6月13日週【中途採用市場動向】

企業動向

転職市場「旬のキーワード」ランキング!人事が食いつくスキル・経歴とは

<ヘッドハンターにアンケート>企業からの相談、直近1年で最も増加したのは「応募が集まらない(83.2%)」

  • 9割以上のヘッドハンターが、2022年後半は「企業の中途採用活動」が活性化すると予想しました。一方、企業からの相談で、この1年最も増加した内容は「応募が集まらない(83.2%)」でした。活性化する転職市場において、求職者からの応募を待つ従来型の採用方法では母集団形成が難しく、企業が求める人材を採用するために、あらゆる手段を主体的に考え、能動的に実行する採用活動「ダイレクトリクルーティング」の必要性が高まっていることが分かる結果となりました。

  • 1年前と比較して増加した、クライアント企業からの相談内容について質問したところ、「応募が集まらない(83.2%)」という回答が最も多い結果となりました。昨年と比べると、15.6ポイント増加しており、慢性的な人材不足がより深刻化していることがうかがえます。

  • 次いで「内定辞退をされることが多い(37.7%)」「応募要件を満たしていない方からの応募が多い(34.3%)」が続く結果となりました。人材獲得競争が激化するなか、母集団形成に悩む企業や候補者の転職意欲の向上に課題を抱える企業が増加していることが分かります。

「職歴にブランクあっても優秀な女性人材はいる」と考える企業は8割以上、「実際に採用して良かった」は過半数

<企業向け調査>

  • 1. 職歴ブランクがある中でも優秀な人材がいると考える企業は「8割」以上

  • 2. ブランクがある方を実際に採用したことがあるケースは7割近くに

  • 3. 採用した方のブランク期間で7割近くを占めたのが「ブランク3年未満」

  • 4. ブランクがある方を採用して「良かった」のは5割以上、「悪かった」はわずか1割

  • 5. ブランク期間が再就職後の仕事にどう還元されるのかについて、「予想以上な能力の高さ」「人間性や対応力の幅が広がる」などの意見

<個人向け調査>

  • 6. 職歴ブランクがある女性の離職のきっかけで多いのは、「結婚」「出産・育児」で約半数。転勤、介護等含めたライフイベントが少なからず影響

  • 7. 再就職までのブランク期間は「2年未満」が約6割

  • 8. 求職活動において、約3分の2が、ブランク期間をポジティブに捉えられていない

中小企業365社に聞いた「夏季賞与」実態調査2022 ―人事向け情報サイト『人事のミカタ』アンケート―

  • 「2022年夏季賞与を支給予定」の中小企業は77%と、2021年と同水準に

  • 31%の中小企業が、景気回復を「非常に感じる」「どちらかというと感じる」と回答した一方、賞与支給額については「2021年より増額予定」は27%、「減額予定」は12%となり、緩やかな景気回復は感じられるものの、賞与還元への力強さには欠く結果に。

前年(2021年)と比較し、景気の上昇や回復を実感できていますか?
2022年夏季賞与を「2021年と比べて増額予定」と回答した中小企業に伺います。 その理由を教えてください。(複数回答可)

「ITエンジニア/IT系専門職」系求人数(全国)、2020年1月の約2倍【2022年5月度 正社員平均月給・求人数レポート】

  • 2022年5月度 トピック

  • 5月度の全国正社員求人数は167,096件(前月比+7,705件、前年同月比+57,671件)。正社員系全体で求人数の増加が続いており、「ITエンジニア/IT系専門職」系ではコロナ前の2020年1月と比較して約2倍となる36,204件を記録。

  • 5月度の全国正社員平均月給は271,870円(前月比-62円、前年同月比+8,021円)で前年同月から3.0%増加した。

求人件数の推移

「勤務地を問わない新規求人数」がコロナ禍前と比べ11.3倍に上昇 即戦力人材の約85%が、「リモートワーク」であれば「会社の所在地にかかわらず」転職を検討

  • ビズリーチ上における2022年1月~3月の「勤務地を問わない新規求人数」は、コロナ禍が起きる前の2019年10月~12月に比べ11.3倍に急増していることがわかりました。また、2021年10月~12月と比較すると増加率が鈍化していることから、コロナ禍を経て「リモートワーク可」が新たな求人の特徴として定着しつつあることがわかります。求人傾向としては、IT企業のエンジニア職種が多くなっています。不足が深刻といわれるIT人材の採用において、企業がリモートワークの導入により採用条件を緩和し、居住地を問わず優秀な即戦力人材を採用しようとする動きが広がっていることがうかがえます。

  • 約85%のビジネスパーソンが、勤務地を問わない求人(リモートワーク)であれば会社の所在地にかかわらず転職を検討

  • ビズリーチ会員を対象に、転職に関するアンケート※2を実施したところ、現在週1回以上のリモートワークを行っているビジネスパーソンのうち、9割以上が「リモートワークを継続したい」と回答しました。また、リモートワークを継続する場合、希望する頻度として最も多かったのは「週2~3日(40.2%)」で、「週4日(29.1%)」「週5日以上(27.7%)」が続く結果になりました。

求職者動向

【Z総研×マイナビ転職 Z世代の仕事観の調査】約9割が「変わり続けることが成長」と考える一方、行動は約7割が「慎重派」。約3人に1人が転職を視野に。好きなことを仕事にしたいと約8割が回答

  • 69.3%が『今の職場でしばらく頑張ろうと思っている』と回答。一方で30.7%が転職を視野にいれていると回答。理由は、キャリアアップや挑戦。職場環境も影響。

  • キャリアに関して『変わり続けることが成長だと思う』と答えた人が92.0%。一方、『考えてから動く』慎重派が71.8%。

  • チームで仕事を進めることにやりがいを感じる人が66.3%!自分にないものを補い合える、達成感を感じると回答。

  • 「好きなことを仕事にしたい」が84.0%と多数。モチベーションや向上心に繋がると回答。

「リモートワーク・在宅勤務と出社のハイブリッドで働きたい」がトップの43.6%

  • 働き方について「リモートワーク・在宅勤務と出社のハイブリッドで働きたい」が43.6%とトップ

  • 「副業をしてみたいか」について、「強く思う、思う」が「まったく思わない、思わない」を上回る

  • 「入社した企業に何年勤めたいか」については、「4~5年以内」から「定年まで」と回答がばらける

パソナ総合研究所 全年代の在宅勤務経験者1,000名に聞く 『第2回 コロナ後の働き方に関する調査』 第2弾「在宅勤務による生活・キャリア意識への影響」結果を発表

  • 在宅勤務を行った結果として「仕事以外の生活の重要性をより意識するようになった」が46.9%と1位となり、若年層(20代・30代)ほど、その傾向が強い。

  • 家事・育児の分担状況について、30代以上の男性では、「本人(男性)の家事・育児の負担が大きい」とする回答の割合が、「配偶者(女性)の家事・育児負担が大きい」より大幅に少なく、特に40代以上ではその差が顕著。また、在宅勤務の開始から時間が経過するのに伴い、「本人(男性)の家事・育児の負担が大きい」とする回答が増加していく傾向があり、男性の意識の変化が見てとれる。

  • 在宅勤務を機に転職や副業を検討したり、希望する職務や就業先が変化した人の割合は、合計で46.3%に上り、前回より増加。

  • 地方移住への関心は、前回同様若年層ほど「関心が高まる」傾向。関心が高くなった理由としては「在宅勤務が可能なので首都圏にいる必要を感じなくなった」が1位。

  • 健康面への変化は、「運動不足により体力が低下した」「運動不足により体重が増加した」がともに4割前後。会社等からの健康面のサポートについては、前回2位の「メンタル面の個別の相談窓口の設置」が1位となった。

  • 在宅勤務による考え方・意識への影響 <スキル・希望職種・地方移住>

  • 資格取得やスキルアップへの意欲については、「意欲が高まり実際に開始した」「意欲は高まり具体的に計画中」が全体の30.5%となり、前回(28.3%)よりも微増した。

  • 年代別でみると30代でその増加幅が大きく、前回(33.8%)から今回(41.2%)で7.4ポイント増加した。

  • 意欲が高まった理由は、「現在の会社でのスキルアップの必要性をより感じたため(67.5%)」が1位で、その割合は増加。30代を中心に若い世代(20代~40代)でその傾向が強かった。一方、「時間に余裕が出来たため(40.9%)」は前回より減少。

「新卒入社直後のdoda登録動向」最新版発表 入社直後に新社会人が転職サイト「doda」に登録した件数は、過去最多

  • 2022年4月に「doda」へ登録した新社会人は、これまでで一番多かった2019年を上回り、本調査を開始した2011年以降、過去最多となりました。また、2011年比で約28倍にまで増加しています。

  • 1回目の緊急事態宣言が発令された2020年4月は、働く環境が一変したことを背景に、登録者は減少したものの、その後右肩上がりの状態が続いています。特に、2018年4月を境に大幅に増加し、以降は2011年比で20倍を超えています。

  • 2018年から2019年にかけて、働き方改革推進や経済界のリーダーによって「終身雇用の崩壊」が叫ばれたことをきっかけに、働き方やキャリアについて考える人が増加しました。こうした世の中の変化を受け、2018年度以降に入社したZ世代と呼ばれる人の「はたらく価値観」は、“1社でキャリアを積み、昇格や昇進を目指す”形から、“転職や副業などを通じ複数社で経験を積み、キャリアアップを目指す”形へと変化しました。

  • 特に、2022年度に入社した人の多くは、新型コロナの感染拡大により、社会全体が混乱に陥っている中で就職活動を行っています。先行き不透明な状況の中で、卒業後、そして将来について考える必要があり、不安を抱く人も少なくありませんでした。

  • 結果、入社をゴールとせず、中長期的な視点でキャリアを見据える人が増加。情報収集のために早い段階から転職サイトに登録する動きが加速し、登録者が今年過去最多になったと考えられます。

  • 最近では、企業や組織に依存せず、自らの「はたらく」を自身で選択しハンドリングする「キャリアオーナーシップ」という考え方が重要になってきています。今後、就職活動時から転職を意識する“転職ネイティブ世代”が台頭することが予想され、4月の新社会人の登録は右肩上がりで増加するでしょう。

HRtech系

転職希望者の過去の働きぶり参照 中途採用で導入広がる

  • 人材サービス大手のエン・ジャパンが提供するリファレンスチェックサービス「ASHIATO(アシアト)」の利用企業が増えている。

  • 特設サイトを通じて採用担当者がアンケートを作成。転職希望者は出身企業の社員を数人選び、エン・ジャパンが送付するウェブアンケートに答えてもらう。

  • 「人柄」や「スキル」、「目標への達成度合い」「勤怠状況」「マネジメント能力」など10~15問あり、転職希望者の対人関係や論理思考に関する能力をスコア化する仕組みだ。2~4日で回答が得られ、内容は面接先の担当者だけが把握できる。

  • 2020年10月にサービスを始めて以来、パナソニックホールディングスなどの大手企業やスタートアップなど利用企業は400社を超えた。

  • 転職希望者が増え、採用担当者が人材を見極めるハードルが上がり、ミスマッチを防ぎたいというニーズが高まっている。エン・ジャパンの試算では、入社後6カ月で離職した場合の損失は1人あたり最大370万円に上る。企業側は中途採用で即戦力となる人材を確保したいため、早期離職はコストだけでなく事業を進める上でも大きな損失になる。

  • コロナ禍でテレワークなどが定着し、業務効率化や人手不足対策を進めるため、企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む動きが広がった。IT(情報技術)人材を中心に企業の中途採用意欲は高まっており、転職希望者も増えている。

  • パーソルキャリア(東京・千代田)の転職サービス「doda(デューダ)」によると、1月の転職希望者数はコロナ前の19年1月比で14%増えた。足元の2~3月も右肩上がりだ。1月の求人掲載数も19年1月比で86%増え、「IT・通信」の求人は約3倍に急伸した。

メタバース関連企業の3社によるエンジニア向け中途採用合同説明会が6月22日にオンラインにて実施。参加はココネ、REALITY、HIKKYの3社

  • いま、大きな注目を集めているメタバース。クリーク・アンド・リバー社主催により、そんなメタバース事業を展開している企業3社による、エンジニア向けの中途採用合同説明会が、2022年6月22日19時30分~21時にオンラインで開催される。参加費は無料だ。

  •  今回説明会を実施するのはココネ、REALITY、HIKKYの3社。当日は、各社で働く技術職の方に登壇してもらい、企業情報の説明はもちろんのこと、業務内容やVR・AR・MR・3Dなどの開発体制、どのような方が活躍されている環境なのかなど、生の声を聞くことができる。転職を考えている方はもちろん、情報収集をしたい方も歓迎とのこと。今回の中途採用合同説明会は、以下のにオススメだという。

    【対象者】

  • メタバース業界への転職を検討されている方

  • メタバース事業に興味・関心の高い方

  • ゲーム等、他業界でのプログラマー経験を、どう活かせるか知りたい方

人事情報を一元管理 法改正や制度改定にも対応するHRテックは?

  • 現在多くのHRテックが世の中に存在するが、中でも人事部門の業務を包括的にサポートするのが、電通国際情報サービスの統合HCMソリューション「POSITIVE」だ。

  • POSITIVEは人事・給与・就業管理の他、AIを活用したタレントマネジメントや人事申請のモバイル対応といった機能を持つ。2002年のリリース以来、導入実績は2700社を超える。

  •  これまで同社は大企業を中心にPOSITIVEを展開してきたが、近年は中堅企業にも販路を拡大。多くのユーザー企業が利用する機能をあらかじめ設定した、導入テンプレートを中堅企業向けに用意する。さらにこれまで中堅企業向けに提供してきた統合人事システム「STAFFBRAIN」から、POSITIVEへ移行できるマイグレーションツールも提供。POSITIVEの導入コストを抑えることで、より幅広い企業に向け販売を強化する。

  •  現有人材の能力を最大限に生かす基盤をHRテックで構築し、企業の成長につなげる――人事管理やタレントマネジメントに課題を感じていたら、POSITIVEは要注目のサービスだ。

早期離職、キャリアミスマッチをゲーム攻略型アプリで解決。人材開発ベンチャーがFUNDINNOで資金調達へ

  • 株式投資型クラウドファンディング(CF)サービス「FUNDINNO(ファンディーノ)」で6月9日、「『人生は、RPG』。若者の早期離職、キャリアミスマッチを防ぐゲーム攻略型キャリア形成アプリ『LPG』」が公開された。株式発行者の株式会社Five dementions holdingsは、人材開発事業やアプリケーション事業を中心に2021年1月に創業したベンチャー企業。離職率の上昇問題を、ナビゲーションアプリで解決するビジネスモデルを提案している。目標金額1000万円、上限応募額4000万円で、投資金額は1口10万円 (20株)、5口まで。申込期間は6月18日から22日。

  • 同社が開発したアプリ「LPG(Life Playing Game)」は”人生を「RPG(Role Playing Game)」ゲームのように冒険するため”のナビゲーションアプリ。アプリ上で主軸となるサービスは「クエスト」運用だ。雇用側である企業や地方自治体が実際に抱える課題をクエストとして構築、それに学生が参画し、オンラインとオフラインを織り交ぜながら企業と学生が共にゲーム感覚で課題を解決していくという内容。学生や第二新卒、アスリートや障害を持つ人など、就職活動中のあらゆる人々が自分の才能や強みを発見し、ゲーム感覚でさまざまな経験を企業で積むことができるとしている。

  • アプリ上では、各クエストに同社のディレクション担当者が付く。そのため、学生やクエスト進行のサポートは企業が独自に提供するインターンよりも負担が少なく、気軽に実施できる。クエストを通して出会った優秀な学生を直接スカウトすることも可能で、同アプリで採用に至った際には、一人あたりの採用コストが業界の3分の1から5分の1まで削減できる試算(同社調べ)だ。

  • 収益源となるのは、クエスト制作運用サービス。基本的には月額3万円(税抜)で、企業が自社の企業課題にまつわるクエストを月次1個構築することができる。この費用には同社のディレクション、クエスト制作過程で事業課題を抽出するコンサルティング費用も含まれている。さらに、今後アプリを通して学生の採用に至ったケースについては、想定年収の5%の人材紹介料が発生する。人材紹介料については、計画では23年3月頃に有料職業紹介事業許可を取得した上で、最短で同年5月より事業を開始する予定。

  • 今年5月時点で、学生はアプリの全ての機能を無料で使用可能。また、学生の自己分析をさらに細やかにサポートするため、有料のサービスも用意している。すでに正式版をリリースしており、着実にダウンロード数を伸ばしているという。ユーザー数が3000名を越えたフェーズで、学生を巻き込んだ新規事業立ち上げや事業再構築を行いたい法人向けに、中長期でクエスト制作を請け負う月額10万円(税抜)のプランも整備していくアイディアもある。

  • 「当社のミッションは『異能は資産』。一人ひとりの中に眠る異能(誰にも負けない才能・能力)を見い出し、発信し、それを企業・社会課題と繋げられる事業の展開を目指している」と同社。「自分の強みや才能に気づかないまま社会に出て、自分の思い描いていた生き方とのギャップに息苦しさを感じる若者は少なくなく、結果として、企業は若者の離職率の上昇に悩まされ、せっかく採用しても社員が定着しないという大きな課題に直面している。LPGで現在の就職活動システムを撤廃したい」と意気込みを語る。

セールスエージェンシーのセレブリックス、【営業に特化したプロ人材】の紹介サービスを6月1日より正式提供開始。~完全成果報酬、営業のプロ人材を最大80万円で契約~

新サービスの特徴特長

  • 1. 状況や課題に合わせて様々な条件で依頼が可能です

  • 実際に営業活動や商談を行う「プレイヤー人材」

  • 営業プロセスや組織のアセスメント、営業戦略策定を支援できる「コンサルタント人材」

  • 大手企業攻略を目指す「ABMプロフェッショナル人材」

  • ウェビナーなどを中心にリード獲得を支援できる「セールスマーケアドバイザー人材」

  • など、それぞれ専門性を持った方々に多くご登録いただいています。

  • 2. 二段階かつ完全成果報酬型で安心してご利用いただけます

  • 当社への報酬が発生するのは「業務委託契約が締結できた時」のみ。

  • 募集や選考の過程では一切の料金が発生しないため、「お金をかけて人が取れない」という心配なくご利用いただけます。

  • 3. セレブリックスでの選考通過者のみをご紹介

  • ご相談を受けた企業様からご希望の人材要件をお伺いし、

  • 800名超のエージェントデータベースに対し募集をかけた後、当社にて書類および面談による一次選考を行います。

  • これらの情報を基により精度の高い選考が可能です。

HRTechで人的資本経営の基盤をつくる

  • a)投資家対策

  • リーマンショック以降、投資家がサステナブル(持続的)に業績を伸ばす企業を見極めるうえで注目するようになった「ESG」。従来の財務データに加えて、E: Environment(環境)、S: Social(社会)、G: Governance(ガバナンス)に関連するデータも評価して企業への投資を判断するケースが増えた。このESGのSに人的資本が含まれているため、人的資本に関連するデータの開示や活用が注目されるようになった。

  • b)世界の潮流

  • ESGに関連して、人的資本関連の情報開示を企業に求める動きが世界で活発化している。英国では2013年時点で会社法規制を改正し、上場企業に対し「戦略報告書」の公開を義務化して非財務情報の開示を定めた。EUや香港でも同じころにESG関連の情報開示を企業に義務付け始めた。世界の潮流のなかでもインパクトが大きかったのは、2020年8月に米国でSAC(米国証券取引所)が上場企業に対し人的資本の開示を義務化したことだろう。

  • c)日本国内の動き

  • 上記の影響も当然あったと思うが、日本でも経済産業省が中心となって「人的資本」に関する研究会が開催されるようになり、アウトプットも多くなってきた。その中でも2020年9月に公表した「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会 報告書」が注目を集めるようになった。伊藤邦夫氏が座長を務めている研究会のレポートなので、「人材版伊藤レポート」として認知されているケースの方が多いようだ。この「人材版伊藤レポート」のなかでも、目指すべきビジネスモデルや経営戦略を実現するうえで必要な人的資本を整える必要があるとして、「3つの視点」と「5つの共通要素」が紹介されている。

  • このように、世界の企業を取り巻く環境の変化が、人的資本への注目を高めていることがわかる。そして、人的資本に関連する情報の活用先としては、上述した株式市場を含めた対外的な情報開示と、サステナブルに成長できる企業力を身につけるための社内活用ということになる。

  • 2. 人的資本経営に必要になる情報とは

  • 人的資本経営を実現するためには、前述したようにさまざまな情報を活用して、経営戦略を実現するために必要な人的資本を整備していかねばならない。では、具体的にどのような情報を管理して活用していく必要があるのだろうか。

  • 現時点でその回答になりそうなのが、「ISO30414」だ。国際標準化機構(ISO)が発表する人的資本の情報開示のためのガイドラインとして、11領域、58項目の情報が規定されている。「リーダーシップ」「後継者計画」「組織文化」「組織の健康」「安全および幸福」「コンプライアンスと倫理」「費用」「生産性、労働力の可用性」「多様性」「採用・異動・離職率」「スキルと能力」の11領域がさらに細分化され、58の項目に分類されている。

  • 3. HRTechはどのように活用できるのか

  • 人的資本に関する情報を「ISO30414」の内容を前提にした場合、情報源は従来から利用している人事・給与システム、勤怠管理システムやHRTechソリューションでもあるタレントマネジメントシステムやエンゲージメントシステムに蓄えられているデータだろう。例えば、上記の表にある「後継者計画」の「後継者準備率」については、前回に紹介したタレントマネジメントの後継者計画の機能を活用すれば、適時情報を把握できる。

  • 対策が必要な指標については、ドリルダウンで詳細データが表示されるので、実態を正確に把握したうえで対策を検討することができる。さらに、AIを利用することにより、今後の予測や、同業他社が開示するデータをベンチマークデータとして活用して、どの項目をどのレベルにまで伸ばす必要があるかなどをシミュレーション可能だ。

経団連 経済 政治系

「女性従業員のキャリアアップ応援事業」を6月から実施:東京都

  • 東京都は、都内の企業による女性活躍推進の取り組みを応援する「女性従業員のキャリアアップ応援事業」を6月から実施する。プログラムは12あり、このうち行動計画策定支援研修は、女性活躍推進法の改正で今年度から従業員101人以上300人以下の企業にも行動計画の策定などが義務付けられたことに対応したもの。いずれのプログラムも受講料は無料。

  • 行動計画策定支援研修は、女性活躍推進法による「一般事業主行動計画」の策定に向けた実務的なノウハウを提供する。全15回で各回とも同じ内容。すべてウェブ開催。第1回は6月22日に開催される。対象は従業員300人以下の都内の企業の経営者や人事・総務担当者で、参加は1社1人。このほか、従業員100人以下の企業を対象にしたスタートアップ研修や、経営者を対象にした経営戦略としての女性活躍推進セミナーなどがある。

人材マネジメント

市場は人材や組織の成長力を見ている 開示で自社の独自性を見直す好機に

  • 経営者や人事関係者は、何から着手すればよいか

  • 「2.0」で同時に公表されている「人的資本経営に関する調査」の結果を見ると、「経営戦略は明確化されているが、人材戦略への連動には至っていない」「動的な人材ポートフォリオに関連する取り組みがすべて遅れている」と経営陣が認識していることが明らかになっています。経営戦略と人材戦略をどうつなげばよいか分からないという状況にある企業は多く、私もコンサルタントをしていた頃にしばしば相談を受けました。実は、「人材ポートフォリオ」には経営戦略と人材戦略を接続させる「連結ピン」の働きがあります。例えば、新事業を開発して進めていく人材は、既存の人材像では立ち行かないことがあります。その際、事業や職務の特性から人材を定義して、その職務に適した人材をポートフォリオ上で適所適材を満たす設計をすることになります。それがすなわち人材戦略になっていくのです。

  • 調査結果にもあるように、経営戦略は明確に描けている企業が比較的多いことから、まずは経営戦略と人材戦略をつなぐ人材ポートフォリオの構築に注力するべきだと考えます。「人材ポートフォリオの構築」と聞くと難しく感じてしまいそうですが、「自社の事業に必要な人材像」として「探究する意志と学ぶ力がある人」や「部門を越えて交渉できる影響力の強い人」などと、人材像をイメージするところから始めると、その後が円滑に進みます。

  • 人的資本経営に取り組む企業は、自社の人的資本情報を測定してそのデータを適切に取り扱い、ステークホルダーに報告や開示を行うことが求められます。そうした情報開示の際、理想と現実との「ギャップの開示」に企業がおよび腰にならないことが重要です。投資家は「人材や組織の潜在能力をどれだけ伸張させたか」「事業成長に活かしたか」という成長力を見ています。経営者や人事部長はこれまでの「モノ、カネ、情報」への投資以上に、「ヒトが価値創出の原動力である」というポリシーを打ち出し、人的資本の情報を基に社内外のステークホルダーと対話しながら、企業価値を高めていくことが肝要です。

  • また、企業の独自性も問われるでしょう。日本企業は横並びを強く意識し、他社の成功事例研究を好む傾向にあります。「2.0」で公表された事例集に関しても、他社の「型」を真似るのではなく、「どのような議論を経て、なぜその基準に決まったのか」「経営戦略と人材戦略をどう連動させたのか」といった「プロセス」を学び、その上で独自性を確立して訴求することが市場から魅力的に映ります。

  • 今の人的資本経営の潮流は、「自社の組織と個人の本質的な在り方」を問い直す良い機会です。長らく「戦略人事の重要性」が問われてきましたが、今が実現の好機であり、その際に人事部門の果たす役割もまた大きいでしょう。

11社・団体が参加し「仕事とケアの両立」という社会課題に取り組む業界横断型研究会「Excellent Care Company Lab.」を発足

  • 株式会社リクシス(本社:東京都港区、代表取締役社長:佐々木裕子、以下リクシス)は、国内大手企業11社・団体と共に「仕事とケア(介護)の両立」という超高齢社会の課題を解決するための施策を議論・推進する研究会「Excellent Care Company Lab.(以下、ECC Lab.)」を発足いたしました。

  • ■ECC Lab.設立の背景と目的

  • 団塊の世代が75歳を超え後期高齢者となる「2025年問題」を目前に控え、高齢者とその家族が抱える「老い」にまつわる課題は今後さらに大きくなると予想されます。仕事をしながら家族の介護を担うビジネスケアラーは、すでに350万人にのぼるとされていますが、支えられる側である高齢者の増加に加え、少ないきょうだい数、未婚・晩婚化、夫婦共働きの増加といった支える側の担い手が減ることにより、今後も増加していく見通しです。

  •  「Excellent Care Company」という名称には、介護不安社会を生き抜くためにも、ケア(介護)について考える会社こそが、もっとも優しく、もっとも賢く、もっとも強いというメッセージが込められています。

  • 今回発足した業界横断型研究会であるECC Lab.は、企業の人事担当者、仕事と介護の両立をしている当事者、介護のプロ、組織マネージメント研究者が集まり、「『働きながら介護している人が、当たり前に輝く社会』をどうやって実現するのか?」という問いに対して、答えを出すことを目的としています。

ECC Lab.では、各企業での取り組みに関する情報交換のほか、調査研究の協働推進、業界横断的な実証実験等を行い、社会に有用な知見を還元、社会の変革につなげることを目指しています。研究結果については、2022年12月をめどに対外的に発表する予定です。これらの取り組みを通じ、ビジネスケアラーが輝きを失わずに働き続けられる環境が、より多くの企業・団体において整備されることを目指して参ります。

キャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアム、企業間の「相互副業 実証実験」成果報告会 オンライン開催のお知らせ開催日時:2022年7月5日(火) 17:00-18:30@Zoom 参加無料

  • キリンホールディングス株式会社、KDDI株式会社、コクヨ株式会社、富士通株式会社、パーソルキャリア株式会社、三井情報株式会社、ヤフー株式会社、株式会社LIFULL(ライフル)の8社が発足させた「キャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアム」< https://co-consortium.persol-career.co.jp/ >では、2022年7月5日(火)17:00から、コンソーシアム参画企業間の「相互副業 実証実験」成果報告会をオンラインで開催します。

  • 報告会では、今回の相互副業(第1回)に参加したヤフー、キリンホールディングス、パーソルキャリア、それぞれの本プロジェクト推進担当者が登壇し、副業を通じた個人のキャリアオーナーシップの変化、副業人材の受け入れ組織・送り出し組織への影響、副業制度の運用に関する気づきや課題点などを報告します。

  • 参加を希望される方は、コンソーシアムのイベントページよりお申し込みください。

  • ■URL: https://co-consortium.persol-career.co.jp/information/2022/06/14/

「生産性を高め、ミッションを達成する」…成果を上げる企業の制度・文化から、「不確実な時代」に求められる力を探る

  • 当社のミッションは「出会いからイノベーションを生み出す」というものですが、イノベーションにつながる新しい出会いを生み出し、その出会いの力でビジネスの課題にイノベーションを起こす。そして、ビジネスの出会い、そのもののあり方を変えていく―。この実現に近づくために生産性を向上させていく必要があると考えています。

  • また、当社が掲げるバリューズには「強みを活かし、結集する」というものがあります。生産性を向上させるためにはそれぞれの社員の「強みを活かす」ことも必要であり、その実現をサポートする役割として各制度があるという考え方もできます。「強マッチ」や「Know Me」などは社内コミュニケーションを活発にするきっかけになりますし、住宅補助であれば通勤時間の短縮、「MOM」は女性の復職率の向上につなげることができます。

  • ―様々な制度で生産性を向上し、ミッション、バリューの実現に動かれていますが、どのように生まれるのでしょうか?社員の皆さんからの発案ですか?

  • (寺田)社員発案もあります。当社では、社員のエンゲージメントを解析するツールを導入しており、定期的に組織の健康診断を実施し、組織づくりに生かしています。アンケートみたいなもので、その中では「もっとこうした方が良い」という発信もありますし、それ以外でも、人事に直接問い合わせる社員もいますね。

  • また、人事部は組織の健康診断を通じて必要な制度をつくり、運用していく役割も担っているので、同じ人事部門でも、私たちのような採用担当もいれば、社員のための制度設計や運用を専任で担当する社員もいます。

  • (寺田)ミッション、ビジョン、バリューズから構成される、「Sansanのカタチ」は創業時から存在しています。全社員が参加する「カタチ議論」を通じて、変容は遂げていますが、立ち返るべき企業理念としては不変です。こうしたDNAは創業時から引き継がれています。

  • (素花)私は中途採用を担当していますが、結果として当社のミッションやバリューズに共感していただける方が採用できています。

  • 候補者には、これまでの仕事において様々な課題にぶつかる場面で、その課題に対してどのように向き合ってきたのかということを聞いています。

  • 当社のバリューズには「意思と意図をもって判断する」というものがあるのですが、過去に何かあった際に、どのような判断をして行動をしたのかに着目することで、バリューズを体現するポテンシャルがあるのかを確認させていただいています。

  • カルチャーフィットするかどうかも大事なポイントですが、こうした採用の結果、ミッションやバリューズに共感できるメンバーが増えています。

  • (寺田)新卒採用では、学生時代の様々な経験の中で、どのように周囲を巻き込み実行してきたのかを聞いています。中途採用と同様に、最終的に当社のミッションやバリューズに共感していただける学生と出会うことができていますね。

  • また、特に新卒採用はポテンシャルが前提になります。目の前の課題に対して向き合い、やり切る力を持っているのかを、学生時代の経験から判断しています。ビジネスであっても、学生時代の経験であっても、ベースは同じだと考えています。どのように課題に向き合ってきたのかを言語化していってもらうのですが、その経験を自分のものにできていなければ言語化はできないと思っています。そうした経験がSansanと合致できるかを見ていますね。

  • (寺田)「強マッチ」は自身の強みを見つけ言語化するものですが、ストレングスファインダー(※1)やエニアグラム(※2)を使い、その結果をチームで仕事をする際に活用しています。

  • 「強マッチ」研修では自分の強みを見つけ、配属部署で発表しあいます。診断テストの結果からわかった強みを発表するだけではなく、その強みの裏付けも発表しています。例えば、幼少期の体験や、自分自身のクセなども一つの要素ですね。

  • こうした裏付けを踏まえて自分自身の強みを伝えてもらうことで、お互いがどのような強みを持つかを理解しあえるようになります。一緒に働くメンバーの強みが何か分かれば、その強みを活かしながら一緒に仕事ができますし、部署のマネージャーであればきちんと部下を理解して指示を出すことができるようになります。一人ひとりの強みを最大限に活かして組織が運営できるようになるということですね。

  • ―「強マッチ」で見出した個々人の強みを活かした組織運営とのお話ですが、自分が苦手とする仕事などもあろうかと思います。担当する業務などを決める時にはどのようにされているのでしょうか。

  • (寺田)個々人の強みというのは、いわゆる「スキル」と、「人間力」の二種類に分けることができると思います。スキルとは、例えばマーケティング担当が分析を得意にしているといったようなものですね。

  • 一方、強マッチはストレングスファインダーやエニアグラムを通じて、その人の人間力を見出すものです。人間力はどの業務、部署でも応用可能なものですし、強マッチを実施する際に、自分の強みを会社でどのように生かすことができるのかまで落とし込むようにしています。

  • そのため、担当業務を決める、配属先を決めるといった際の材料ではなく、互いによく知ったうえで仕事を進めていくためのコミュニケーションのきっかけとする、「相互理解促進」のための制度といえます。

  • ▽強マッチ:新入社員が入社直後に受ける研修。自身の強みを知り、共通言語で社内に共有することで、お互いがそれぞれの強みを認識し、組織としてのパフォーマンス向上を目指すもの(7月現在、制度内容をバリューに倣ってアップデート中)。

  • ▽Know Me:異なる業務に当たっているメンバーが、社内交流のために三人一組で食事をする場合に飲食費が補助される制度。

  • ▽MOM:保育園料の全額補助など、産休・育休を取得したメンバーのスムーズな職場復帰を後押しするさまざまな補助が受けられる制度。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?