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「安藤ストリート」で圧倒されてきた話。

「安藤ストリート」ってご存知でしょうか。安藤ってつまり、安藤忠雄さんのストリートってことなんですが、聞いたことありますか?住宅街の大通りの両側に、コンクリート建築がずらっと並んでいる。すごく贅沢な景色が見られるんです。そんな場所が、東京都調布市にありました。


安藤ストリートってなんだ。


コンクリート建築が建ち並ぶ

京王線「仙川駅」を降りて、おしゃれなカフェやお店が立ち並ぶ駅前を通り抜けると、いきなり、コンクリートの建物が並ぶ道が現れる。少しでも建築が好きな人だったら、違和感を覚えるような街並み。明らかに、誰かが手がけたものだろうと気づく。さらに言えば、コンクリートをこんな形にデザインするのは、きっとあの人かも、と予想する。いやでも、なぜこんな場所に名建築家の作品ばかり並ぶんだろう、などと自問自答を繰り返しながら、ググってみると、やっぱり。コンクリートといえば、の安藤忠雄さんの作品群だった。

安藤ストリートができたワケ

まず、このあたり一体を所有する地主の方の根性に頭が下がる。1992年に、その方が所有する土地に都道が開通したのだが、その道沿いを統一感のある街並みにしようと志し、その夢を実現させた。実現させた、と簡単にいうが、1992年というバブル期に当人の相続問題を抱え、それによる莫大な税金問題が重なったというから驚く。それなのに、他に売るのではなく自らの夢を実現させるそのガッツ。本当にすごい。この志に建築家の安藤忠雄さんも心を打たれ、景観づくりに協力したという・・・。本当にすごい話だ。
きっともっと詳しい話があるのだろうが、調べ足りていない、すいません。
というか、こんなにすごい話がある建築群なのに、なぜそこまで有名にならないのだろう、不思議でならない。安藤忠雄さんの建築群ですよー?!(心の叫び)

私の思いはさておき、とりあえず、一つ一つ紹介していきます。ただ難点は、きちんと中に入って見学ができる建物は、2つのみ。他は、病院やスクールが入る施設やマンションなど私有地になっている為、さすがに撮影は難しかった。そのため、文字のみの紹介となる場所があるが、気になる方はぜひ実際に行って、見に行ってみてください!

シティハウス仙川ステーションコート

安藤忠雄さん設計のマンションに住めるとは何事か・・・。本当に羨ましい限り。外観はコンクリート打ちっぱなし、かなりシンプル。ベランダに嵌め込まれたガラスとコンクリートがよい。間取りも生活しやすそうだ。内部がみたい。

仙川デルタスタジオ

かなり細長い土地に建てられた建築。中にはスクールや病院が入っている。(ので内部は入れない)。本当に奥行きが狭く、縦に長い。さらに屋根は、鋭角に鋭く尖っていて、これがまた良い。道に面した部分はガラスなので、内部から見るとどうなっているのか、本当に気になるところだ。

調布市せんがわ劇場

劇場の門構え

こちらは中に入れる施設なので、訪れた際はぜひ。(劇場なので、見学出来るのはロビーなどの限られた場所だけなので注意)調布市運営の劇場で、リハーサル室などを備えている。また、建物としては劇場だけでなく、仙川保育園や集会室が備わった複合施設。大通りからは、保育園があることは分からないようになっており、施設の裏手に回ると保育園の入り口がある。
劇場の正面には大きな柱があり、他の建築とは異なり劇場らしさがある気がする。入ると少しくらいロビーに、赤い椅子が並び、少し可愛らしさが残る。1階ロビーの部分には、2階まで伸びる吹き抜けがあり、その空間も素敵だった。大通り側に窓があるといえど、すりガラスのような作りで、完全に光が差し込まない。吹き抜けのおかげで、他の面よりも光の量が多いこの場所の雰囲気は、なんとも言えず暖かかった。

東京アートミュージアム


展示室の様子

せんがわ劇場を先に進むと、ほぼ同じ建物のように見えて通り過ぎそうになるのだが、小さいガラスドアが現れる。それが、「東京アートミュージアム」の入り口だ。本当に通り過ぎるから気をつけて!気付いても、『関係者以外立ち入り禁止』のやつか?!とか思って疑ってしまう。注意。
ともあれ、入り口見つけて入ってみると、狭いエントランス。言わずもがなコンクリート、グレー一色。恐る恐る進み、薄暗い展示室を抜けると、感動が待っていた。狭く小さい美術館、小さく設けられた窓と、これも小さい天窓。本当に、コンクリートの空間が神聖なものに思える。光の差し込み方、さらに、それが展示されたアートの照らす様子。これをどうとらえるかは個人の自由だし、冷たすぎるという人もいるのかもしれない。けれど私には、コンクリートという一見すると冷たい物に注ぐ一線の光は、何よりも暖かいものに見えた。


天窓からの光

さらに階段を登って2階に上がれば、天井が間近に見られる。私が行った時には美術館には誰もいなかったこともあり、美術館中が見渡せる踊り場に立つと、なんとも言えない優越感を味わえた。ただ、どの建築に行ってもそうなのだが、「優越感」と言っても、「私の美術館みたいだ!」という支配感ではなく、どちらかというと、「建物に飲み込まれていく」ような感覚を味わう。「飲み込まれて、いずれ消えていきそう」になる感覚である。(この感覚が「優越感」なのかは分からないが、形容できないので「優越感」とする!)

アートを見るにも自分の時間が流れている場所なので、ゆっくりと気ままに楽しむことができる。アート好きにもおすすめ。

シティハウス仙川

こちらは、先述のステーションコートよりも規模が小さいマンション。ここも写真はないです、すいません。こちらは1階部分に美容院やショップが入っている。個人的にはこちらの方がこじんまりとしていて、可愛さがある。
(間取りは一般的なものでした。建物がなだらかな鋭角なので、場所によっては部屋の形状が三角。)こういう場所に住む人は、安藤さんが好きっていう理由の方もいるのだろうか、気になる。

おまけ:仙川アヴェニュー北プラザ・南プラザ

東京アートミュージアムの斜向かい、ここにもコンクリの建物がある。安藤さんってこういうデザインもするんだーとか思っていたら、全然違った。(安易だった)ここは、中地正隆さんという建築家の作品。安藤さんで有名になったから「安藤ストリート」だが、中地さんの作品の方が先に存在する。中地さんは丹下さんの事務所にいたことがある方らしい。無知で恥ずかしくなるが、詳しくは調べてみてください。

こちらの建物は、北と南に分かれており、ともに2階以上は居住エリアだ。1階部分にはレストランやギャラリーが入り、ランチを楽しむ人で賑わっていた。デザインは、槙さんの代官山ヒルサイドテラスに似ている。建物の中心に大きなシンボルツリーがあり、緑とコンクリのコントラストが美しい。スケルトンがそのままのような空間の真ん中に立つと、不思議な感覚に襲われる。神殿の真ん中に立った時のような、そんな感覚。この場所は、気にせず進むと知らないうちに居住エリアに入り込んでしまうので注意。(私だけかもしれない!分からないけど)

まとめ。

色々と語ってきたが、安藤さんの建築をここまでゆったり回れる場所は珍しいのではないかと思う。なんと言っても巨匠だから、どこに行っても混んでいるのは仕方ない話だ。だからこそ、こういう形で残されているのをみると、不思議な気分になる。私は見学者なので、いいなあ、とか、素敵だなあとか外観への感想になるのだが(小並感)、実際に住んでみてどうなのかはわからない。どうなんでしょうね?仙川駅に近いし、利便性は絶対良いと思うんだけど、コンクリ建築に住むってどうなんでしょうか。経験してみたい!

仙川は本当に面白い街で、おしゃれなカフェも多い。特に「猿田彦珈琲 仙川アトリエ」は空間的な意味でもおすすめ。こちらは別で書きます。お楽しみにー!


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・調布市せんがわ劇場

・東京アートミュージアム


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