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50代から介護を始める方へ

今、社会問題として大きな割合を占めている高齢者の介護。
後期高齢化で、認知症や慢性的な疾患、あるいは転倒による骨折や感染症がもとで、寝たきりになる人は後を絶ちません。

病院は長く入院することはできず、かといって空いている施設を探すのも時間がかかります。
自分を生んでくれた親だから在宅介護をする!と心構えをしても、構え過ぎるといつの日か感情が爆発して、自分だけではどうにもならないことになってしまいます。

このように、介護者様がどうにもならないギリギリまで追い詰められて、初めて相談に来られた事案に関わってきましたが、こうした事例を通じて私が感じたことをお伝えしたいと思います。

この世はすべて循環とバランスで成り立つ

まず初めに、私が考える介護の本質は「つながり」です。
介護は、介護者が与えるだけではなく介護者自身も介護という行為を通じて「気づきを得る」という循環があると思います。

「介」という字は、大きくする、堅く守るという意味があり、「護」は、大切にする、防ぐという意味があります。



疲弊した介護の現場、疲れ切った介護者の姿を若い世代に見せることは、介護は辛い、大変だ!という認識をつなげてしまいます。
気づきを得るためには俯瞰した視点が必要なので、心にゆとりを持つための協力者は必須ですね。そうする事で、自分も、相手も護れる強くて堅い絆と心が育まれていきます。

昔は家で見るのが当たり前だったけど

昔は家の長である男性が介護を采配し、高齢になった親を家全体でみていました。
しかし、近代になると、女性が介護の責任を持つという認識が広まり、それが良妻賢母という女性の在り方の見本になっていきました。

女学校の授業科目の中には、家事や育児の他に養老という項目が置かれていたそうです。
しかし、現代は男性と女性の役割も多様化し、当たり前という常識は変化しています。
変化は進化の始まりですから、ひとり一人が自分にとって効果的な手段を選ぶ力を身につけることが必要です。

カッコウの子育て

介護と話は反れますが、育児ノイローゼも増加しています。
その理由のひとつとして、情報不足がありますが、それ以外に完璧を求めてしまうことがあげられます。
この世の中に完璧というものはありません。
私が一緒に働いているベトナム人の女性が言うには、ベトナムでは祖父母が子供の面倒をみるのが主流だそうです。また、ベビーシッターという職業もあるくらいですから、必ずしも親が子育てをしなくても良いのです。

カッコウという鳥は、他の鳥の巣に卵を産み、育ててもらいます。カッコウは体温変動しやすいので、そうしないと卵を温めることができずに、繁殖しないのだそうです。

カッコウを見習えというわけではないのですが、介護も子育ても、繁殖や繁栄のためには、自分を護ってくれる協力者が必要です。
どちらにしても、肝心なのは、行為そのものより、心のつながりだと思います。

まずは自分のことを優先して!

厚生労働省の統計を見ると、子どもやその配偶者が全体の4分の1を占めています。その世代は私たち更年期ですから、他人事ではありません。

実際に私の周囲でも、働きながら介護をしている更年期の女性が多くなり、夜勤をやめたり介護のためにパートになったりと、仕事との両立を図るために諦めることもあります。

ある人は「明日は受診なの…」と、せっかくのお休みも受診に付き添い、受診の同行と薬もらい、買い物であっという間に1日が終わるといいます。
夜勤をやめ、パートになったら収入も減るし、いったいなんのために今まで頑張ってきたんだろう…。そんな愚痴がポロっと出てきます。
子育てが終わり、やっと学び始めたアロマも中途半端なままだと言います。

その女性は、2ヶ月後に辞めていました。
やりたい介護に専念するなら良いですが、やらなければならない介護は心も体も疲れます。

介護が自己犠牲になると、女性性の否定的な部分が表出され、自分を大切にすることが出来なくなり、おのずと相手を攻撃してしまいます。
これは、無意識的に自分を護るために行うことなので、なおざりにすると今度は自分を攻撃し、症状となったり、病気になってしまいます。

子育ても介護も孤独にならないように!そのような環境では、良いアイディアも浮かびません。助けて!と言える勇気は、女性の強みです


そうならないようにするのが、介護サービスの役割ですが、介護者の気持が手に取るように理解できる看護師や介護士ほど、内側の規制が邪魔をして「助けて!」と言いにくいのです。

介護は委ねていいのです。すべて任せても、悪いことではないのです。
介護地獄と言われた制度に縛られる時代は終わり、現代は介護保険に加えて自費訪問や企業のサービスなど様々な支えがあります。

このようなサービスを組み合わせて、やりたいことを続けていくのが今の時代に沿った更年期からの介護だと私は思います。

親はたとえ認知症になっても、わからなくなっても、子どもの幸せを一番に願っています。

親と子の関係性は、ゆとりがないと、感情が荒くなり周りも影響されます。イライラ、焦りの介護は家族、職場そして社会に影響し、思わぬ現実を生んでしまう可能性にもなりかねません。

いつの日か、子どもたちに親の介護を語る時、これで良かった、と思える話をしてあげたいですね。
それは介護の行為や手間やではなく関わりです。
訪問介護サービスを利用して、少しの時間、楽をしても良し!施設サービスを利用し、たまにしか会わなくとも、どんな気持ちで関われたかが、一番大切なのです。

介護の記憶は感情として心に刻まれます。
ですから、良い、悪いという二極化を超えて、自分にとっていかに効果的な選択をするかが、一番重要なのです。

今この時も介護をされている方々、どうか伝承された常識を抜けて、自分の介護を貫いてください。そして、選択してきた介護を肯定してほしいと思います。





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