメント・アソシエイツ田辺晃社長)、「マーケティング、営業職は引き続き一定の需要があり、 最近需要が高まってきているのが CRM、CX/UX」(KMF PARTNERS吉田亜紀子Director)など、2023年も新規事業、製品開発や拡販をけん引できる専門人材を多くの企業が 求めている。

「日本企業の海外における採用需要もコロナ政策で制限が続いた中国を除き、アジア、欧州、北米とも回復」(ジェイ エイ シー リクルートメ ント田崎ひろみ会長兼社長)などの グローバル関連の人材需要、社外取締役として「多角的・本質的・実質的に貢献できる経営者経験のある女性人財」(島本パートナーズ秦一成社長)のようなガバナンス強化のためのニーズも見込まれている。

即戦力人材スカウトのための検索数上昇ワードから2023年のトレンドを読み解く ビズリーチ、「2022レジュメ検索トレンド」を発表

キーワードから読み取れるトレンド
■1位は「開発要件定義」。DX実現のビジョンとIT現場の「橋渡し人材」のニーズが高まる
2022年の1位は「開発要件定義」となりました。2021年は「DX」が注目を集めましたが、2022年は各業界、各社で具体的なDXの取り組みが深化し、新たな課題が浮き彫りになったことで、システム等の開発を進めるための要件定義をし、DX実現のビジョン(ビジネス)とIT現場(技術)の橋渡しを行う人材のニーズが増加したと推測できます。また7位は「折衝」で、関連ワードは「要件定義」や「プロジェクトマネージャー」「プロジェクトリーダー」「ベンダーコントロール」「顧客折衝」となりました。1位の「開発要件定義」と同様で、自社のDX推進において外部のITベンダーとの折衝を行う人材や、クライアントのデジタル化支援を推進できる人材の需要が高まっていることが分かります。
このような「橋渡し人材」は、「アーキテクト」と呼ばれるポジションです。アーキテクトには要件定義や仕様策定に加えて、ビジネス面での課題解決のための経営的視点が求められます。ビズリーチ上の「アーキテクト」求人は増加傾向にあり、今年はアーキテクト人材を求める企業がさらに増加していくと推測されます。

■コロナ禍の影響で「エンタメDX」が加速。
2位は「エンタメ」となりました。エンターテインメント業界は、新型コロナウイルスの感染防止対策として非対面・非接触が求められたことで、新たな収益機会の創造のために「エンタメDX」が加速しました。AR(拡張現実)・VR(仮想現実)やライブ配信プラットフォーム、NFT(非代替性トークン)をはじめとしたさまざまな先端テクノロジーによって、新たな顧客体験やマネタイズ手法が模索されており、それに伴う事業拡大や専門人材の採用が見られます。また高まる「エンタメDX」の需要を受けて、事業拡大のための企画職の求人なども増加しています。

■2022年7月に日本語版がリリース。Webブラウザーで共有可能なデザインツール「Figma」が上昇
3位に入った「Figma」は、ブラウザー上で使用できるデザインプラットフォームで、場所を選ばずに使用できる点や1つのファイルを複数のメンバーで編集できる点が特徴です。2022年7月に日本語版がリリースされたことで国内の利用者が一気に増え、採用においてもFigma経験者を求めるケースが増加していると推測できます。

■「カーボンニュートラル」が上位に。「2050年カーボンニュートラル宣言」前後で、脱炭素を含むサステナビリティ関連の求人が11.0倍に
4位に「カーボンニュートラル」がランクインし、「脱炭素」「自動車」「新規事業」「SDGs」等が関連ワードとして検索されました。また、14位には「電池」も入りました。2020年に、政府が2050年カーボンニュートラルの実現に向けた宣言を行ったことで、企業の脱炭素への取り組みが加速していると推測されます。ビズリーチ上でスカウトが行われている「サステナビリティ関連求人」は、政府の宣言前の2019年と比べて2022年は11.0倍となっています。

■近年、PC利用者が増加。PCセットアップ業務「キッティング」経験者のニーズが高まる
5位に「キッティング」が入りました。キッティングとは、PCやスマートフォンなどのデバイスを利用者がすぐに業務に使用できるように、各種設定やソフトウエアのインストールなどを行う作業を指します。
これは、リモートワークの浸透やDXの推進に加えて、6位の「求人広告」からも推測できるように2022年は企業の採用活動が活発だった※2ことから、入社者の増加に伴いキッティング経験者のニーズを上昇させたと考えられます。

■データ活用範囲が広がり、データサイエンティストの需要が伸長
11位に「Python SQL」が入った背景には、Pythonの用途がWebサービス開発だけでなく、データ処理や分析、人工知能の開発などに広がりを見せたことや、データ分析ツールの利用拡大が考えられます。2022年、ビズリーチ上では特に、IT業界に限らずマーケティング関連のデータサイエンティストの求人が多く見られ、データサイエンティストの需要が拡大していることが推測されます。
また、関連ワードに、分析ツール「Tableau」やCRMツール「Marketo」「Salesforce」や、「リードナーチャリング」「セールスイネーブルメント」が入ったことから、マーケティングや営業の現場でもDXが進み、マーケティングからセールスまでデータに基づく一貫した体制の構築も進んでいることが分かります。

■DXが進んだことで、高まるITセキュリティの必要性
20位に「リスクマネジメント」が入りましたが、2022年の特徴として関連キーワードに「個人情報保護」や「データウェアハウス」といったデータに関するワードが挙がりました。各産業でDXが進んだことや、リモートワークが浸透したことにより、ITセキュリティの必要性が増したことでレジュメの検索数が上昇したと推測されます。企業には、年々増加傾向にあるサイバー攻撃への対策はもちろん、各国の法律に応じた個人情報保護への対応や、従業員のITリテラシーの向上などが求められています。

人的投資への関心が高まっていることを受け、対応している企業は21.4%。約6割の企業が対応を準備・検討中。「若い世代を中心に、スキルアップの機会を重視する人が増えている」の声/人事担当者アンケート

(1)人的投資への関心が高まっていることを受け、対応している企業は21.4%
    約6割の企業が対応を準備・検討中
(2)人的投資によって解決を期待している課題は「社員の定着における課題」が最多
(3)人的投資強化のために、対応していること・対応を準備していることは「研修機会の拡充」が最多

キャプラン『人的資本開示に関する実態調査』2023年「人的資本経営」が本格始動!249社を対象に実施

■ すでに「人的資本の情報開示」に取り組んでいる企業は全体のわずか18.8%
■「人的資本の情報開示」に取り組む理由は、半数以上が「人的資本経営の推進のため」上場企業においては63.6%が「開示が義務化されるため」と回答
■ 取り組み状況は「従業員データの収集や可視化」などの初期のフェーズが多数。上場企業の半数は「開示範囲の策定」に取り組むも、「可視化データの定量把握・分析」や「人材戦略のブラッシュアップ」は道半ばの状況
■ 課題は「可視化データの定量把握・分析」が最多。上場企業では「人材戦略のブラッシュアップ」や「シナリオ策定」も多い
■ 人的資本開示に活用しているシステムは、上場企業では「人事・給与システム」や「タレントマネジメントシステム」が主流。非上場企業では「Excel」が最多

「マイナビ 人材ニーズ調査 2022年版」を発表

2022年の採用実績は「パート・アルバイト」が54.5%、「派遣社員」が35.3%でコロナ禍以降、初めて増加に転じた。2023年の採用ニーズはいずれの雇用形態においても高まる

各雇用形態でシニア層の採用期待が増加傾向に。期待する点は「経験・スキル」「労働力」「技能や知識の継承」

採用目標達成のために基本給を上げた企業は半数以上。業種では「流通業・卸売業・小売業」が最も高い

人的資本開示の認知率は約60%。上場企業が求職者に対して開示するとしたら、「採用・異動・離職」「組織の健康・安全・福祉」「後継者育成」など

【パーソルホールディングス】『データから見る企業実態調査』女性活躍推進・外国人採用に取り組む企業が半数を超える。年齢構成では「若手層が少ない」が30%超、進む従業員の高年齢化

■女性活躍推進への取り組み度合い:58.0%の企業が女性活躍推進に「取り組めている」と回答した
・女性活躍推進の取り組み状況について、「十分に取り組めている」「ある程度取り組めている」の合計は全体で58.0%であった。超大手企業は67.9%、大手・中堅企業は57.1%、中小企業は49.1%と、企業規模が大きいほど取り組み状況が高いことがわかる。

■外国人採用への取り組み度合い:50.2%の企業が外国人採用に「取り組めている」と回答した
・外国人採用の取り組み状況について、「十分に取り組めている」「ある程度取り組めている」の合計は全体で50.2%であった。超大手企業は64.9%、大手・中堅企業は46.2%、中小企業は39.5%と、企業規模によって開きがあった。

■年齢構成の実態:「高年齢層が多い」32.5%でトップに 企業の高年齢化が進む
・従業員の年齢構成については、「高年齢層が多い」がトップで32.5%、次いで「若手層が少ない」31.4%で、高年齢化が進む企業が多いことがうかがわれた。


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