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250文字の短編小説

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#ほろ酔い文学

(春夏秋)冬

(春夏秋)冬

嫌いなものが一緒だったらよかったのに



今思えば、私たちが好きなものはごく一部だけだった

サッカーが好きな君
野球が好きな私

辛い物が好きだった君
甘いものが好きだった私

ゲームが好きだった君
本が好きだった私

似ているようで似ていなかった私たち

夏の違和感はきっとこれだった

交わることのなかった私たちは1つの共通点だけで交わっていた

垂直だった2つの線は季節を移ろう中で

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(春夏)秋(冬)

(春夏)秋(冬)

君と連絡が取れなくなった



2か月ぶりの学校

君とは授業が変わってなかなか会えなくなった

「またね」がなかった理由を考え続けても

答えには辿り着くことができないままでいた

また会うときに直接聞けばいいか

そんな暢気なことを考えていたのは多分私だけ

君はもう私と会う気はなかったんだね

あのデートも最初で最後だったんだね

あんなに浮かれてた私

馬鹿みたいじゃん

気づけばLIN

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(春)夏(秋冬)

デートしよっか

君のそのひとことに一喜一憂していた私



その日はとてもとても暑い1日だった

そして夕方から大雨にも見舞われた

大好きな街に大好きな君と初めて出かけた

友達とみる景色も、君と見ると少し輝いて見えた

普段は入らないお店に入って、試着してみたり

行列のお店に並んで、お団子をシェアしたり

どっちが上手に写真を撮れるか競ってみたり

全部が全部特別な1日だった

でも君の

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春(夏秋冬)

春(夏秋冬)

俺もこのアーティスト好きだよ

なんてきっかけは些細なことで、私たちは出会った



好きなものが同じだった私たち

すぐに意気投合したんだ

それからというもの毎日のようにLINE、電話

LINEでもチャットを送りあっているのに他のSNSでもDMでやりとりして

お互いの気持ちに気づいていながらも少し様子を窺うように

片思いという肩書を楽しんでいた

楽しい毎日を過ごしてたにも関わらず、そ

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