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ファゴット奏者が吹奏楽とオケのギャップに驚いた話
私がフリーランスを志した理由の1つに、『フリーランスになればオーケストラに入れるじゃん?!』と思ってわくわくしたことが挙げられます。
私には、中学のときに一目惚れして高校からずっと吹き続ける楽器があります。
知名度5%(エビアン調べ)、ファゴットです。
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その知名度の低さゆえに、奏者人口も少ないファゴット。
ので、だいたいどのアマチュア楽団に行っても貴重な存在になります。
高校では吹奏楽で、大学ではオーケストラ(オケ)でファゴットを吹きました。
大学のオーケストラはサークルだったので、そこまで厳しい練習はありませんでしたが、最初は吹奏楽との違いにかなり驚かされました。
今回は元ファゴット奏者が吹奏楽からオケに入ってびっくりしたことをまとめていこうかな、と思います。
①自分の音が聴こえる
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吹奏楽は管楽器がメイン。1つのパートを2人以上で吹くのが基本です。
が、オケでは弦楽器が大半の人数を占めます。
管楽器は1パートで1人。
1パートで1人です。
自分が失敗したらすぐバレます。
責任が重すぎます。
その上、管楽器は弦楽器と比べて音が大きいです。
ファゴットの音は正直、吹奏楽では周りの管楽器の音でかき消されがちでした。
そのため「まあ間違えてもバレないか」で気楽に吹いていたのですが、オケで初めて吹いたとき。
え、自分の音ってこんなに聴こえるの……。
管楽器が1パート1人の理由は、それで音のバランスが取れるからなのですが、急に丸裸にされた気分でとても恥ずかしかったです……。
②ソロが多すぎる
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私がオケで最初に渡された譜面は、ビゼーの『カルメン』とベートーヴェンの『交響曲第6番田園』。
譜面をぱらぱらめくると
おお、「solo」か……。え、ここにも「solo」? え、こっちにも……?
soloとはその名の通り、1人で主旋律を演奏する場面のこと。
吹奏楽のときは1年に1度soloがあればいい方でした。
それが1曲の中で何度も……。
そして、soloと書いてないのにいざ合奏してみたら自分しか吹いてない、なんていう恐ろしいフェイントもありました。
③1曲を作り上げる時間のギャップ
これはオケをやってから吹奏楽を吹いたときのこと。
オケで演奏する交響曲はだいたい1〜4、5楽章の構成になっていて、1楽章ごとに曲のテーマが決まっています。
1楽章あたり10分前後、全体で1時間弱の演奏時間です。
一方吹奏楽は、長くても1曲あたり10分前後。
オケでは1時間弱かけて作り上げる曲の「起承転結」を、わずか10分に詰め込むのです。
そのため、曲調がコロコロ変わる。
場面展開の速さに「忙しい!」と驚いてしまいました。
責任はある、でもオケはやりがいがある
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現役を離れてから4年以上。
昨日東京国際フォーラムで、ベートーヴェンの交響曲第6番を聴いてきました。
初めて演奏した交響曲。
ほとんど忘れてしまっても、soloに入る4小節前の緊張感は、あのときのまま。
こんなのよく吹いてたな、無知って怖い。
でもあのときは、ただ演奏することが楽しかった。
自分の音が、曲の一部に溶け込み、たまに輝くあの一体感は、もう一度オケに入らないと味わえません。
きっといつか、またやるときがくる。
そうと決まれば、その「いつか」のタイミングを早める努力をしよう。
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