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パニック障害との共生

先日からふたたび電車に乗れない。

私は14年前のある日、突然パニック障害の発作に襲われた。



妊娠中のつわりが本当に重くて、2週間で10キロ以上体重が落ちた。
水を飲むことすらできなくなった。脱水し、毎日病院で3時間の点滴を打ちに行く。

「なんで妊娠なんかしたんだ」と絶望し、一日中暗い部屋の中で頭をついた土下座の格好で過ごし2ヶ月ほとんど記憶がない。

秋の初めに部屋へ閉じ籠り、無事部屋から出ることができた時には街はクリスマスムードになっていた。

その後、随分長いこと金木犀の香りを嗅ぐと吐き気がした。

安定期に入り、元気になって電車に乗ったときに急に発作が起きたのだ。

心臓がドキドキとして手から全身に向かって血の気がひき、早くここから出してくれー!と叫びたくなって立ったり座ったり歩き回ってしまった。

それがパニック障害だと知ってから何度となく、発作を繰り返した。

ひどい時には、エレベーターの箱にすら乗れず、高層ビルのレストランでは地面に這って歩きたくなる。高所だと想像するだけでワナワナしてしまう。

高速道路のトンネルは、助手席でもドアを開けて飛び出し走りたくなる。

劇場の人混みは、恐怖でしかなく、すぐに逃げられないその状況が死ぬほど怖い。
もちろんあの楽しいディズニーランドですら、悪夢。
カリブの海賊では立ち上がって叫んだこともある。

5年間電車に乗れなかったが、練習で克服したと思った。
疲れると「あの時」に近くなることが時々あったが、新幹線に乗れるまでになっていた。

それがしかし、先日からうまくない。

用事があって、小田急線に乗った時に一瞬「嫌だな」って思ったんだよね。そしたら、発作がきた。

知らない女性に声をかけ、お話し相手になってくださいと頼んだ。とても優しい若い女の子で「大丈夫ですか?どこに行くんですか?』と話してくれた。

しかし、心配されるのが一番嫌なんだ。
その心配が私をもっと不安にさせるのだ。

心の中で「大丈夫?って聞かないで!大丈夫じゃないから声かけてるんだよー!」と親切心に仇で返す。

もしもそんな挙動不審な人を見かけたら、「大丈夫よ!大丈夫よ!」と力強く言って、くだらない話でもしてあげてほしい。

とにかくなんとか電車から降りたが、目的地まで行けず、先方に来てもらい、帰りは車で迎えに来てもらった。

迎えに来てくれる家族がいるというのは幸運であるが、それがまた本当に情けない気持ちでうじうじとしてしまう。

人の助けを乞わないとならない自分がみっともなく思えて、本当に落ち込むのだ。

パニックを知らない時の羽の生えた私には戻れないと思うと今でも泣きたくなる。

時々、パニック障害を理解していない失礼な人に失礼な言葉をかけられることがある。体験したことのない人には全く想像がつかない世界なので仕方ない。私だってそうなるまでは、そうだったし。

私のこの体験は一体どんな意味があるのか?

前世のトラウマとかカルマとか、色々言われたけれど、
私がわたしと向き合う必要があることは確かである。

更年期に差し掛かるこの年齢。
自律神経の乱れによる原因も考えられる。

生活習慣の見直し、ストレスを溜めない方法、仕事と私の在り方。
起業という自分を見つめる作業。自尊心の保ち方。

もしかしたら「遠くを見るな。今自分の手の中にあるものを見ろ。」と言われているそんな気持ちにもなる。

#パニック障害
#更年期 #自律神経
#起業

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